67話
「さて?どうしましょうか?」
「流石に国家相手では無視する訳にはいきませんよね」
「逆らえば反逆者みたいに扱われるでしょうし」
セレーナ、セリー、エリシアが悩んでいると…
「一応行くだけ行って決めた方がよくないか?ここで悩んでても解決しないだろ?」
「…それもそうだけど」
「セレーナさんは何か不安要素でも?」
「ちょっと…ね」
セレーナは少し嫌そうな表情をしていた。
「ユーマは魔法使いでしょ?それに意志を持った魔導機を複数持ってる上に魔導騎兵…王族に気に入られでもしたらと思うとちょっと不安なのよね」
「王族に気に入られるのが嫌なのか?」
「今までのように気楽に旅は出来ないし宮廷の魔法使いにされたらそれこそ自由が無くなるわよ」
セレーナの言葉にアキナも想像したのか嫌そうな表情をしていた。
「確かに自由がないのはやだな~」
「ですが行かない訳にはいきませんよ?」
エリシアの言葉にセレーナは仕方なくなり…
「行かないと始まらない…か」
「とりあえずユーマ君の安全を優先で行きましょう」
方針が見えてくるとセレーナは覚悟を決めた。
「お待たせしました」
「色好い返事を聞かせて貰えるのかな?」
「一度だけ行かせていただきます」
セレーナの返事を聞いたコラールは嬉しそうにしていた。
「それはありがとう!」
「当然の義務だな」
「やめないか。折角の好意を無駄にする気か?」
副長の言葉にコラールは注意した。
「すまないね。早速で悪いけど明日には発ちたいだけど構わないかね?」
「こちらの準備もありますから、それくらいですね」
「では、明日の朝に」
コラールと副長は騎士団の待つ場所に向かった。
「さて、私達も準備しましょうか。ユーマ!」
「な~に~?」
「明日からちょっとお出かけするから準備してくれる?」
近寄ったユーマにセレーナが屈んで答えた。
「お婆ちゃん達はどうするの?」
「騎士団の人達が見ててくれるわ」
「だいじょうぶ~?」
騎士団に不信感をもってしまったユーマは不安そうだった。
「信じてあげましょう?」
「うぅ…わかった~」
渋々ユーマは納得して自分の荷物をまとめに向かった。
「私達も準備しましょうか」
セレーナ達も準備を始めた。
「全員…出立!」
「シャウ~」
「がぅ!」
シャウはユーマが呼ぶと横にやって来た。
「魔導騎兵~」
ユーマが魔導騎兵を呼ぶと魔導騎兵は手の平を前におき、ユーマとシャウが乗ったのを確認すると立ち上がった。
「しゅっぱーつ!」
魔導騎兵は騎士団の後ろをゆっくりと歩き始めた。
「…なぁ」
「どうしました?」
「アタシ等…踏まれないよな」
なんとも怖いことを言った。
「だ、大丈夫ですよ!ユーマ君がいますし!」
セリーもちょっと想像したのか不安そうだった。
「大丈夫ですわ。ユーマ君を信じましょう」
エリシアはユーマを信じてるのか不安感はなかった。
「みんなも乗る~?」
上からユーマが声をかけた。
「う~ん、ユーマ!お願い~!」
セレーナがお願いすると魔導騎兵はしゃがみ、セレーナ達も手のひらに乗せた。
「へぇ~、いい景色だな」
魔導騎兵が立ち上がるとアキナは景色を楽しみ続け、暫しの間旅を楽しんでいた。それから二日間ほど歩きアスガルド王国の城が遠くに見えてきた。
「お姉ちゃん!お城だよ!」
「そっか、ユーマはお城見るのは初めてだったね」
ユーマが楽しそうにしているが、セレーナは内心不安で仕方なかった。
「おーい!」
城の前までやって来ると下からコラールが声をかけてきた。
「ユーマ、降ろしてくれる?」
「うん、魔導騎兵。降ろして~」
魔導騎兵は膝をついてセレーナ達を降ろした。
「さて、城の中に入るのだが…」
「武器なら渡しませんよ?荷物も」
「貴様等!ずにのるな!」
副長が怒るが…
「やめたまえ。彼女等は民であっても国に属してる訳ではないのだよ?私達の言うことに従う必要はないのだよ」
コラールが止めた。
「む~」
「それにあの子をこれ以上不機嫌にさせて帰られでもしたらどうする気だ?」
ユーマが睨んでるのを見たコラールはこれ以上刺激を与えないようにと考えていた。
「その時は取り押さえれば…」
「出来るかね?」
コラールが睨んでるセレーナ達を見て訪ねた。
「数ではこちらが…」
「では、君にあの騎兵を取り押さえる手段があると?」
「あの子供を…」
副長があくまでも強行な手段を述べていると…
「それは賊の考え方だぞ?」
