第36話
「!お姉ちゃん!」
「な、何!?」
次の日の朝、ユーマが突然起きてセレーナを起こした。
「下から凄い黒い気配を感じるよ!」
「下の階から?魔物?」
ユーマはすると首を降った。
「違うよ、もっと下から」
「もっと下?地下?遺跡!」
セレーナも何かに気付いた。
「ユーマ!すぐに着替えて!」
「うん!」
二人は着替えるとギルドに急いで向かった。
「ギルドマスターに面会を!」
「お、お約束はされていますか?」
セレーナの迫力に思わず受付嬢は引いた。
「緊急よ!はい!」
バン!とセレーナはライセンスを出した。
「っ!はい!少々お待ち下さい!」
Aランクのライセンスと分かるとすぐに職員はギルドマスターの所に向かった。
「ユーマ、黒い気配は消えてない?」
「うん、まだ感じるよ!」
「お待たせしました。どうぞ!」
セレーナ達はギルド長の部屋に通された。
「どうしたんじゃ?朝から騒々しい」
「ギルドマスター!地下にギルドキラーらしき気配をユーマが捉えました」
「なんじゃと?」
ギルドマスターも態度を一変させた。
「朝、ユーマが地下から黒い気配を感じたんです。そして今も…」
「感じる~」
「まさか、もう遺跡に入られたとは…」
ギルドマスターもこの事態は想定してなかったらしい。
「すぐにハンターを!」
「無理じゃ。ギルドキラーと対等に戦える者なぞワシ位しか…そうじゃ!お主等もこい!」
「…わかりました。ユーマ、行ける?」
セレーナはユーマを見て確認した。
「大丈夫~!今ファリーにアキナさん達を連れてきてもらうね」
「時間が惜しい!途中で合流するぞ!」
ギルドマスターも自分の武器を持つと部屋を出てセレーナ達も続いた。
「ファリーに町の出口に向かってって頼んだ~」
「よくやった坊主!」
セレーナに抱えられたユーマはギルドマスターに落ち合う場所を伝えた。
「セレーナ!」
「ご主人様!」
すると着く前にアキナ達が合流してきた。
「がぅ!」
「シャウ、ユーマをお願い」
セレーナはユーマをシャウの背中に乗せ自分も走る事に専念した。
「大体の話はご主人様を通して聞いていました。皆さんにも伝えてあるです!」
「話が早くて助かる!皆の力を借りるぞ!」
ギルドマスターを先頭に遺跡に向かった。
「ここじゃ」
町から少し離れた場所に遺跡の入口が隠されていた。
「坊主、どうじゃ?」
「うん、さっきより感じるよ」
「ここから先は何があるか分からん。慎重に行くぞ」
ギルドマスターが進もうとすると…
「だめ!」
ユーマが慌てて止めた。
「坊主?どうしたんじゃ?」
「えぃ!」
ユーマが近くに落ちていた枝を投げると…
カラカラカラン
枝が細切れになった。
「なんじゃと!?」
「見えないかも知れないけど魔法の刃が無数にあるよ!」
「マスター、ご存じでは?」
セリーが訪ねると…
「知ってたら進まんわい」
ギルドマスターも知らない様子だった。
「困ったわね…これじゃ進むのが難しいわね」
「お姉ちゃん、見えるようにする?」
「出来る?」
セレーナはユーマに魔法の刃が見えるように出来るか頼んで見た。
「うん!えっと…見えざる物よ姿を現せ、インボディメント!」
すると見えなかった魔法の刃がセレーナ達にも見えるようになった。
「随分と丁寧に作ってくれたものじゃ」
「とにかく急ぎましょう」
セレーナ達は慎重に奥へ進んで行った。
「でもギルドキラーの狙いは何でしょうか?」
「恐らく魔導機じゃろうな。運が良ければ相当な物が手に入るしの」
「そんなに魔導機って凄いのか?」
魔導機を知らないアキナにとっては理解出来なかった。
「それこそ物によっては一攫千金も狙えるからね」
「へぇ」
「説明は後じゃ急ぐぞ!」
セレーナ達は遺跡の地下を進んで行った。




