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第13話 良心の呵責と盲点

フラウさんの猛攻(?)に返す言葉も無く唖然としてしまっていたあたし。

そんなあたしが漸く気を取り直したのはフラウさんが出ていって数分後の事だった。



確かに助かるんだけどさー…。

どうしようかなー…。



フラウさんが言っていたように、この世界の常識とかを知っている人が居た方が何かと都合はいい。

……都合はいいのだか。




「……ある程度、本当の事を言っておかないと後々あたし自身が困る事になりそうだよねー…」


あたしはそう呟いて項垂れてしまう。




…どこまで話そう。

フラウさんの事を疑いたくはないんだけど…話がうますぎて…。




もしかしたら逐一、宰相や筆頭魔術師のオジサンに報告されるかもしれない。

そんな疑念が浮かんでは消えるのだ。

疑うという行為事態、性が合わないというのに。




…………でも、まぁ仕方がない、か。

あたしは今、"独り"なのだから。

あーぁ…、せめて"にゃの"だけでも居たら良かったのに…。




我が家の愛猫にゃの(♀)を思い浮かべ小さく溜め息を吐く。



うぅ…。

ママが居なくても強く生きるのよ〜。



そんな風に愛する我が子、もとい愛猫にゃのに声援(?)を送っていた痛々しいあたしを扉がノックされる音が正気に戻す。



「はーい」



「リン様、フラウです。入ってもよろしいですか?」



おぉ…。

お早いお帰りで。



「うん。いいよー」



「失礼します」



優雅な仕草で静かに入室するフラウさん。

こんな素敵な人があたしなんかの為に仕事を休んでまでついてきてくれる。




………疑いたくないんだけどさー…。




内心、憂鬱になりながらも表情に出さないように気をつけながらあたしはフラウさんに「おかえりなさい」と声をかけた。



「只今戻りました」


ふわりと微笑みながら嬉しそうに返してくれるフラウさんの姿になけなしの良心がツキツキと痛む。




…うぅ…。

何の試練ですかー…。




「フラウお姉ちゃん早かったね」



「えぇ、出来るだけ手短に済ませてまいりました。リン様、詳しくは後程説明させていただきますのでここを出る準備をしていただいてもよろしいですか?私も準備をし終えたらもう一度こちらに参ります」


少し焦ったようにそう告げたフラウさんは、あたしの側まで来るとわざわざ持ってきてくれたらしいシンプルな灰色のワンピースに着替えさせてくれた。

そして焦げ茶色の外套をあたしに手渡すと再び一礼して部屋から出ていってしまう。




……慌ただしいねー…。

もしかして何かあったのかい?




四次元バッグを斜め掛けにしてフラウさんに手渡された外套を羽織りながらあたしはもう一度、姿見を見詰めて溜め息を吐く。



何度見ても幼女ー…。

うふふ…。



足首くらいの丈の外套を羽織ったまま、クルリと一回転。



可愛いんだけどさー…。

……ん?

あれ?

そーいえば筆頭魔術師のオジサンが魔術で姿を変えてるんじゃないかって疑ってなかった?

ということは、だよ?

……探せば神様に最初にお願いした姿にもなれるってことだよね!?



まさに盲点。



……おぉ!!

あった!!

思い描いた姿に変わる魔術っ!!

あ…。

でも今すぐやっちゃうとフラウさんが驚きそう。

魔石にしちゃって何かアクセサリーに埋め込んでおこう。

フラウさんには母親から貰ったってひとまず言っておけばいいよね?

そうと決まれば善は急げだ。



思い描いた姿に変わる魔術を封じ込めて半永久的に使えるように補助魔術をかけた魔石を想像具現で作った指輪に埋め込む。

フラウさんがいつ戻るかわからないので試すことはせずに作った指輪はバッグの中へと仕舞った。





あたしって自分で言うのもなんだけど…。

詰めが甘いよねー…。

というか頭が悪いのかもー…。

うぅ…。

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