「ハッ…失礼しました」
コラールに注意された。
「さて、すまないね。中に案内するのでついて来てくれるかい?伝令、帰還した事を伝えて来てくれるか」
コラールは伝令を走らせると…
「では、行こう」
「魔導騎兵~‼待っててね~」
ユーマは魔導騎兵に待つように頼み城の中にセレーナ達と共に入っていった。
「さて、君達に会ってもらうのは国王陛下だ。一応粗相のないようにな?」
「わかりました」
「では、中に。失礼します!国王陛下、お客様をお連れしました!」
中に入る注意をして扉の前に着くと、声をかけて扉を開けた。
「ほぇ~、広いお部屋だね~」
「ユーマ、静かにね」
ユーマはセレーナの後についていき、コラールとセレーナ達は国王陛下の前で膝をつくとユーマも真似をして膝をついた。
「此度の件、大義であった。外の巨人が噂のものか?」
「ハッ!そしてこの者が巨人の所有者になります。ユーマ殿、前に」
「ユーマ、前に」
セレーナはユーマを前に出した。
「なんと!?その小さなお子があの巨人の所有者なのか?」
「巨人はこの者の言うことしか聞かないようです」
「ふむ、なんとも不思議なものよ」
国王は暫しの間セレーナ達を見ていた。
「では、本題に入らせてもらおう」
「……」
セレーナ達は黙って国王の言葉を待った。
「あの巨人をアスガルド王国に渡してくれ。それなりの見返りも用意しよう」
「やだもん!」
「ユーマ!?」
セレーナ達にとって予想外な事がおきた。最初はセレーナがやんわりと断る筈がユーマが先に答えてしまった。
「魔導騎兵はボクの友達だもん!渡さないもん!」
「こら!ユーマ!」
セレーナが止めるがそれは遅かったように見えていた。が…
「ハハハハ!国王相手に怯まないとは大した子だ!」
「とんだご無礼を」
「よいよい。ユーマと申したか?あの巨人は友達か?」
セレーナが謝ると国王は怒った様子もなかった。
「うん…はい。友達です」
「無理に取り繕えなくてよい。普段のまま話してみなさい」
セレーナを見たユーマはセレーナが頷いたので普段通りにすることにした。
「ボクの友達!」
「だがあれを…魔導騎兵と言ったな?他国に渡す訳にはいかんのだ。わかるな?」
「ボク達関係ないもん」
ユーマの言いっぷりに国王は楽しそうに笑った。
「ハハハハ!確かに子供に国の情勢は関係ないな。しかし……それで終わる話ではない」
「ワガママはいけないんだよ!」
「ワガママか…確かにな。だがそれを通さねばならんのだよ」
ユーマは魔導騎兵を守り続けていた。
「ぷん!」
「どうしても渡してくれないか?」
「やだもん!」
ユーマの答えに国王は…
「なら、これでもかな?」
国王が手を上げると待機していた兵達が剣を抜いた。
「チッ!やっぱりこうなったか!」
「ユーマ!」
セレーナがユーマを呼ぶと、ユーマは背後に飛んだ。
「ほう?この状況で逆らえばどうなるかわからない訳ではないだろ?」
「生憎とアスガルド王国に愛着がある訳じゃないんでね!」
「それにここを抜けて隣国に助けを求めるという手段が残されてますから」
セレーナ達の言葉に、国王陛下は慌て始めた。
「むう…」
国王が手を下げると兵達も構えを解いて武器を納めた。
「……」
セレーナ達も兵達が武器をしまうのを見て自分達もしまった。
「父上~‼外にあるのが噂の巨人ですか!」
するとドレスを着た女の子が扉を開けてやって来た。
「これフローラ?謁見の最中だぞ?」
「すみませぬ、父上」
フローラと呼ばれた少女は申し訳なさそうにした。
「この者達が巨人の所有者だ」
「おぉ!そうなのですか!ぜひ乗せてくれないか !?」
フローラはセレーナ達に魔導騎兵に乗せてほしいと頼んできた。
「えっと…」
セレーナが言いよどんでいると…
「乗せてやってはもらえぬか?国に所属しろとは言わぬ。これは親としての頼みだ」
さっきとは違い、親として国王が頼みこんできた。
「……」
態度が変わった事によってセレーナ達は内心混乱していた。
「ふむ」
国王が手を上げると兵達は部屋を出ていった。
「さて、改めて頼む。娘を巨人に乗せてはもらえぬか?」
「えっと…あ、はい。ユーマ?」
「やだもん!」
ユーマはふてくされてしまった。
「ダメかの?」
「む~…ちょっとだけだもん」
ユーマがいいと言うとフローラは嬉しそうに笑った。
「なら、早速外に行くのだ!」
「わゎ!?」
フローラはユーマの手を引くと城の外に向かった。




