第19話
「アタシが受けた依頼はモンスターの調査だ。最近見慣れないモンスターがこの森にいるって事で可能であれば捕獲してくるよう依頼された」
確かに依頼書にはモンスターの探索の依頼が載っていた。
相手の女性が嘘をついてる可能性は低かった。
そこでセレーナは女性の名前を聞いてない事に気付いた。
「自己紹介がまだだったね、私はセレーナ・フォンテ。それでこの子はユーマ・トレイル。フリーのハンターよ」
「アタシは、アキナ。アキナ・ユーベル、アタシもフリーのCランクハンターだ」
二人は自己紹介を済ませると今後について話しをしようとしたがここで問題がおきた。
先程からやけに静かなのである。
セレーナが気付いて周りを見るとユーマがいなくなっていた。
「ユーマ!ユーマ!」
セレーナが声を上げるとガサガサと茂みが揺れた。
セレーナが構えるとアキナも遅れて構えた。
「な~に、お姉ちゃん?」
茂みからユーマが出てくると何かを引きずっていた。
良く見るとモンスターであるのはわかる。
「どうしたの、それ」
「うんとね、お姉ちゃん達が話している時に近くに来たから退治した」
迂闊だった。いくら強力なモンスターを退けたといってもここは森の中。
モンスターが他にいることをセレーナは失念していた。
普段ユーマにモンスターの出る場所では油断しないように言い聞かせているのに、自分が忘れてしまっては本末転倒である。
「ごめん、ユーマ。お姉ちゃん、油断してた」
「気にしないで~、それよりこのモンスターどうする?」
ユーマが引きずっていたモンスターを見ると猪の様なモンスターである。
毛皮や肉などを剥ぎ取れば売れるかもしれない。
仮に売れなくても肉なら干し肉して保存食にしておける。
「じゃあ、剥ぎ取って町に持っていこうか。アキナ、話の続きは町に戻ってからでいい?」
「アタシは構わないよ」
アキナに了解を得るとセレーナは慣れた手つきでモンスターを捌いていった。
ハンターなど、やっているとこういう作業は良くある事で慣れていないと非常食など手に入らなくなる。
肉を木の葉で包むと鞄にしまい帰る準備を済ませた。
「ユーマ、なるべくモンスターに会わない道を教えて」
「うん♪こっち~」
帰りはユーマに先導してもらいモンスターに会わずに森を抜け出した。




