第48話
「まだ少し慌ただしいが気にしないでくれたまえ」
「は、はい」
客室に通されるとセレーナが真ん中に、セリーとアキナは両サイド、ユーマはセレーナの膝の上に座っていた。
「まずは自己紹介だ。私はジオ・ファル・レオニスだ」
「Aランクハンターのセレーナです。こちらにいるのがCランクのアキナとセリーで…」
「ユーマです!」
膝の上でユーマが片手を上げて自己紹介した。
「子連れでハンターかね?中々大変だろ?」
「いえ、この子は私の弟みたいな者でして」
「僕もハンターだもん!」
ユーマがプンプンと怒り始めたがセレーナが頭を撫でて静めていた。
「失礼しますわ」
すると着替えに行っていたエリシアが戻ってきた。
「では、改めて礼を。娘を救ってもらい感謝する」
「本当に助かりましたわ」
エリシアがソファに座ると改めてジオはセレーナ達に礼をした。
「いえ、私達は偶々居合わせただけですので」
「それでも救ってくれた事に変わりはないのだよ」
「それで君達にこれを」
ジオが手を上げると待機していた執事が小さな袋をセレーナ達に渡した。
「これは?」
「報酬と言った所かね。私にはそれくらいしか出来ないからね」
「何かな~?」
徐にユーマが袋を開け始めた。
「こら、駄目よ?」
「わぁ~!金ぴかだ~!」
「金貨!?」
ユーマが袋から出した物を見ると金貨だった。
「これは貰い過ぎです!」
セリーが慌てて返そうとするが…
「その中には口止め料も入っているのだよ」
「口止め料?」
アキナが聞き返すとジオが答えた。
「あぁ、他の貴族に知られると厄介でね」
この時セレーナはまた厄介事に関わったなと思った。
「私達は成り立ての貴族なのだよ。それが拐われたなど知れたら他の貴族から何を言われるか」
「貴族の面汚し…と思われてしまうと?」
「簡単に言うとそうだな」
事情を飲み込めたセレーナ達は…
「わかりました。この事は胸の内に」
「すまないな」
黙っていることにした。
「にゃんにゃ~ん」
「がぅ~♪」
すると退屈になったユーマが部屋の隅で丸まっていたシャウにジャレていた。
「ふふふ、可愛いですわね」
「ほら、ユーマ?」
「お話終わった~?」
ユーマは暢気に近付いて来た。
「終わったよ」
「眠た~い」
「あぁ、途中で起こしちゃったもんね?いいよ寝てて」
言われるとユーマはセレーナの胸の中で眠った。
「なら、今日の所はここで休むといい」
ジオが手を上げると待機していた執事が部屋の用意に向かった。
「そんな、お気遣いなく」
「今からその子を起こすのも可哀想だろ?」
ジオは眠ったユーマを指差して言った。
「今日は休んでいって下さいな」
セレーナがアキナとセリーを見て二人が頷いたので…
「では、好意に甘えさせていただきます」
休んでいくことになった。




