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PHASEー2

 部屋は相変わらず暗い。ドアの下から漏れ入る微かな灯りと手触りを頼りに服をとり、身につける。ヴァクはボサボサの髪を掻きながら立ち上がり、ズボンを履いた。ヴァクはボサボサの髪を掻くと立ち上がり、ズボンを履いた。準備ができるとドアノブに手を掛け、部屋を出た。

 急に明るい部屋に入ったので目が慣れるのに少し時間がかかった。細める目の隙間から見えるのは二人の人影。

「お前らよく起きれるなぁ。暗くて体が起きようともしてくれないぜ」

 ヴァクはカウンターに座る、ナオシュに言った。

 バーの端を見るとタナが銀色の人型ロボットを分解している。外を徘徊するロボット(バケモノ)と同じように、赤い目が二つ。しかしこの個体の目は動いていない。

「わっ!またそれかよ。動かないって分かってても驚くなぁ」

 ヴァクがタナの膝下でぐったりとする人型の機械を見て飛び上がった。

「驚いたのはこっちだよ。あたしたちもまだ眠いんだ。静かにしてくれよ」

 そう言いながらタナは隣に置いてあったケースを手に取る。

「早速入れるんだな」

「このRC−3770があればルラのあの変なゲーム機と繋げて操作できる。死角探索させるにはもってこいでしょ?」

 タナはとても嬉しそうに言った。

「さすが元メカニック」

「これじゃあ今も現役みたいなもんだけどね」

 二人が話していると自分の存在を忘れられては困るとばかりに、ナオシュが口を挟んできた。

「問題はどこで起動させるかと、電力源だな。こいつを捉える時に誰かさんがパワーユニット壊しちゃったからな。もう一体なんてごめんだからな」

 その言葉に三人ともルラを頭に思い浮かべた。

「ところでルラは?まだ寝てるのか」

 ヴァクが聞く。

「見ての通りだよ。その誰かさんはお前と同じで寝込んでる。起こしてきな」

 そうタナに言われたヴァク。

 彼はルラの部屋に足を運ばせた。

「おーい、ルラ。起きろって」

 ただ、ドアの向こうから返ってきたのは小さな唸り声。

「ルラー、タナに怒られちゃうぞー?」

 それでも唸り声しか聞こえない。

「ルラー、部屋に入っちゃうぞ?」

「んゔー!」

 ドアを開けようとしても内側から押さえられていて中を除くこともできない。

「ルラー、ルラルラー!」

 嫌がらせようとつなげて彼女の名前を繰り返す。

 ヴァクはその時とってきの起こし方があることを思い出した。

「ルラー、良いもの昨日見つけたぞ?」

 しばらくするとルラから返答が来たが、彼女の声はドア越しにこもっていた。

「酒ならカウンターに置いといてよ〜。ルラまだ眠い〜」

 そう言われたヴァクは続きを彼女に聞かせた。

「酒じゃないよ。もっと良いものだよ。電池」

 そう言った途端、部屋の中で何かがぶつかる音がした。

 ゴンッ

「痛っ!待って、今行く!」

 そう部屋の中から聞こえ、ヴァクが一歩下がるとドアが突然勢い良く開き、グチャグチャの髪をしたルラが飛び出てきた。

「ルラにちょうだい!」

 そう言って彼女はヴァクに電池を要求した。

「まだ俺の部屋にあるから、タナたちにおはようでもなんでも言ってこい」

 ヴァクがルラに伝えたが、彼女は彼を無視してヴァクの部屋に入った。

 ゴソゴソと探り、目当てのものを見つけると自分の部屋に戻り、数十秒後には手持ちゲーム機を持って熱中に遊びながら出て来た。

「ルラ俺にも後でちょっとやらせろよ」

「いやだよ。ルラのだもん」

 そう言ってタナとナオシュのいるバーのメインエリアにルラは歩いて行った。

「電池見つけてやったのに礼なしかよ…」

 落ち込みながらもヴァクは彼女の後について行った。


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 何時間か後、二十時ごろにタナはロボットの改造を終えていた。

