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小さな僕は魔導機使い!?  作者: 猫丸
新たな仲間
34/120

第34話



「意外に多いわね」



「何でだ?しかも討伐系ばかり」



「食料不足なんじゃよ」



セレーナとアキナが依頼書が貼られてる掲示板を見ているとギルドマスターが後ろから声をかけてきた。



「食料不足?」



「魔物に食料を食べられた家々が多くてのう…町の保管庫もやられたしの」



「ああ!だから狩りをして動物の肉が必要って事なんだな」



ギルドマスターの説明にアキナは納得した。



「なら、数をこなしましょう」



「だな!」



「頑張る~!」



すると突然、ユーマが足下に現れた。 



「オチビ?いつ来たんだ?」



「今~!僕も行く~!」



「はいはい、じゃあ一緒に行きましょう」



セレーナは掲示板から依頼書を剥がすとカウンターに持って行き手続きを済ませた。



「行きましょう」



「お~!」



ユーマを先頭にセレーナとアキナも付いていくと途中でセリーと出会った。



「皆さんでお出掛けですか?」



「依頼よ」



「ありましたか?」



依頼が少ないと思っていたセリーだが答えは違った。



「討伐…狩りがメインで多くあったぞ」



「狩りですか?」



「食料不足らしいわよ」



セリーの疑問にセレーナが答えた。



「なるほど、だから狩りが多いのですね」



「いっぱいあったよ~!」



「じゃあちょっと見てきますね」



セリーはユーマの頭を撫でるとギルドに向かいセレーナ達も町の外に向かった。



「一杯だ~♪」



「だぁ~!何でオチビはそんなに元気なんだよ!」



狩りの帰り道、ユーマが元気に歩いているとアキナはたまらずツッコミをいれた。



「若さ?」



「よし!オチビ!ソコに座れ!」



「やだ~!」



アキナの表情が鬼の様になったのを見たユーマは逃げ出した。



「貴女も元気じゃない」



セレーナは呆れながらも後を追いかけているとユーマが突然止まった。



「おっとと。どうしたオチビ?」



「う~ん…アッチ!」



「アッチ?何かあるの?」



ユーマが指差した方角をセレーナとアキナが見ると大きな岩が遠くに見えた。



「誰か助けてって声が聞こえる」



「声が?全然聞こえないぞ?」



「多分テレパシーだよ」



ユーマの答えにセレーナは少し考えて岩の方を見つめた。



「行ってみましょう。様子だけでも見て決めましょう」



「オッケー、オチビ」



「お~!」



岩に向かって歩き出すとユーマが何かに気がついた。



「お姉ちゃん、魔物の気配もあるよ」



「魔物?」



「まさか襲われてるのか!?」



三人は駆け出し岩の影に慎重に回り込んだ。



「おっきなネコだ~♪」



「いやいや、魔物だろ!」



ユーマが魔物を見てネコと喜ぶが実際は魔物である。



「シャドウパンサーね。だいぶ弱ってる…ん?」



セレーナが魔物を診ているとお腹の上に小さな者が居た。



「ソイツも魔物か?」



「見た目からして妖精族みたいだけど…」



「妖精さん?大丈夫?」



ユーマも心配そうに覗きこんだ。



「この子も弱ってるわね。多分衰弱ね、食料が無かったんでしょう」



「お腹減ってるの?だったらコレをあげる!」



ユーマはシャドウパンサーと妖精の前に干し肉を差し出した。



クンクン



するとシャドウパンサーと妖精は同時に食べ物の匂いで目を覚ました。



チラリ



シャドウパンサーと妖精は干し肉を差し出しているユーマを見ていた。



「食べていいよ♪」



がつがつ



ユーマの言葉にシャドウパンサーと妖精は干し肉にかぶりついた。



「わ~♪元気になった!」



「いやいや、腹が減ってるからだろ」



ユーマの勘違いにアキナはツッコミを入れた。




「はふ~♪助かりました!ありがとうございます~」



「それで?貴女達は何でこんな所で倒れてたの?」



干し肉を食べ終わったシャドウパンサーと妖精が礼をするとセレーナが疑問に思った事を尋ねた。



「宛のない放浪をしてまして…食料もなく、もう駄目かと思いました」



