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すたんどあっぷ キャラクターストーリーズ  作者: お茶っぱ
カイさんと別れのスカーフ
3/5

摂理

 先生に頼まれたミオティ草を探しに、再びダンジョンにやって来た。

 ミオティ草なんてそこら辺にあるので、すぐに見つかるだろうと思っていたが探しているときは見つからないもので、いつの間にか結構な時間が経ちあたりは暗くなっていた。

 

「しまった・・・もうこんな時間か。流石に一人はマズいな。」


 周囲に魔物が潜んでいないか魔力を探ってみたが大丈夫そうだ。

 今のうちに、デミーに戻ろう。

 ん・・・?


 魔力を探った際に、魔物の様な荒々しいものではない魔力を感じた。

 気になってそこへ向かってみると、美しく青い花を咲かせたミオティ草が咲いている。

 なぜあんなに探したのに見つからなかったんだろう。


「そうか、魔力を蓄えているのなら、目で見て探すんじゃなくて魔力を探せばよかったんだな。」


 花を潰さないように採取してみたが、シルシア先生が言っていたようなニオイはこの状態ではしていなかった。


「潰したら何かが反応して臭くなるのかな? まぁ、先生に聞いてみるか。」


 そして、デミーに戻ろうとポータルに向かった際、弱弱しい魔力を感じた。

 助けを求めるような、苦しそうな。

 『死にかけている』と直感できるようなそういう類のものを感じてしまった。


「そっちか。」


 あたりが暗くなっているのも忘れて、その魔力の所へ向かってしまった。

 そして、あの子と出会った。


「お前、さっきの・・・」


 一度は見捨てたフォレストジャガーの子供。

 震え怯え、うずくまっていた。

 『ダンジョンの命はダンジョンの摂理に』当然だ。


 それは分かってる。

 わかっているけど、私はそれをもう一度見捨てる事ができなかった。

 今になって思うと、そうしてしまったのはシルシア先生から『ミオティ草の使い方』や『効果が魔物にもある事』を聞かされていたからかもしれない。


 採取したミオティ草を使えば、この命を助けられると私はそう考えてしまったんだ。

 わざわざミオティ草が『魔物にも効果がある』と吹き込まれていたしね。

 

「ジッとしてろよ・・・」


 私は持っていたミオティ草の花を潰すと、怪我をしたフォレストジャガーの子供の患部に塗る。

 治るまでにはやはり添え木と化しておいた方がいいか。

 近くにちょうどいい長さの木の枝があったので添え木として当てて、シルシア先生が持っていけと言ったスカーフを巻いて固定する。


 今だったら、ここまでちょうどよく必要なものが残っているのかということに疑問を持つと思う。

 まぁ、私にも純真無垢な時期があったという事さ。


「これでいいのかな?」


 さてこれからどうするか、と迷っていた時。


「!?」

 

 背筋が凍り、息が止まりそうになるような、そんな恐ろしい魔力を私は感じた。

 

「ここに居るのはマズい」


 そう口走ると同時にその子を抱いてダンジョンの外に出てしまった。

 そのままどうすることもできず、宿舎の自分の部屋に向かう。

 連れてきてしまったフォレストジャガーの子供には、申し訳ないがミオティ草を包んで持って帰る時に使おうと思っていた布袋に入ってもらった。


 特に暴れることもなく、鳴き声も上げずにおとなしく袋に入ってくれる。

 誰にも出会わない事を祈りながら自室への道を進んでいく。

 するとそこには、このタイミングで戻ってくるのが分かっていたかのようにシルシア先生が私を待っていた。

 

「先生。」

「やぁ、あの後、横になったらぐっすり寝てしまってね。おかげでだいぶ良くなったのさ。だから頼んだミオティ草の別の使い方を教えようと思ってね。」

「あ、そうだったんですか。わざわざありがとうございます。その、ミオティ草は見つけたんですけどうっかり潰しちゃって、別の物を探そうと思ったんですが・・・」


 そう伝えると、シルシア先生は『ふむふむ、そうかそうか』と何かに納得した様子だった。

 まずい、確実にバレている。

 

「なるほど、すまなかったね。こんな時間まで頑張らせてしまって。」


 そう言いながらシルシア先生は私が抱えている布袋に視線を移した。


「臭かったでしょ~。採取の時に使ったものは洗ってもなかなか落ちないから捨てちゃっていいよ。」

「あ、はい。先生が持っていけって言ってくれたので助かりました。」

「そうか、そうかい。それは良かった。君の役に立ったみたいで何よりだよ。」


 そういうと満足そうにシルシア先生は去って行く。

 なんか会話がかみ合ってないような気もしなくもなかったが、そんな事より今は早いとここの子を袋から出してやりたい。

 さっさと部屋に入って扉を閉める。


「よし、もういいぞ。」


 布袋を床に置いてフォレストジャガーの子供を取り出した。


「とりあえず今日はここで過ごしてくれ。」


 周りを見回してキョトンとしているフォレストジャガーの子供を撫でてやる。


「腹減ったし寝る前に何か食うか。パンくらいしかないけど。」


 とっておいたパンを半分にちぎって、渡してやるとフォレストジャガーの子供が匂いを嗅いだりしていた。

 食べ物だと認識していないのだろう。

 そりゃそうだよなぁ~と思いながら私がパンを口にすると、フォレストジャガーの子供は自分もパンを食べ始めた。


「お前、頭いいんだな。」


 そのまま私もフォレストジャガーの子供もベッドにもぐりこんで寝てしまった。

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