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「平民上がりの庶子」と私が言っただなんて、誰が言ったんですか?悪い冗談はやめてください!  作者: しずもり


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6/7

よろしくお願いします。

「なっ」


「マリア様っ」


「それはっ」



私の言葉に彼女たちが大きく動揺するが、続く言葉が見つからないらしい。


学園入学前に王妃様のお茶会で紹介された彼女たちは、一見、友好的に見えて私の学園での行動、振る舞い全てを王妃様に報告をしていたのを私は知っている。



 笑顔で話しかけているようでその目は私を蔑んでいた。そして『ソフィア様にもっと制裁を』と囁いてきてもいた。


 彼女たちは私の()()()をしたい王妃様の密偵の役割と、あわよくば自分達が殿下の婚約者の座を射止めたいという欲も有ったようだ。



「ですので彼女たちがわたくしの命令で動く事はありませんわ。まぁ、もしかしたらわたくしを陥れる為に、勝手にソフィア様に嫌がらせをしていたかも知れませんが」


「そ、そんな!私たちはマリア様の監視が目的ですので、マリア様の側を離れるなんて事はしていませんっ!」


あ〜、自分で監視してるって認めちゃったわ。


「そうですっ!ソフィア様など『羽虫如き、いつでも潰せるから捨て置け!』と王妃様が仰っていました。ですから私たちが態々嫌がらせなどをする訳がありません!」



え・・・その発言はちょっと不味くない?

 あっ、言った本人も失言に気づいて真っ青になっているし、名指しされたユルグ男爵令嬢はもう目に見えてガクガクと震えているわ。


「な、な、母上がそんな事を・・・」


 ヴィンセント殿下も、次から次へと出てくる王妃様(母親)の真の姿に、もうユルグ男爵令嬢の様子に気を配る余裕もなくなってきたみたいね。


このままユルグ男爵令嬢を婚約者に据える事の危険にようやく気付いたのか。それとも王妃様の別の一面を知らされてショックの方が大きいのか。


あら?じゃあユルグ男爵令嬢への嫌がらせって一体誰が?

他に犯人が居たのか。それとも自作自演かしら?


まっ、どちらでも構いませんわ、私には。


「と、いう事でわたくしにかけられた冤罪(疑い)は晴れた、と思って宜しいかしら?」



 そう言って殿下たちを見れば、側近候補たちは食堂に居る生徒たちの厳しい目が自分たちに向けられていた事にようやく気がついたのか。それとも王妃様とヴィンセント殿下のヤバさに気づいたのか。

どうやってヴィンセント殿下と距離を取ろうか、というように挙動不審な動きになっているわね。今更ですけど。



 ユルグ男爵令嬢はといえば、完全にヴィンセント殿下から距離を取り、側近候補の一人の腕に縋るよう張り付いている。

そんな事にも気づけないほどショックを受けているヴィンセント殿下は、やっと自分の母親のヤバさに気づいたようで・・・。



「マ、マリア。俺たちの間にはその、色々と誤解があったようだな?庶子とはいえ、お前は立派な公爵家の令嬢で、学園での成績もずっと首席だった優秀な女だ」


え?やだ、この話の流れ。万が一、母親の意に沿う婚約者が見つからなかった場合の保険にでもするつもり?まさか婚約破棄を無かった事にしようとしているの?



それは絶対に嫌よ!!



「殿下ぁ~!戻りました!間違いなく神殿で婚約解消を受理して頂きましたよ!殿下は晴れて自由の身です!」


「なっ!ちょっ、待っ・・・」



ヴィンセント殿下の側まで走り寄って嬉々として語るデイビッド様。素晴らしいタイミングですわ!


「では正式に殿下との婚約は解消されましたわね。殿下、ソフィア様、()()()()でもって、王妃様に婚約を認めて頂けるよう心からお祈り致しておりますわ」


 私はそう言って立ち上がり、デイビッド様から婚約解消承認の写しをサッと受け取った。奪い取った、とも言うかしら。


出て行った時とは違う食堂の雰囲気に、デイビッド様は首を捻っていますが、ユルグ男爵令嬢はもう全力で首を横に振っているわね。


ヴィンセント殿下の伴侶の座を狙っていたであろうワトソン伯爵令嬢たちも、この場で面白がって様子を見ていた女生徒たちも、もうヴィンセント殿下と視線を合わせようとはしない。


 そりゃそうよねぇ。私の話を聞いて婚約者に立候補しようとする猛者はなかなか居ないでしょうよ。第一、王妃様が先頭に立って探し続けているのに、婚約者候補さえ未だに見つけられないのですもの。運良く見つけても、悉くお断りされている状況ですしね。


「待っ、待てっ、マリア!どこへ行く!」


既に踵を返して立ち去ろうとした私をヴィンセント殿下が焦って呼び止めてきた。


あら、自分でも気づいちゃったのかしら?自分が事故物件だと。


「殿下と婚約を解消したわたくしは、王宮にも公爵家にも戻る場所はございません。平民となる身なれば、この学園に在籍する資格もございませんでしょう?今すぐに学園を去り平民として生きていくつもりですわ」


 婚約解消となったら当然べルージュ公爵家も私を放逐するだろう。元々、無理やり私を公爵の娘として認知させられたのだ。公爵にとっては、私に愛情も無ければ、今回の事は醜聞にしかなり得ない。それならばさっさとこの場を去るべきだ。



「い、いやっ、それはまず王宮に戻ってから話を……」


「いいえ、わたくしのような平民がこのような場にいるのは問題でしょう。殿下、今までありがとうございました。それでは失礼致します」


最後だからと、私は制服のスカートの裾をつまみ、殿下に向かって丁寧にカーテシーをする。飛びきりの笑顔付きで。


さあ!この場からさっさと離れよう!


背後からヴィンセント殿下の声がしていたけれど、そんなのは知ったこっちゃない。



はぁ~スッキリした!!


 そうして足早に学園の外に出ると、かねてから協力をお願いしていた人に連絡を取る為に、ある場所に向かって私は足早に歩き出した。

ここまでお読み下さりありがとうございました。

次話で最終話となります。

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