第39話
「今日はご苦労じゃったな」
「いえ、そんなこと」
「お主等のおかげで魔導機は無事、町も救われた。これだけの功績じゃ、何か望みはあるか?」
町に戻るとギルドマスターの部屋で今日の功績を労らわれていた。
『では、私が主の下にいるのを許可してもらいたい』
「うむ、確かに坊主しか使えんし見つけれたのも坊主の功績じゃし…よかろう。その魔導機は坊主が持つといい」
「わーい♪」
ユーマは外していたベルトを巻くとホルダーにマジカルガンナーを入れた。
「ギルドキラーが持っていた魔導機はどうでした?」
「ギルドキラーが持っていた魔導機についてはのぉ…」
「何か問題でも?」
言葉を濁したギルドマスターにセリーが尋ねると…
「使い所が難しいのじゃよ」
「難しいんですか?」
「玄人が付けても効果はないんじゃよ」
皆はギルドマスターの言葉に耳を傾けた。
「まず、腕輪の方じゃがあれは自衛が出来るようになる腕輪じゃ。素人レベルからBランク位になる程度じゃな。次にネックレスじゃがアレは身に付けた者のスピードを速くするんじゃが、ある程度のスピードが出せる者じゃと効果はないのじゃよ」
「また、使い所が難しいですね」
「要らないの?なら僕の~!」
すると無邪気にユーマが魔導機を自分に身に付けた。
「こら、ユーマ?イタズラしないの。元に戻して」
「いや、坊主に譲ろう」
「えっ!?」
ここで思わぬ事を言い出したのはギルドマスターだった。
「何、魔導機を譲る代わりにギルドキラーを捕縛した功績をここのギルドの功績にしてもらいたいのじゃ」
「なるほど…わかりました。その提案で構いません」
「決まりじゃな。坊主、それはお主の物じゃ」
ギルドマスターの言葉にユーマは喜んだ。
「わーい♪」
「お主等にもそれなりの報酬を用意した。一人、銀貨五十でどうじゃ?」
「五十ですか!?」
報酬の金額にセリーは驚いていた。
「随分、高額だな?」
「ギルドキラーの討伐金がそのくらいじゃからな」
「へぇ、意外と高額だったな」
セレーナ達は思いもよらぬ収入に喜んだ。
「さて、そろそろ酒場に行くかの」
「あの~…本当によろしいのですか?」
「構わん構わん。ドンと食え」
余裕のギルドマスターだったがこの後、後悔することになる。
「ほれ、行くぞ」
ギルドマスターは酒場にセレーナ達と向かった。
「さあ、好きなだけ頼むがよい」
「お姉ちゃん?」
「いいよ、好きに頼んで」
酒場に着いたセレーナ達は席に着き、セレーナの許しを得たユーマは…
「すいませーん!」
「はい、ご注文はお決まりですか?」
「ここからここまでくださーい!」
ユーマの言葉にギルドマスターとウェイトレスが固まった。
「取り合えず、後ビールを四つ」
「か、かしこまりました」
ウェイトレスが下がると…
「坊主?あんなに頼んだらワシ等でも食いきるのは大変じゃぞ?」
「えっ?僕の分しか頼んでないよ?」
「…何?」
ユーマの言葉にギルドマスターが固まりかけた。
「ギルドマスター?この子、実は大食いなんです」
「なんじゃと!?」
「使った魔法の量によって食べる量も変わるんです」
ここにきてギルドマスターの顔色が変わった。
「冗談じゃろ?」
「マジです」
「お待たせしました~」
そこにウェイトレスが料理を運んできた。
「いただきまーす♪あむあむあむあむ♪」
「がつがつがつがつ!」
「因みにシャウも大食いです」
一人と一匹は一心不乱に食べていた。
「えっと…ご馳走になります?」
「えぇい!一度言ったことは変えん!好きなだけ食え!」
セリーが控えめに言うがギルドマスターは一度決めた事は変えようとしなかった。
「あむあむあむあむ♪すいませーん!今度はここからここまでお願いしま~す!」
「か、かしこまりました~!」
いつも以上に食べていた。後にギルドマスターは語った…貯金していてよかったと。




