第46話
「あ!町だ~!」
ユーマの声に先を見ると小さく町が見えた。
「やっと着いたわね」
セレーナ達も足早に町向かうが…
「規制中?」
町に入れずにいた。
「そうだ。現在ある貴族様がこの町に滞在されている。都の方から来られた方なので丁重におもてなししているのだ」
「つまり不審者は入れないと?」
セリーが少しトゲのある言い方をした。
「悪いがそう言うことだ」
セレーナ達は町を離れ近くの森にやって来た。
「お姉ちゃん?何で町に入れないの~?」
「う~ん、大人のワガママかな?」
「ワガママはメ~!」
ユーマは可愛く怒って見せた。
「そうですね。ワガママは駄目ですね」
そんなユーマをセリーは頭を撫でてなだめた。そして夜も深まると…
ドォーン!!
町の方から煙が上がった。
「な、なに!?」
「町の方からだ!」
「ユーマ君!起きて下さい!」
爆発音と同時にセレーナ達は目覚め、セリーはユーマを抱っこして起こそうとしていた。
「むにゃむにゃ…お姉ちゃん?いちゅからこんにゃにお胸大きくなったにょ?」
ゴチン!!
「イッターイ!?」
寝惚けてるユーマに高速で拳骨が落ちた。
「起きた?」
「うぅ~…僕何も悪いことしてないのに…」
「お・き・た?」
セレーナが黒い笑顔で問い詰めると…
「起きました!」
ユーマは恐怖で目を覚ました。
「オチビ、魔法で町の様子はわからないか?」
「むり~!」
『ならアッシにお任せくだせ~!』
するとチュウ太が名乗り出た。
『アッシが折り紙ネズミと偵察してきやす!』
そう言ってポーチから折り紙ネズミが何匹も出てきてチュウ太と町に向かった。
「がんばってね~!」
ユーマが暢気に見送ってから三十分後…
『旦那~!』
チュウ太達が帰ってきて折り紙ネズミ達もユーマを取り囲んだ。
「何かわかった?」
『何でも貴族の泊まっている屋敷が襲われたみたいです』
「厄介事ね」
だがそれでは終わらなかった。
『その際にご令嬢が拐われたみたいっす』
「下手に関わらない方が良いわね」
「そうですね、今から関わると犯人扱いになりかねません」
セレーナとセリーの意見にアキナは文句を言わず賛同した。
『お嬢、悪いことに襲撃者がこの森に潜伏した可能性が高いっす』
「どういう事?」
『気になって辺りを詮索したんすが隠れられそうなのがこの森っす』
チュウ太の情報にセレーナは…
「巻き込まれる前に逃げる?」
「そうしたいですけど…」
「立場が悪くならないか?」
二人の反応を見たセレーナはユーマに頼んだ。
「ユーマ、私達以外に人が居ないか探してくれる?」
「わかった~!」
ユーマは杖を出すと探知魔法を発動した。
「む~…アッチ!五、六人いるよ」
「チュウ太、偵察お願い」
『ガッテン!』
ユーマの魔法に引っ掛かった反応をチュウ太が偵察に向かった。
「チュウ太待ちね」
少ししてチュウ太が戻ってきた。
『お嬢、残念な知らせっす。この先に賊らしき数が五人、ご令嬢らしき人が一人』
「仕方ない」
セレーナが剣を構えるとアキナ達も各々の武器を持った。
「ユーマ?万が一に備えて貴族の護衛をお願い」
「魔法でやっつけるのは駄目なの?」
「貴族に魔法を見られると厄介な事になりそうだから控えてくれる?」
万が一貴族に気に入られでもしたらそれこそ厄介である為、セレーナはユーマに魔法を使うのを制限した。
「わかった~!」
「ファリー、シャウ。ユーマの護衛をお願いね」
「お任せです!」
ファリーとシャウもユーマの側に付いた。
「じゃあ行くわよ?3、2、1、0!」
セレーナがカウントすると、セレーナとアキナとユーマは飛び出しユーマは貴族の護衛に、アキナとセレーナは二人ずつ相手をし、隙をついてセリーが矢で賊の足を狙い射ち動けないようにしていった。
「この~!」
すると賊の一人がユーマに向かっていった。
「えーい!」
ユーマは覚えたての棒術と…
「グハッ!?」
魔導機のおかげで賊を撃退した。
「ハッ!」
その隙を逃さず、セリーは矢を次から次へと賊の足に矢を命中させた。
「まだやる?」
セレーナの問いに賊は足を抑えながら項垂れた。
「アキナ、縛ってくれる?」
「任しときな、大人しくしてろよ?」
アキナは若干脅しながら賊を縛りあげた。




