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小さな僕は魔導機使い!?  作者: 猫丸
新たな旅立ち
64/120

64話




「じゃあネズミさん、準備はいい?」



『チュウ!』



ネズミ達は何処から用意したのか自分達のサイズのクワなどを持って集まった。



「よし、頑張ろう!」



『チュウ~!』



「うんしょ!うんしょ!」



ユーマも慣れないクワで畑を耕し、ネズミ達は…



『チュウ!チュウ!』



せっせとユーマの負担を減らすために頑張っていた。



「ふぅ…やっぱり慣れない事は大変ね」



「でも、たまにはいいんじゃないか?」



「私は久し振りなので懐かしいですね」



唯一の経験者であるセリーが実はこの作業の要だったりする。



「セリーさん、出来た~!」



ユーマとネズミ達は畝を完成させていた。



「はい、良くできました♪」



「わーい♪ネズミさん達ありがとう!」



『チュウ~!』



ネズミ達はユーマに誉められ、ユーマの回りを駆け回った。



「じゃあ後は苗を埋めましょうか」



セリーの指示にユーマ達は苗を一定の間隔で埋めていった。



「早く実のってね~」



ユーマは畑に声をかけながら水をあげていた。



「これでひとまず畑は終わりね」



「あ~…変に疲れたな」



「慣れないせいか作業でしたから」



セリー以外は初めてと言ってもいいほどの作業に冒険とは違う疲れに愚痴っていた。



「ねぇ、セリーさん?」



「どうしました?」



「お野菜は何時くらいに採れるの?」



ユーマは野菜がどれくらいで採れるのか気になりセリーに訪ねてみた。



「そうですね、早くても三月位ですね」



「わかった~。しばらくは狩りがメインだね?頑張るぞ~」



『チュウ~!』



ネズミ達はお~!とばかりに鳴いた。









「今日も平和だね~」



『そうっすね~』



ユーマ達が村に戻ってきてから7日、ユーマはブレイドカノンに乗り空で見張りをしていた。



『マスター?あちらを見てください。馬車がこちらに向かって来てますよ』



「ホントだ~。行商の人かな?お姉ちゃんに知らせよう!」



『はーい!』



ブレイドカノンはゆっくりと下降して村に降りた。



「馬車が向かって来てる?」



「うん!まっすぐこっちに来てたよ」



「変ね…行商なら既にこの村が廃村になってるのは気付いているでしょうに…」



ユーマの知らせにセレーナは悩み…



「ここに立ち寄るなら話だけでも聞いてみては?」



「それしかないわね」



セリーの提案に従う事にした。



「ユーマ、見張りに戻ってくれる?」



「はーい。行こう、シャウ」



「がぅ!」



ユーマは今度はシャウに跨がり見張りに戻っていった。



「来たわね」



しばらくして馬車がガラガラと音を立ててやって来た。



「どう!初めまして、お嬢さん?この村の新しい住人かな?」



「まぁ、遠からずと言う所ですね」



「私は行商のロリックといいます」



ロリックは馬車から降りるとセレーナに話し掛けセリー達は後ろで様子を伺っていた。



「それで?こんな廃村に何か御用ですか?」



「いやね、近くの村に立ち寄ったんだけど追い出されてね、少し休める場所を探していたんだよ」



「追い出された?」



セレーナはその言葉をおかしく思った。普通村にとって行商は命綱と言ってもいい位生活に必要な物である。なのにそれを追い出すのは余程の事があるとセレーナは警戒した。



「なぜ?とお聞きしていいかしら?」



「娘が病気でね…アルキ病と言うんだ」



「アルキ病?聞いたことないですね…セリー達は?」



セレーナがセリー達を見るが首を横に降っていた。



「すまない!少しでいい!休ませては貰えないかな?」



「その病気は伝染しますか?」



「しないよ。だが他の村では中々信じて貰えなくてね」



ロリックは辛そうに首を横に降っていた。



「あの、どんな病気なんですか?」



「皮膚が固くなってしまう病気でね、治療方法が中々わからなくてね。何処かに病気のことが記された本が有るらしいんだけどね、中々手掛かりがなくてね」



セリーが訪ねるとロリックは分かる範囲で答えた。



「アルキ病ね…ユーマなら何か分かるかも知れないわね」



「何か手掛かりがあるのかい!?」



「ちょっと待って下さい」



セレーナが指笛を吹くとシャウが聞きつけ、ユーマを乗せてやって来た。




