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第1話
「お姉ちゃ~ん、まだ~?」
森の中で小さな子どもの声が響いた 。
「この森を抜けたら次の町に着くか らもうちょっと我慢してね?」
女性は上を見て答えると…
「わかった~♪この辺にモンスター はいないよ~」
元気な答えが帰ってきた。
「ありがとうユーマ」
ここで気付いて欲しい。なぜ女性は 上に向かって返事をしたのか? それは彼女が背負っている荷物が自 身の背丈より高いのである。 さらにその上に三歳くらいの子ども が器用に座っていた。
「お姉ちゃ~ん、次の町にはどれく らいいるの?」
「うーん、ちょっと路銀が少ないし 少し留まるかな」
女性は路銀の入った袋を確認しなが ら答えた。
「そっか~」
ユーマは嬉しそうに答えていると…
「ん?あそこで森の外かな?」
女性は歩くスピードを上げると森の 外に向かった。