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第11話 脱走準備とクーリングオフ(?)

宰相達3人が部屋から出ていった後、フラウさんが気をきかせて1人にしてくれた。

見張られていた理由も分かったし。

これ以上ここに居る意味はない。

腹黒宰相の口ぶりからして急にあたしが消えたとしても公に捜される事はないだろう。



筆頭魔術師のオジサンやあのロリコン将軍は分かんないけどさー…。

筆頭魔術師のオジサンはこのネックレスが欲しそうだったし…。

……あのロリコン将軍に至ってはあたし自身に興味がありそうだったしねー…?うぅ…。

……うん、一刻も早くここを出よう!!



「あれっ?」



今、気が付いたけど見張りが2人に減ったみたい。




「…脱走のチャーンス?」




あの変た…じゃなかった。

ロリコン将軍の様子からして、ぐずぐずしてるヒマはない。



あたしはバッグを手に取りバッグの口を開くと中に入れていた物を取り出して、その中に亜空間魔法を施してみた。

淡い光にバッグが一瞬、包まれる。




「…うまくいったかな?」




表面上、特に変化は見られず。

うまくいったのかハッキリとは分からない。

けれど、バッグの中をよーく覗いてみるとキラキラと輝く粒子が渦巻いているのが見えた。

…バッグの底が見えているのでなかなかシュールな状態である。




………チャララチャッチャチャ〜"四次元バッグ(仮)"〜。




「おぉー…、なんかキラキラしてるー」



取り敢えず。

確認の為に何かを突っ込んでみる事にした。



「何がいいかな…?あ、コレでいいやー」



四次元バッグ(仮)に突っ込む物を探していたあたしは先程、バッグから取り出した植物図鑑を手に取った。

日本製の真新しい植物図鑑。

…ソレは身の上話が通用しなかった時の為に用意しておいた保険その1である。

使用目的がなくなってしまったので再利用。

今流行り(?)の"エコロジー"ってヤツだ。



「使用目的は違っちゃうけどー…。もう使う予定ないしねー…」



あたしは一思いに植物図鑑をキラキラと輝く粒子が渦巻くバッグの中へと突っ込んだ。



「あ…」



粒子の渦に触れるか触れないか。

それぐらいの位置から植物図鑑が渦に溶けるみたいに消えてしまう。



うわぁ…。

勢いよく突っ込み過ぎて過程があまりよく見えなかった…。



バッグの中からそっと手を抜く。

…植物図鑑は跡形もなく消えてしまっている。

なんとなく意味もなく手を開いたり閉じたりしてしまう。




「…取り敢えず、突っ込む分には問題なし、か。うーん…、ちゃんと取り出せるかなぁ?」




植物図鑑自体はどうでもいい、が。

四次元バッグ(仮)から(仮)を外すには入れた物が取り出せなければならない。




…ちゃんと入れた時の状態で出てきますよーに。





軽〜く祈るような思いであたしは、もう一度バッグに手を突っ込み植物図鑑を思い浮かべてみた。

トンッと何かが突っ込んだ手のひらに触れる軽い感触がする。



「!?」



手のひらに触れたソレを掴むと、あたしは手をバッグから引き抜いた。

ゆっくり、と。

キラキラと輝く粒子の渦を巻き上げるみたいにしてソレは本来の姿を形成していく。

突っ込んだ時より時間をかけて引き抜いたからか。

ソレが本来の姿を形成し終えたのは数秒後だった。




「…うわぁ…マジ…で?」




バッグから引き抜いた手には先程、勢いよく突っ込んだ"真新しい植物図鑑"。

勿論、日本製。




「…や、やったーっ!!成功したーっ!!憧れの四次元バッグゲットーーーッ!!」




ちゃんと四次元バッグになっていたらしい。

小躍りしてしまいそうなくらい嬉しいが念のために2〜3回、入れては取り出す作業を繰り返す。



「や、やった。やったよー…。これで手荷物に困んないよー」



(仮)の外れた四次元バッグを抱き締め、あたしは半泣きになりながら自分の功績を称えた。




…ウザイとか言わないで。

泣けるくらい嬉しいんだってば。

だって、"今のあたし"より少し大きいテディベアを持って移動する手間がなくなるんだよ!?

テディベアのサイズを小さくしてリュックみたいにしようかな〜とか思ったりもしたけど脱走するのに幼女だと不便だし。

少女のサイズでソレはしたくないし。

分かる!?

コレの成功がどんだけ嬉しいのか!!




ひとしきり興奮して漸く少しだけ落ち着きを取り戻したあたし。

あまり時間がない事を思い出し出来たてホヤホヤの四次元バッグに荷物を突っ込み始めた。

テディベア。

慰謝料代わりの手鏡。

キャラメルと水筒。

こちらに来てまだ二日目。

あたしの荷物は少ない。



あとは…着てきた服か。

洗濯中なんだよねー?

……まぁ、待ってたら時間がかかりそうだし諦めよう。




「…あとはどうやって脱走するか、よねー?」




幸いな事に部屋は一階。

魔力は抑えてあるから見張りにバレる確率は低い。




…一応、保険で姿隠しの魔法をかければいいか。




「そうと決まれば…。姿を元に戻すかねー…」



姿見の近くへと移動したあたしは目を閉じた。

そして"神様"に創ってもらった姿をイメージしながら"戻れ"と念じる。



容姿は10人中8人が目を奪われるくらい整ってて髪は漆黒で腰より少し下くらいの長さのサラサラストレート。

目はパッチリ二重で瞳の色はアメジストみたいな紫。

スタイルは全体的にやや細めで、胸は大きめ。

あの、お人形さんみたいな姿に戻れっ。




…あたしの"魔法"はイメージがとても大事らしい。

勿論、こちらの人達の"魔術"もイメージは必要だけども。

"知識"によると、こちらの人達の"魔術"はイメージだけでは足りない部分を長い詠唱や魔方陣とかで補うらしい。

でも、こちらの人達の中にも、あたしの"魔法"みたいに無詠唱で"魔術"を使う人もいるみたい。

けど、威力や効力が弱くなるうえに失敗する事もあるらしくて無詠唱で"魔術"を使う人は多くはないんだって。




「…………………あれ?…何で?」




姿見に写っているのは可愛らしい幼女。

あたしはもう一度、目を閉じて"戻れ"と念じてみた。

再度、姿見を見て―…。




「………何で?」




姿見に写る幼女の姿に泣きそうになった。




…何で?

何で戻れないの?




「………まさか、あの時に5歳くらいにしてって頼んだから?」


そう口にして、…凹む。




「うーわぁー…、ぜってぇソレだよぉぉぉおぉぉぉぉっ!!」




うわぁぁぁん!!

あたしのバカーッ!!

バカ!!バカ!!バカーッ!!

もうちょっと考えて頼めよぉぉぉおおぉぉぉぉっ!!

……………今更ですが、神様。

クーリングオフ(?)って出来ませんか?


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