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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

春の憂鬱

掲載日:2026/04/23

桜もお餅も好き。

日本には春夏秋冬があって、その中で私は春が一番嫌いだ。なぜかと言うと、何かと新しいことが始まるからだ。平穏を愛し平和を望む私は、新しい出会いや新しい事柄が怖くて仕方がない。新年は新しい事柄の集合体。つまり私は新年度恐怖症である。新年度は、今まで積み上げてきたものがガラガラと崩れていく音がする。今までできていたスキルがなんの役にも立たないゴミみたいに捨てられて、また一から新しい何かつまらないものを覚えることになる。成長すれば新しい自分に出会えるというけれど、私をこれ以上理解するのはどうにも息が詰まる。地味で雑で杜撰で怠惰で人よりも大人しく、人よりもわがままで、誰かに教えてもらわないと何もできない、笑うこともなければ相談することも下手で、少し思いやりがあるかと思えば、すぐに手のひらを返す。わかったかのような顔をしてわからないことを隠す。できるような顔をして人の背中ばかり追っている。できないことに対して努力することができない。学ぶことも成長することも大嫌いだ。生きることも生きながらえることも長生きすることも全て全て大嫌いだ。自分より劣っている人も優れている人も自分に似たような人も嫌いである。私はもう私自身が嫌いなのだ。一度諦めがついてしまうとそれが癖になってしまう。私は人よりも平気な顔をすることが多いけれど、人一倍人思い出あり、依存体質で執着心が強い。それであって引っ込み思案で話すことが少ない。春は、今まで大事に積み重ねできたものが、新しい出会いってやつで全部ゼロになる気がする。私はそういう時に隅っこに逃げて泣かないように我慢している。周りにどんなに優しい人がいても、前に出て笑顔で話すことができない。俯いて可哀想な顔をするのが精一杯で。可哀想だなって言われることすら苦手である。春には決まって、友達や部活や新しい職場、新人で、息を切らして逃げたくて逃げたくなる。時たまそれを実行に移して失敗する。私はきっと私のことが好きで、私のことが嫌いで。前は私に優しく笑い変えていた誰かを平気な顔をして笑顔で見送る私自身が、みんなの周りからは外れたいくせに誰かの隣にはいたい私が、一匹狼になるには情けない私が、仲間を見失った私が、人よりも浮いている私が、大嫌いなのである。至極純粋な自分を嫌いで塗り潰していくその感覚は腹の底を揺さぶられるようで、どんな毒よりも心を弱らせ、どんなドブを飲むよりも嗚咽を呼ぶ。そのうちにうまく息ができなくなって呼吸と脈拍の速度が上がる。吐きそうになる。人は不思議だ。仲間でないだけで敵になる。敵対心をもたなくともつまらないというだけで敵になる。群れている人は人を傷つけることに罪悪感をあまり持たない。味方がいるだけで強くなった気がするから。それとなく無意識に人の容姿や言動やその性格を嘲笑し嘲笑いつまらないやつだと声を合わせていう。春はそういう季節だ。大嫌いな私が逃げてもいいよと私を殺そうとする季節。桜が咲いて春が来て日が長くなって友達が離れて誰かを選びながら誰かに選ばれてつまらない自分を嫌いになる季節。


春は壁。そうそう簡単には越えられない。


もう何も学びたくないけれど、

もう何も成長もしたくないし、

自分探しなんてしなくていいけれど、


周りの人達の人生をこれ以上邪魔したくはないから、まだ死ねないでいる。



ロックじゃない。かっこよくない。

人生から不意に消える儚い女の子が好きなくせに、

悲劇の中で笑う映画のヒロインが好きなくせに、

現実の私はあの人にもこの人にも迷惑をかけてきっと私の棺桶を蹴りに来るかもしれないからって怖くて、

自殺すらも躊躇する。


何度か試したことがある。死ぬのは怖い。


死ねたことはない。


春は来る。変わらず春が来る。

たまに生きてるはずなのに、全部の感情がぐちゃぐちゃになって空っぽになって、私はみんなと違う世界を見ているんじゃないかなって思えてくる。



死ぬ時は1人だ。



周りから見たら私は普通で、怠け者の愚者だから。



今も吐きそうになりながらこの文字を打っている。

何者にもなれずに死んでいく。



せめて幸せのまま死にたい。



人生の二十数回目の春。

かなり長いところまで来たと思う。


周りに自殺の匂いと、精神病や、人が自傷を考える気持ち悪さが伝わりませんように。


誰かが死ぬかもしれない恐怖が伝わりませんように。



ちゃんと仕事を辞める。


そして死ぬ。



長生きはしないから。


ごめんなさい。


みんなにお別れを言えないまま私は逃げ切ることがいつかできるかもしれない。


この気持ちに折り合いはつかない。

つかないまま。


春は怖いまま。


桜が散って少し安心した。


みんなが浮かれている時に私はどんな顔をすればいいかわからないから。


キラキラ笑うあの子が眩しくて

ボサボサの髪の毛を切りたくなるから。



散ってくれ。泣いててもいいって。明日にでも死のうって話してもいいって。


誰にも言えない。


みんなと同じような見た目、二足歩行、頭はひとつ、目は二つ、全部一緒なのに私より可愛いあの子は私よりも勉強熱心。



私はずっとずっと真面目に言われたことだけしかできない子。

死ぬまでつまらない女の子。


見て見ぬ振りしてる大人が嫌いになるばかりで。



誰よりも若く死ぬ。



きっと死ねる。


だからまだ少し。

バカな私とつまらない私は嫌い。


春が苦手な人もいる。世界は広い。

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