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小さな僕は魔導機使い!?  作者: 猫丸
新たな厄介事
32/120

第32話

そして何事もなく朝になった。



「ん?」



セレーナが目を覚ますと膝に重みがない。辺りを見回してもユーマの姿は何処にも見えなかった。



「ユーマ?ユーマ!!」



「お姉ちゃん呼んだ?」



セレーナが呼ぶとすぐにユーマが現れた。そしてユーマの手には木の実が沢山抱えられていた。



「木の実採ってきたよ」



「ありがとう、でも一人で行っちゃ駄目でしょ?」



「大丈夫だよ~」



ユーマは大丈夫とアピールしたかったがセレーナは少し過保護があるためかユーマの行動を注意してしまった。



「アキナさん、起きて~。朝だよ~♪」



「朝か?ん~!!」



アキナは背筋を伸ばすと軽く体を動かした。



「朝ですか~」



アキナにつられてセリーも起き出した。



「木の実採ってきたから、はい」



ユーマはアキナとセリーに木の実を差し出した。



「私の分も?」



「うん♪」



ユーマは木の実を渡すとセレーナの横に座り木の実を美味しそうに食べ始めた。



「さて、これからどうするかね…」



「闇雲に歩いても迷うだけだぜ」



アキナの言い分は最もである。下手に歩けば迷い続け、余計に時間を無駄にする。するとさっきから黙っていたユーマがセレーナに声をかけた。



「お姉ちゃん、山から出れればいいの?」



「そうね、あと出来れば町の方角がわかればいいわね」



「わかった~」



そう言ってユーマはポケットの中からオールを出し折ると鳥に変化させた。



「う~ん、あ!あっち!!」



するとユーマはある方向を指差した。



「あっち?何かあるの?」



セレーナがユーマが指差した方を見るとアキナ、セリーもその方向を見た。



「山の頂上!」



「そうか!オチビ、ナイス!」



「何がよ?」



意味のわからないセレーナにアキナが説明を始めた。



「オチビはさっきの鳥で山を見てるんだよ」



「山を?どうやってよ?」



「あのねお姉ちゃん、魔導機が見てる景色をね僕も見れるんだ」



アキナの説明に続いてユーマも説明を始めた。



「景色を?」



「うん、だからあっち」



ユーマが歩き出すとセレーナ、アキナも後に続きセリーも行くあてが無いためその後を追いかけた。



「ふんふふーん♪」



ユーマは楽しそうに山道を登りセレーナ達を誘導した。


「着~いた着~いた、てっぺんに着いた~!」



「オチビは何であんなに元気なんだ?」



ユーマは何が楽しいのか異常にテンションが上がっていた。



「はいはい、てっぺんに着いたわね。ユーマ、町はどっち?」



「あっち~」



ユーマが指差した方に微かだか町が見えた。



「なら、行きましょう。乗ってユーマ」



「は~い♪」



ユーマはセレーナがしゃがむと器用に荷物を登っていき上に座った。



「貴女はどうする?」



「私もあの町に行ってみようと思います」



セレーナはセリーに今後の事を聞いたが行き先は同じだった。



「行き先は同じなんだし仲良く行こうぜ」



アキナも荷物を持ち歩きだしセレーナ達も続いた。



「ふんふふーん♪」



「ご機嫌だなオチビ」



「うん♪」



ユーマが楽しそうにしているとおかしな事に気付いた。



「あれ?」



「どうしたの?」



ユーマの異変に気付いたセレーナは足を止めた。



「お姉ちゃん、あの町何か変」



「変?どういう事?」



「あちこちで煙が上がってるよ」



セレーナ達はとっさにしゃがむとセレーナはユーマを荷物から下ろした。



「ユーマ、周囲に魔物がいないか探って」



「わかった~!」



ユーマは集中すると周囲の様子を探った。



「う~ん」



「どう?」



セレーナがユーマにたずねると最悪な答えが返ってきた。



「あっちに沢山の魔物がいるよ」



「どのくらいだオチビ」



「数えきれない」



ユーマが指差した方は町と反対の方向だった。



「どんどん離れていくよ」



「魔物の襲撃か?」



「その可能性が高いと思います」



アキナとセリーが話ながらセレーナを見た。



「どうする?このまま行くと危険よ?」



「ですけどこのままほっとくのも…」



「気分悪いよな」



セレーナ達は覚悟を決めると町に向かった。


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