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第5話 優先順位と破棄された魔法

満腹満腹。

もう、これ以上は無理ー。

暫く動きたくない…。



結論から言うとお城の夕食は微妙だった。

ここの世界では味付けが基本、塩らしい。

…………………らしい、じゃないな。

…うん、塩。塩のみ。



確かにね世の中にはシンプル イズ ベストとかいう言葉もあるけどさー。

個人的に料理の味付けがシンプルなのはいただけないよー。

美味しい食事は生きる活力なんだよー?

生きていく楽しみなんだよー?

お腹がいっぱいになるまで、食べておきながら言う事じゃないけどさー。

あたしはこの世界の味付け事情に異を唱えさせてもらいます!!




……この世界での味付けは基本的に塩というのは先程、身を以て知った。

……悔しい事に。

残念ながら"知識"には、食べ物に関する情報はあったのに食事の味付け事情に関する情報は見当たらなかった。

それを深く考えなかったあたしは昼間のクッキーが素晴らしかったので夕食にも期待し、その結果ショックを受けたんだ…。

けど、その苦い思い出を胸に自分の為にも食に関する知識は"優先的"に集めようと、あたしは今、この瞬間を以て決意した。



という訳で。

この世界の味付けに不満がたらたらなあたしはフラウさんに昼間のクッキーについて問いかけてみた。



「お昼のお菓子は何で甘かったのー?」



「お昼のお菓子ですか?あれは最近、商人がルシオンから仕入れてきた砂糖という甘味料を使って作られているんですよ」



「そうなんだー。ルシオンには他にも色々あるのかなー?」



「どうでしょうか…。もしかしたらあるかもしれませんね。商人を見かけましたら確認してみますわ」



「ありがとう、フラウお姉ちゃん」



うんうん。

ありがとう、フラウさん。

流石、メイドさんの鏡。

素敵です。



別名、"商人の国"と呼ばれている"ルシオン"。

確かにルシオンになら砂糖があっても可笑しくはない。

新しいモノを常に探求しており初めて見聞きするモノや珍しいモノに興味を持つ好奇心の塊みたいなルシオンの国民性からして現状に満足しているはずが無い。



ここから出たら、まず最初にルシオンに行ってみようかな…。

そうなると…やっぱり見張りは邪魔だよねぇ?

見張られている現状も面白くないし。

さっさと見張られてる理由を突き止めて出ていこうかなー?

フラウさんは素敵だけど、なんか思ってたよりもお城の暮らしってつまんないみたいだし。

あたしの予想が外れていなければ明日、誰か来るだろし、やっぱりその時に探りをいれてみよー。そのあと色々考えればいいよねー?

ルシオンに行くにしても移動手段とか先立つモノとか必要だし。



あたしはフラウさんから貰ったテディベアに抱き付いたまま、その感触を堪能しつつ、そんな事を考えていた。






「リン様、湯浴みの用意をさせていただきたいのですが一旦、下がらせていただいてもよろしいでしょうか?」


懐中時計で時間を確認したらしいフラウさんが、いつの間にか思考の海に沈んでいたあたしにそう問いかけてきた。




「…あ、うん。いってらっしゃーい」




あたしの返事を確認したフラウさんが一礼して部屋を出ていく。

フラウさんが出ていったのを確認したあたしは明日、聞かれそうな身の上話を考え始める。

大まかなストーリーは既に考えてあったので、あとはどれだけ信憑性を持たせるか…。うーん…。

まぁ、見た目が幼女なので疑われる事はほぼ無いだろう。

あとは…、ネックレスに埋め込んである魔石以外に使えそうな魔法を幾つか考えておく。

慎重過ぎて困る事は今の時点では無いだろうし。



それにしても…。

中には、なかなかえげつない魔法もあるんだーねー。



"禁術"って呼ばれるそれらは随分と昔に破棄された、この世界の人の手に負える代物ではない色々とヤバい類いの魔法らしく、それらが記載されていた魔術書も全て処分されてしまい、どこにも残って無いらしい。

だから、今、その魔法を使えるのは自ずとあたし1人だけ、となってしまう。



うはー…。

ちょっぴり、いつ使う機会があるんだろ〜って考えてドキドキしちゃったよ〜。

だってさ、相手の意識を乗っ取る事も出来るのに乗っ取る事はせずに体だけ乗っ取るんだよ?

…そこはかとなく鬼畜な匂いがするじゃん。

あとは相手から魔力を根刮ぎ搾り取って自分の魔力にするとか、さー。

"根刮ぎ"とか…なかなか鬼畜だよね〜。うふふ…。

体を鍛えていない魔術師に戦場とかでそれ使ったらどうなるか…。

その末路は考えるまでも無いだろうし。

うーん、ドキドキワクワクしますなぁ〜。



流石は"禁術"。

"知識"から更に詳しく調べてみると…。

なんともバラエティー豊かなラインナップ。

"禁術"っていうより"拷問用魔法"って呼べそうなモンまである。






…。

……ん?

………んんっ!?

……えーと、なんか、それだけでも"魔王"の座を狙えそうじゃないかい!?

…あ。でも、…魔物にもそれって使えんのかなー?

うーん…。機会があれば試してみればいっかー。

………"拷問用魔法"も気になるし。

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