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小さな僕は魔導機使い!?  作者: 猫丸
新たな旅立ち
55/120

55話



「お世話になりました」



「その言葉はあたしの方だよ。ありがとうよ」



「おばあちゃん、バイバイ♪」



朝になりお婆さんの家を出ようしていたセレーナ達だった。



「坊や…」



「ん?なに~?」



ユーマがお婆さんに近寄るとそっと抱き締められた。



「元気でね」



「う…うん!おばあちゃんもね!」



ユーマは何度も手を振り、お婆さんが見えなくなるまで振り続けた。



「進め~!」



「がぅ!」



「ご主人様~!置いてかないでくださいよ~!」



町を出るとユーマはいつも通りに振る舞っていた。



「セレーナさん…」



「大丈夫よ」



ユーマを心配するエリシアだったがセレーナは大丈夫と答えた。



「じゃあマジカルガンナー?道案内頼める?」



『あぁ、ここから北西に進んでくれるか?』



「北西…北西?この先には何もないわよ?」



マジカルガンナーの示す方角には何も載ってなかった。



『ふむ、となると主の出番だな』



「ぼく~?」



『また私と同じ反応を探してくれるか?』



ユーマはマジカルガンナーに言われた通り探知魔法で捜索してみた。



「う~ん…小さいよ?」



『ならそれを辿って貰えるかい?』



「わかった~!シャウ~、あっち~!」



ユーマは北西に進み、セレーナ達もユーマの後を追いかけて旅路を進めた。



「シャウ~…」



「がぅ?」



「何にもないね~」



何もないのでユーマは退屈になってきていた。



「そろそろ休みましょうか?」



「お~!シャウ、ストップ~」



シャウは止まるとユーマを降ろした。



「ごはん♪ごはん♪」



ユーマはセレーナが荷物を降ろすと近寄り、荷物を漁りシャウのごはんを準備し始めた。



「シャウ~、ごはんだよ~」



「がぅ♪」



待ての状態で待っていたシャウは呼ばれるとユーマに近寄って行った。



「ごはん♪ごはん♪」



「そうだ!ユーマ君、お魚さんを出してくれますか?」



「お魚さん?わかった~」



ユーマは折り紙リュックから魚を人数分出した。



「早速焼きましょう♪」



『ガッテン!』



チュウ太は折り紙ネズミに火起こし、魚の下ごしらえを済まし焼き始めた。



「どうしたんですの?セリーさんは?」



「何て言うか…本能?」



「遠からずって事かしらね…」



セリーは今か今かと焼き上がるのを待っており、焼き上がるのと…



「さぁ♪食べましょう♪」



セリーの掛け声とともに皆魚を食べ始めた。



「シャウ~、半分~」



「がぅがぅ!」



シャウは嬉しそうに尻尾を振り…



「がつがつ♪」



かぶりついた。



「ファリーも、アーン」



「ありがとうございます、ご主人様♪」



ユーマはファリーにも分け与えて、夕食を楽しく過ごした。



「う~ん…」



「どうしたんですか、ご主人様?」



次の日、ある場所に着くとユーマはキョロキョロとして何かを探していた。



「うん?反応がこの辺なんだ~」



「てことはまた地下か?」



『主よ、そこの岩を調べてくれるか?』



マジカルガンナー大きな岩を調べるようにユーマに頼んだ。



ガコン



「おぉ!開いた~!」



「って事はこの先に魔導機があると考えていいのね?」



『残っていればだがね』



セレーナ達は折り紙馬から降りると開いた岩の前に並んだ。



「チュウ太、折り紙をしまってくれる?」



『あいさ~!』



チュウ太は折り紙をしまうとユーマの肩に乗っかった。



「じゃあ、中に入りましょう」



セレーナ達は岩の中の階段を下りて魔導機探しを始めた。



「おお!明るい‼」



地下に入ると通路が明るく見渡せる程だった。



「どんな仕掛けなのでしょう?」



エリシアは初めて見る遺跡に興味津々だった。



「う~ん…シャウ、あっち」



「がぅ」



シャウは言われた通りに道を進んで行った。



「ユーマ君?場所がわかるのですか?」



「さっきから誰かがテレパシーで道案内してくれてるの~」



「ちょっ!?大丈夫なのか?」



ユーマの突然の発言にアキナは不安にかられたが…



「悪い感じじゃないよ~」



「ホントか?まぁオチビの勘は外れないらしいからな」



「大丈夫よ。ユーマはその辺、私より敏感だから」



セレーナの言葉に安堵した。



「あ、ここみたい」



シャウが扉の前で止まるとユーマはシャウから降りた。



「こんにちは~」



ユーマは扉を開けると挨拶しながら入った。



「って誰かいるのかオチビ?」



『おうおう元気な小坊主だな』



『相変わらずな口調だな、クリエイトハンマー』



部屋に入るとマジカルガンナーが祭壇に向かって語りかけた。



『懐かしい声だな、おい。マジカルガンナー久しぶりじゃねぇか』



『久しぶりだな。今日はお前の主になれそうな方をお連れしたぞ』



