62話
「お買い物~!お買い物~!」
「何を買うんだ?」
「えっと、当面の食料と苗ね。今後の為にも多く買ってきましょう」
セレーナがそう言うとユーマがくるりと回りセレーナを見上げた。
「お姉ちゃん、はい!」
「ライセンス?どうしたの?」
「お買い物でお金が必要でしょ?だから!ボクのわがままだからボクがお金出すの!」
「ユーマ…わかった、受け取るね」
ユーマの意思を汲み取り、セレーナはギルドでお金を引き出し当面の物を買い込んだ。
「ふんふふふん♪」
そして買い物を終えたユーマ達は村に戻るためゆっくりと戻っていた。
「あ!村だ~…あれ?」
「どうしたんですの?」
「村が…燃えてる…シャウ!急いで!」
するとユーマは村の異変に気付きシャウと一緒に先行した。
「ユーマ!待ちなさい!」
セレーナ達も慌てて追い掛け始めた。
「家が燃えてる…ッ!水よ!降り注ぐ恵みとなれ!レイン!」
ざー
ユーマは魔法で村に雨を降らした。
「お婆ちゃん!」
ユーマは急いで老婆を探し始めた。
「あ!お婆ちゃん!」
「坊や!?何で戻って来たんだい!?」
「何があったの!?」
ユーマは老婆を見付けると一目散に駆け寄った。
「盗賊じゃよ…」
「ッ!やめぬか!」
「盗賊?もしかして置いてった食料が盗られちゃったの!?」
ユーマは近くに居たお爺さんに近寄った。
「そうじゃよ!食料は全部持ってかれるは休める場所すらなくされたわ!」
お爺さんは自棄になったように叫んだ。
「…どっちに行ったの…盗賊は…」
「アッチじゃよ…」
お爺さんが指差すと…
「わかった!」
「待ちなさい!」
老婆が止めるが遅くユーマはシャウと一緒に駆け出した。
「ユーマ!?」
セレーナ達が辿り着いたがユーマはその場を離れつつあった。
「坊やを追い掛けておくれ!坊やは一人で盗賊の下に向かったんじゃ!」
「まずい!ユーマ!」
「セレーナ!?」
セレーナが駆け出すとアキナ達も追い掛けた。
「…見えた!シャウ!そのまま急いで!」
「がぅ!」
「…天より降り注ぐは断罪の光!放つは審判の一撃!ジャッジメント!」
ピシャーン‼
ユーマが魔法を詠唱すると不意討ちで盗賊達に魔法を放った。
「て、敵襲!」
「魔法使いだ!?逃げろ~!」
「冗談じゃね~‼」
盗賊達はユーマの魔法で大混乱に陥った。
「逃がさないもん!魔法の鎖よ!彼の者達を捕らえよ!マジカルチェーン!」
ジャラジャラ
ユーマは逃げようとした盗賊達を魔法で拘束した。
「何でお婆ちゃん達をイジメたの?」
「ガキ!?このクソガキ!放しやがれ!」
「マジカルチェーン…」
ギシッ
ユーマは質問に答えない盗賊を締め上げた。
「ギャッ~‼」
「ねぇ、教えて?お婆ちゃん達を何でイジメたの?」
「老い先短い連中に食料なんて必要ないだろ!わかったら放せ!」
盗賊の答えにユーマは…
「そう…だったら盗賊の人には生きる価値はないよね?」
「お、おい?」
ユーマの目は虚ろで、盗賊達を蔑んで見ていた。
「…地獄の業火よ…罪深き者達を焼き尽くせ…断罪の炎…ヘル…」
「そこまでよ!」
「むが!?」
ユーマが魔法の詠唱をしているとセレーナ達が現れて、セレーナはユーマの詠唱を手で塞いだ。
「殺しちゃ駄目よ‼」
「むが!?むがが!」
「そうね…悪い人達だけどユーマが人殺ししたらお婆ちゃんが悲しむよ…」
セレーナはユーマを説得しようと努力していた。
「むぐ…」
ユーマはセレーナの言葉に段々と落ち着きを取り戻した。
「コイツらどうする?」
「ギルドに引き渡ししましょう。懸賞とか出るかも知れないし」
「わかった。オチビ、ワイヤー出してくれ」
ユーマはポーチからワイヤーを出すとアキナに渡し、アキナは盗賊達を縛り上げた。
「アタシとセリーでコイツらを町まで連れてくよ」
「わかった、気を付けてね」
アキナとセリーは盗賊達を町まで連行していった。
「お姉ちゃん…」
「落ち着いた?」
「うん…」
ユーマは落ち着いた様子でセレーナと話始めた。
「許せなかったんだよね」
「うん…」
「でも殺しちゃ駄目よ。ユーマにはそんなことさせられないからね」
セレーナはユーマに言い聞かせるとユーマもわかったのかそれ以上は何も語らなかった。
「戻ろうか?」
「うん…」
ユーマはセレーナに手を引かれて村に戻った。
「坊や!無事かい!?」
「うん…」
ユーマが村に戻るとお婆さんに迎えられた。
「アタシ等の為に無理しないでおくれ…頼むよ」
お婆さんはユーマが無事に帰って来たことに涙を流した。
「心配かけてごめんなさい」
「ええんじゃよ。坊やが無事に戻ってきてくれれば」
「さて!ごはんにしようか!エリシア、ユーマも手伝ってね!」
セレーナは暗い雰囲気を振り払い、食事の準備をユーマとエリシアと一緒に始めた。
「出来たよ~‼」
料理が出来るとユーマは老婆達に声をかけて歩き回り、お年寄り達もぞろぞろと炊き出しの前に集まって来た。
「そうだ、チュウ太~。ネズミさん達を出してくれる?」
『ガッテン!』
ユーマが頼むとチュウ太はネズミ達、総勢100匹を出した。
「ねぇネズミさん」
『チュウ?』
ネズミ達が一斉に首を傾げてユーマを見詰めた。
「お家直せる?」
『チュウ!?チュウ…』
ネズミ達は何やら相談を始めた。
『チュウ!』
少しの間相談が行われてネズミ達は胸を叩き出来るとアピールした。
「お~!できる~!おねがいしていい?」
『チュウ!』
ネズミ達は各場所に散らばり修繕を始めた。
「よし!ボクも!」
ユーマも何かを始めて作業を進めた。




