プロローグ
あれは、私がデミーの授業でダンジョンにクラスメイトとパーティーを組んで素材を取りに行っていた時のことだ。
「カイ。お前、この後はどうするんだ?」
パーティーメンバーのギルに尋ねられたが、そういえば特に予定はなかった。
「何もないよ。思ったよりも今日の課題が早く終わったし、シルシア先生の部屋の掃除でもするかなぁ。」
「えっ? この前掃除したばかりじゃなかったっけか。」
「シルシア先生すーぐに散らかすんだよ。」
「ふーん。整理整頓は俺も苦手だからなぁ、がんばってくれ。」
「なんだよ、手伝ってくれる流れじゃないのかよ。」
わりぃなぁ~と、ギルは一足先にダンジョンから出ようと走り出した。
「まてよ。」
ギルを追って私も走りだす。
するとすぐそこでギルが立ち止まっていた。
こっちに気が付くと、スッと茂みを指さした。
「あそこ、怪我した魔物・・・子供かな。」
「どれどれ。」
指先の方を見ると確かに、うずくまってこちらを警戒しているフォレストジャガーの子供が居た。
魔力の流れを確認してみるとどうやら右の前足を骨折しているようだ。
高いところか落ちたのか、他の魔物にやられたのか・・・
「カイどうする? なんかかわいそうだし手当ぐらいしてやるか?」
「うん・・・。気持ちは分かるけど、やっぱりダメじゃないか? 『ダンジョンの命はダンジョンの摂理に』だ。」
そういいながら、ポータルに向かって歩き出す。
デミーから支給されている生徒用の冒険者の腕輪をポータルにかざし、『イーグレス(脱出)』と脱出の言葉を唱える。
ダンジョンから出てすぐにシルシア先生の部屋に向かった。
それが『彼』と私の最初の出会いだった。
これから語るのは、私がヴェルナと名付けた命と別れるまでの話。
私の悲しみと後悔の物語だ。