「わゎっと!お姉ちゃん?シャウを呼んだ?」



「ユーマに用があってね」



「ボクに?なになに?」




ユーマはシャウから降りるとセレーナの足下にやって来た。



「ユーマ、アルキ病って聞いたことない?」



「アルキ病?えっと…」



ユーマは腕を組み考え始めた。



「そんな小さな子にわかるのかい?」



ロリックが半信半疑でいると…



「お!」



「心当たりある?」



「お婆ちゃんの本に載ってた!」



ユーマは知ってると答え始めた。



「ほんとかい!?その本は何処にあるんだい!?」



「持ってるよ~」



「頼む‼ぜひその本を譲ってくれないか!」



ロリックがユーマに近寄るが…



「やだ!お婆ちゃんの大事な本だもん!」



ユーマはそっぽ向いた。



「頼む‼お金なら幾らでも払う!譲ってくれ!」



「ダメ!」



「ロリックさん、この子にとってお婆ちゃんの本は大事な形見なんです。ですから譲る事は出来ません」



セレーナが間に入ってロリックを止めた。



「関係ない!私も娘の為に引けない!」



「む~!ボク、このおじちゃんキライ!行こう、シャウ!」



ユーマはシャウに跨がり見張りに戻ってしまった。



「待った!話がまだ!」



「お引き取りください」



するとセレーナが少し低い声でロリックに話し掛けた。



「なっ…君たちは自分達が良ければいいのか!?」



「なら、貴方は自分の娘の為なら他人の大事な物を奪えると言うのでしょ?なら私は大事な弟の為に貴方のやり方を拒絶させて頂きます」



「ぐっ…」



ロリックはセレーナの言葉に返す言葉を失った。



「アナタ、そこまでに」



「イオナ…」



「旦那が大変失礼しました。ですがこの通り、せめて本を読むだけでもいいので見せて頂けないでしょうか?」



イオナと呼ばれた女性は馬車から降りてくるとセレーナに頭を下げて懇願した。



「……」



「お願いします」



イオナは頭を下げ続けセレーナの返答を待った。



「…わかりました。もう一度ユーマに頼んでみます」



「ありがとうございます!」



イオナはセレーナの言葉に一度頭を上げると再び下げた。



「ユーマ~!」



「なに~?おねえ…ふん!」



ユーマがセレーナの声に振り返るがロリックが居ると分かるとそっぽを向いた。



「ユーマ?お婆ちゃんの本を出して欲しいの」



「やだ!」



ユーマはセレーナの頼みすら断るほど機嫌を損ねていた。



「ユーマ、お願い」



「む~」



中々ユーマの機嫌は治らなかった。



「ユーマ、お願い!」



「……」



ごそごそ



ユーマは渋々ポーチを漁ると…



「…アルキ病。人の肌を固くしてしまう奇病の一つ。解毒薬の作り方は…」



ユーマが本を取り出すと読み始めたが…



ひょい!



「よし!これで娘が助かる!」



ロリックがユーマから本を奪い盗った。



「返して!」



「うるさい!」



バシン!



ロリックが腕を払うとユーマの頬に当たった。



「あぅ…」



その衝撃でユーマは倒れてしまった。



「この!」



バキッ!



「ガハッ!?」



するとアキナがロリックを殴り本が宙に浮き落ちてくるとセリーがキャッチした。



「ユーマ君、どうぞ」



「お婆ちゃんの本!」



ユーマはセリーから本を受けとるとすぐにしまった。



「お引き取りください!ユーマに手を出した以上もうアナタ達に協力は出来ません!」



「アナタ!何をしているの!すいません!」



「謝罪はいりません。お帰りください」



セレーナの言葉にイオナの顔から血の気が引いた。



「ユーマ君、大丈夫ですの?」



「ちょっと痛い」



ユーマは痛そうに頬を押さえてた。



「ユーマ、お水で冷やそうか」



「うん…」



「待ってください!」



イオナはセレーナを引き止めるが…



「お引き取りください!」



冷たくあしらわれるだけだった。



「気持ちいい~」



ユーマは腫れた頬に濡れたタオルをあてて冷していた。



「で?どうする?」



アキナが指差した方にイオナが立っていた。



「相手にする気はないわ。ユーマに怪我をさせた以上はね」



セレーナが静かに怒ってるのでアキナもこれ以上は刺激しないようにすることにした。



「さぁ、炊き出しをしましょう」



セレーナの掛け声にセリー達は手伝い始めた。




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