『なんだって!?何処にいるんだ!?』



マジカルガンナーの言葉にクリエイトハンマーは嬉しそうに声を弾ませた。



『主よ、クリエイトハンマーを持ってみてくれ』



「わかった~」



『こんな小坊主に…何!?素質があるのか!』



祭壇の中にあった手持ちハンマー型のクリエイトハンマー自身を持ち上げたユーマにクリエイトハンマーは驚いていた。



「わーい♪僕の~‼」



『まさかこんな小坊主に素質があるとは時代も変わったもんだね~』



『私の時も驚いたさ』



ユーマは嬉しそうにクリエイトハンマーを振った。



『いや~‼こんな殺風景な場所からやっと解放されるのか~‼』



「一緒にくる~?」



『おう!』



こうしてユーマは無事にクリエイトハンマーを手に入れた。



「じゃあ地上に戻りましょう」



セレーナはユーマが無事に魔導機を手に入れた事に安心して地上に皆で戻った。



「さて、貴方は何が出来るのかしら?」



クリエイトハンマーを手に入れてからセレーナ達は荒野を進み夜になってからクリエイトハンマーに何が出来るのか訊ねた。



『オレかい?オレは素材が有ればどんな物でも作る事が出来る魔導機でぃ』



「どんな物でも?」



『おぅ!小坊…大将、そこの太い枝を取ってくれるか?』



クリエイトハンマーに言われた通りユーマは枝を持ち上げた。



「どうするの~?」



『大将、剣を考えながらオレでその枝を叩いてくれるか?』



「わかった~!」



ユーマは言われた通り剣を想像しなから枝を叩いた。すると枝は木剣に姿を変えた。



「お~!変わった~!」



『これがオレの能力でぃ』



「またとんでもない物ね」



性能の良さにセレーナは呆れた。



『だが役に立つと思うが?』



「そうね。ユーマ、ちゃんと失くさないようにね」



「はーい♪」



ユーマは無くさないようにクリエイトハンマーをコートのポケットにしまおうとした。



『おいおい大将。それじゃオレが落ちちまうよ』



「お!どうしよう~?」



『大将、そのコートを脱いでオレで叩いてくれるか?』



ユーマはコートを脱いでアチコチをクリエイトハンマーで叩いた。



「何をしたんですの?」



『なぁに、オレが考える最強のコートに仕立てたのさ』



「…具体的には?」



エリシアの質問にクリエイトハンマーが答えた内容に不安を覚えたセレーナは具体的な内容を聞いてみた。



『具体的にかい?ちょっと強化しただけだ。劣化防止、ポケットに入れた物は落ちない、冷暖房機能、物理的防御、魔法防御くらいさ』



「もうそれはただのコートじゃなくて魔導機よ…」



セレーナは呆れてしまった。



「わ~!おばあちゃんのコートが新品に戻った~♪」



『大将が大切にしてるみたいだから直しておいたぜ』



「ありがとう、クリエイトハンマー♪」



ユーマは嬉しそうにしているのでセレーナもこれ以上は言うのを止めた。



「それでこれからどうする?」



「そうですね…」



『嬢ちゃん達は何をしてるんだ?』



クリエイトハンマーはセレーナ達の目的を知らないので訊ねてみた。



「えっとね、マジカルガンナーのお友達を探しているの~」



『友達?』



『私が意思を持つ魔導機が他にもあると言ったのでな、主が私達と同じ意思を持つ魔導機を探そうと言う事になったのだよ』



マジカルガンナーはユーマの代わりに説明をした。



『友達ね~、今はどれくらい集まったんだ?』



「えっとね、チュウ太~」



『お呼びですかい?』




ユーマはチュウ太を呼び寄せた。



「チュウ太とマジカルガンナーだけ~」



『他に役に立ちそうなのは…いねぇな』



『そうなのか?クリエイトハンマーなら心当たりがあると思っていたんだが…』



マジカルガンナーが意外そうに呟いた。



「知らないの~?」



『なくはねぇが…』



「ホント?」



ユーマの悲しい声にクリエイトハンマーは心当たりが有ると伝えた。するとユーマの声が嬉しそうになった。



『スピアウィップの場所なら分かるけどよ…』



「わーい♪新しいお友達がいた~♪」



『アイツ必要か?』



クリエイトハンマーは嫌そうな声で呟いた。



「やなの~?」



『大将が集めたいなら止めねけど…』



「お~!集める~!」



ユーマの嬉しそうな声にクリエイトハンマーは諦めた。



「あの、いいでしょうか?」



『ん?なんでぃお嬢ちゃん?』



「クリエイトハンマーの知ってる魔導機は何処に有るんですか?」



セリーは新しい魔導機の場所を聞いてみた。



『あぁここから南西に…歩いて十日って所だな』



「十日ね、意外と近いわね」



「なら、決まりだな」



今後の予定が決まると…



「そろそろ寝ましょう」



『警戒はアッシ等に任せてゆっくり休んでくだせ~』



「お願いしますね」



チュウ太が夜営の警戒を引き受けセリーが礼を言うと各々休んだ。


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