「パワーユニットを手に入れる方法は三つだね」

 自分の傑作を眺めながらタナは言った。

「もう一体ぶっ倒して奪う他には?」

 ヴァクが聞く。

「まあお前の脳みそじゃあ考えもしないか。シンプルにこいつらを作ってる工場から盗むんだよ。三つ目はそいつを分解して作ってみるってところだが、あれだけじゃあ部品が足りない」

 タナはルラのゲーム機を指差した。

「これはダメだよ!」

 ルラは子供のように断った。

「ああ、使わないさ。このロボを操作するのにどうせ必要だからね」

「盗むをそんなシンプルだなんて」

 ナオシュが言った。

「シンプルだよ。入って、作ってるところを一個掻っ攫ってくんだ。イージーとシンプルは違うよ」

 タナはそう返した。

「そうかい。俺はやらないからな。先に行っておいたぞ」

 ナオシュが呆れたように言った。

「じゃあルラに言ってもらう様言いなさいよ」

「ルラ、行って来てくれ」

 ナオシュはそうルラに伝えた。

「え〜?めんどくさいよぉ」

 と喚くルラ。

「俺が一緒に行くよ。ほらルラ、二つ持ってきたら充電無しでゲーム一生遊べるってことだぜ」

 ヴァクはルラを説得するために言った。

「ん〜、じゃあ行く」

 画面から目を離さずにルラは言った。

「じゃあ次の大雨の日に行こうか」

 そう言って、ヴァクはバーの入口の向かい、扉から外の様子を伺った。外はとても明るく、雨はまだ降っていたが、昨晩ほど強くはなかった。確認した後、そっと扉を閉めた。

「じゃあ、もういっちょ寝るか」

 ルラはゲームを続けながら、タナは大切そうにロボットを寝かせて、それぞれ部屋に入っていった。

 元々人間の住んでいた星では一日の睡眠時間は七時間ほどだったらしい。それはこの星でも同じである。この星に移住してきて数年、夜は二回に分けて寝るという様になっており、日中も朝はそれほど活発な動きは控え、夜は早めに寝るといった仕組みだった。

 それを昼夜逆転しただけで、この四人もそのスケジュールで活動していた。

「なぁ、ヴァク」

 部屋に戻ろうとするヴァクをナオシュが止めた。

「どうした?」

「まだ俺ら以外にもいると思うか?」

 ヴァクが答えるまで少し間が開いた。

「いるさ。9000億人みんなが死んだと思うか?こんな広い星にたくさんの人がいた。この巨大都市惑星にまだ何人か俺らみたいのが残ってるさ。きっとそれぞれ各地で奴らをやっつける方法を見つけてる」

 ヴァクは丁寧に、ナオシュに自信と希望がつくように話した。

「そうだよな。それにいずれ他のコロニーから助けが来るかもしれないよな」

 ナオシュが言った。

「そうだよ!まだ四ヶ月だろ?一番近いトゥローラ9からここまで半年はかかるんだ。何かあったか確かめるのに数ヶ月物資を整えて援護が来るまで半年以上。一年経つ頃には来てくれるさ」

 そうヴァクは言った。

 それを信じ、ナオシュも頷いた。

「そうだな。ありがとよ」

 そう言うと彼も自分の部屋に入って行った。

「来てくれるよな…」

 そう呟いてヴァクも眠った。


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 寝る際、ヴァクは夢を見ることとなった。

 久しぶりの夢、何ヶ月ぶりだろう。

 放たれる光線、泣き叫ぶ人々。

 背高く立つ冷たい、無表情の顔と、涙で顔をクシャクシャにして地面に倒れ込み、殺される親子。

 白く夜の光が輝く惑星が、赤に染まっていく。

 苦しみが眠る彼の体をよじらせた。

 その次は泣いている四人。

 ヴァクたち四人が嬉し泣きしている。他の宇宙のレスキュー隊がやって来たのだ。

 彼らの宇宙船が空を飛び、地上に近づいてきた。

 様子を見に四人は屋上へと上がった。

 しかし突然、永遠に広がるスカイラインの中から光線が放たれた。迎えに来た宇宙船は空中で爆発。

 この可能性のあるシナリオにヴァクはとんでもなく恐怖を感じ、汗を洪水の様に垂らしながら跳ね起きた。

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