「お礼ならこの子に言って。貴女達に気付いたのも食料を分けたのもこの子だから」



セレーナはユーマを前に出すと妖精に見えるようにした。



「感謝感激です!私達に食料を分けてくれるなんて」



「えへへ♪元気になって良かったね妖精さん、ネコさん」



「ああ!自己紹介がまだでした!私はファリーです!こっちはシャウです」



ファリーは嬉しそうにユーマの周りを飛んでいた。



「恩返しをしたいのですが私達には人間さんの使うお金を持っていません…」



「気にしなくていいよ~」



「いえ!このままでは私の気が済みません!ですので…」



ファリーはユーマに近付くと…



チュ



ユーマのおでこにキスをするとファリーの体が光った。



「ちょっと!何をしたの!」



「契約をさせてもらいました。命を助けてもらったのですからこれくらい当然です」



ファリーは胸を張って断言するがセレーナは気が気でない。



「契約ってなんだ?」



「妖精族は主と決めた人と魔力を同調させる事によってその人の片腕になるのです!」



「だからって!」



セレーナは勝手に契約された事を怒っていた。



「人間さんの間ではお金が払えなかったら体で返すという習わしがあると聞きました!」



「いやいや!それ間違ってるからな!」



アキナはファリーの間違いを正した。



「そうなんですか!?」



「そんな習わしはないから、普通」



「でもでも!助けてもらった上に食料まで頂きました。ご恩は返しませんと」



ファリーは少し落ち込むが直ぐに立ち直った。



「がぅ」



「ネコさん?」



「シャウも貴方と契約をしたいと言ってます」



シャウはユーマの前に座るとジッと見つめた。



「どうやって~?」



「使い魔の契約をすれば大丈夫です!」



ファリーは契約のやり方を説明をした。



「お姉ちゃん?」



「しょうがないわね。いいよ」



「うん!」



ユーマはセレーナの了承を得るとファリーが使い魔の契約魔法陣を出した。



「えっと…汝、我が手足となり、我に仕えよ、汝の名は…シャウ」



「がぅ!」



シャウが鳴くと契約が終わった。




「らっくちん♪らっくちん♪」



「落ちないようにね?」



町へ向かう中、ユーマはシャウの背中に乗せて貰っていた。



「所でファリー?何で宛のない放浪をしてたの?」



「実は妖精族には成人になった者の中で選ばれた者は旅に出て主人を探す掟があるんです」



「それで選ばれた訳ね?」



セレーナは大体の事情を察した。



「それで私が旅に出る時にシャウが私と一緒に行くと言ってくれて一緒に旅をしてました。ですが中々主人になってくれる人間さんは居なく、食料も無くなりもう駄目かと思った時にご主人様にお会いしたんです」



「なるほどね。所でユーマの呼び方は他にないの?」



「ご主人様はご主人様です!これは譲れません!」



ファリーは確固たる意思を示した。



「ごしゅじんさま?僕が?」



「そうなのです!」



「僕、ごしゅじんさま!」



ユーマも嬉しそうにしているのでセレーナもいいかと納得して町へ戻った。



「お手」



「がぅ」



宿に戻り、ユーマはシャウとじゃれていた。



「いやいやいや!猫科の魔物にお手はおかしいだろ!?」



「シャウならあれ位朝飯前です!」



「子供のやる事に一々突っ込まないの」



アキナは突っ込み、ファリーは胸を張り、セレーナはいつもの事と眺めていた。



くぅ~



「お姉ちゃん、お腹減った~!」



「ん?そうね、そろそろご飯にしようか?」



「んじゃ、食堂に行くか」



セレーナとアキナは立ち上がりユーマも立とうとしたら…



「がぅ」



シャウがユーマの襟をくわえるとユーマを立たせた。



「さぁご主人様、行きましょう」



ファリーもユーマの肩に座ると一緒に向かった。



「あむあむ♪」



「がつがつがつ」



「ペットって飼い主に似るのね」



セレーナはユーマとシャウが同じ様に食事をする様を見て似てるなと思った。



「おかわり~♪」



「がぅ」



「…食費も増えそうね」



セレーナは懐が軽くなっていくの嘆きながら眺めた。

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