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第8話 時空魔法とジョブチェンジ(?)

フラウさんが朝食の用意をする為に退出した後、渡された手鏡で自分の髪の毛を満足いくまで、散々チェックしたあたしは寝室から出ることにした。

……その際に手鏡を持ち出すことも勿論、忘れはしない。



えっ?だって、もうあたしの物だし。

持ち歩くのは当たり前じゃないですかー。

慰謝料にしては良心的だし。

別にいいでしょー…?

っていうか、いいよねーっ?



寝室を出たあたしは昨日フラウさんからもらったテディベアが置いてあるソファーへと鼻唄まじりに向かう。

テディベアの横にはあたしのバックがちょこんと置いてあった。

多分フラウさんが置いておいてくれたんだろう。



うんうん。

流石、フラウさん。ありがとー。



あたしは手鏡をソファーの前にあるテーブルへと、そっと置くとテディベアへと抱き付きその感触を楽しんだ。



ぬはー…今日もサラサラモフモフー…。

このコも出ていくときは連れていかなきゃなー。



あたしはテディベアを抱き締めながら人目を気にせずに小さいとは言い難いこの熊のぬいぐるみをどうやって運ぼうかと思案に暮れ始めた。

そして使えそうな魔法を思い浮かべていたあたしは時空魔法の中に亜空間を作る魔法がある事に気付く。



ここを出る前にその魔法で亜空間を作ってそこにテディベアを入れれば人目を気にせず持ち運び出来るじゃんっ!!

それに亜空間の入り口をこのバッグに繋げておけば四次元バッグにもなるし一石二鳥じゃない!?

うんうん、そうしよー。



本当はすぐにでも亜空間を作ってみたかった。

けど"遮断"以外の魔法を使って更に見張りが増えたりしたら益々面倒だ。

……見張りが増えるだけならまだマシかもしれないが…。

そんなことを考えてしまい、あたしの表情も気付かぬうちに渋いモノへと変わってしまう。




「…Curiosity Kills the Cat 、か…」



「Curiosity Kills the Cat 」はイギリスの諺で直訳すると[好奇心は猫を殺す]。

好奇心はほどほどに…という意らしい。



あー…、うん。今のあたしにはピッタリな諺だよねー…。

亜空間にも四次元バックにも個人的に憧れがあったしー…。

それが自分で作れちゃうんだよー?

すぐにでも作りたくなるでしょー?

でもさー、亜空間を作るには莫大な魔力を消費するし維持するにもバカみたいに魔力が要るみたいだからさー、…使える人間が今現在、全く居ないみたいなんだよねー…。

そんな莫大な魔力の流れを城内に感じたら誰だって警戒するでしょー?

憧れがあったし、すぐにでも作りたいけど…。

……ねぇ?



しかも下手したら監視対象から殺害対象になりかねないのだ。

……いや、おそらくなってしまうだろう。

"勇者"になんて絶対になりたくない。

そんな、あたしがどうなるのか…考えるのは容易い。

勿論、黙って殺される気はないし負ける気も理由もないけど苦戦を強いられてしまう確率も0では無い。

……悲しい事に今のあたしには色々と経験が足りないのだ。




…もし上手く逃げ失せたとしても愛らしい幼女からヤバい指名手配犯にジョブチェンジ?

いやいやいやいや、冗談じゃないっす。




出ていくにしても面倒は少ない方がいいに決まっている。

それは間違いない。




「……っていうか何一人でシリアスしてんの?あたし…」




最初は「テディベアをどうやって人目を気にせずに運ぼうか…」という可愛らしい悩みだったはずなのに。

なぜか変な方向へと意識が向いてしまった事に気が付きあたしは軽く項垂れてしまう。




……なんだかなぁ…思ったよりもあたし弱ってんのかねぇ?




あたしはフラウさんが朝食を運んで来てくれるまで、テディベアを抱き締めたまま軽く凹んでしまった。

勿論、手鏡はフラウさんが来る前に気が付きバッグの中へ収納済みです。






……あたし思ってたよりもストレス溜まってたんだねぇー?

まぁ、愛らしい幼女からヤバい指名手配犯にジョブチェンジしない為に大人しくしてるんだけどさー…。


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