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カクチョウ

キーリス「画像解析の結果が来たぞ。」

宇宙に浮かぶ船から何機か子機を出して大規模な写真撮影、画像解析を行った。

今までただの山だと思われていたのは木だったと判明した。

アニキ「こんなのが6本もあんのか……」

マフ「それぞれにリュウオウがいるってこと?」

マオ達はキーリスの席の端末のモニターに顔を突き合わせていた。

キーリス「とりあえず、当面の目標はここから最も近くにある世界樹というやつの攻略だな。」

マオ達がモニターから顔を離すとキーリスは足を組み直した。

マオ「面白そう。」

それを聞いたマフが呆れる。

マフ「ホント。あんたって戦闘狂よね。」

ありがとうございます!マオは心で喜んだ。

アニキ「心配事は、体に悪い!俺は下に降りるぜ!じゃあな!」

ソワソワしたアニキは部屋を出ていった。


マオはまだ研究室に残っていた。マフのあら、珍しい。と言うくらいにはマオがそこに長居することが珍しかった。十種の神宝について気になったから魔女達に話を聞こうにも、マオはどうも気恥ずかしくなり声をかけづらかった。

マオ『……女の花園。』

見かねたマフがマオの要件を聞き出し、魔女達に伝える。そしたらターマが手を挙げた。

ターマ「なら、私が。」

マオは申し訳なさそうにターマに説明を求めた。

マフ「なによ、それなら二人で庭園でお話でもしてきなさいな。」

マオは正直、キーリスが苦手だった。同族嫌悪というものかもしれない。キーリスは女性型のアヴァターラを遠隔操作しているというのに、マオには鏡を見ているような気がした。自分の嫌な部分を映し出す鏡……

ターマ「ここのベンチにしましょう。」

マオとターマは二人で庭園のベンチに腰を下ろした。

天空神殿の外は空気が薄く、空も濃い青、見上げれば、昼だというのに星が見える。手を伸ばせばつかめるんじゃないかと思うほどに。

ターマ「私の使うマカル返しの玉に付いてから始めましょうか?……」

ターマから十種の神宝について説明を受けるが、何故かマオは上の空だった。ターマの仕草一つ一つに見とれていた。

マオ『なんだろう?この気持ちは?』

マオ初めての感情に戸惑った。

ターマ「……ですから、アナタの使うものは八柄の剣の……ちょっと、マオ様?聞いてらっしゃいます?」

マオ「ごめん、聞いてなかったかも。キミを見てるとなんか、嬉しいような、たのしいような?」

ターマ「なんですかソレ?」

二人は笑い合った。


自然探索に村を出てた調査隊が戻ってきたのは昼頃だった。宇宙の船、天空神殿から送られてきた、たくさんのコンテナの置かれた村の資材置き場に調査隊の屋根のない車が止まった。

イギギA「おかえり。一日、調査に出るって言ってなかったか?」

調査隊イギギ「それが森の中の渓谷にぶつかって、中をちょっと調べたらレアメタルの鉱脈を発見したんだ!」

イギギB「やった!これで計画が一歩進むんじゃないか?」

イギギA「しっ!ソレは言うな!聞かれたらどうするんだ!?」

そこへ、ツヤツヤしたアニキが通りかかる。

アニキ「おい、お前らどうしたんだ?調査は?」

調査隊イギギ「け、渓谷に、渓谷に鉱脈を発見したのでその報告に戻りました!」イギギ達は冷や汗をかいている。

アニキ「やったじゃないか!すぐに、資源開発の準備を進めないとな!」


キーリスはその報告を受け、母船に戻った。

キーリス『鉱物資源のことはさすがに専門家じゃないとな。』

議長室の部屋をノックする。

キーリス「議長?」

ユッサユッサ、ユッサユッサ。中から何か揺れる音がする。

議長「キーリスか?!もうちょっとなんだ、もうちょっと待っててくれ!」

キーリス『何がもうちょっとなんだ?』

ユッサユッサ、ユッサユッサ、

ユッサユッサ、ユッサユッサ。

議長の小さいうめき声が聞こえると、男女の上ずった呼吸を整える吐息が聞こえてきた。

議長「ふーっ!もう入ってきていいぞ?キーリス君。」

キーリスが扉を開けると顔が情気し服が乱れた女性とすれ違った。

キーリス『まぁ、愛の形は人それぞれだからなー。』

キーリス「議長、渓谷で鉱脈を発見しました。鉱物資源の専門家をよこして下さい。」

議長「分かった、その専門家用のアヴァターラを送るから数日待っててくれ。」

キーリス「イギギどもに出し抜かれます。」

議長「そうか、なら、専門家の到着までにやつらに採掘されぬよう、君の駒に警備をさせとけ。」

キーリス「わかりました。」


マオは現地調査という名目で新しい亜人達を引き連れて渓谷に来た。と言っても3人だけだ。残りはあとから着く手はずになっていた。

猫型亜人「ここかぁ。」

狼型亜人「うわぁ、結構、深いぞ?ここ。」

ゴブリンやオークがいないのでマオは新鮮だった。

マオ「報告じゃ、この近くに降りれる場所があるはずなんだが?」

狼型亜人が鼻を鳴らす。

狼型亜人「アソコからイギギ達のニオイがします。」

指指したのはマオの後ろにあった緩やかな下り坂の洞窟だった。

マオ「中は真っ暗だ。」

猫型亜人「あ、だから俺たちなのかな?」

狼型亜人「夜目も効くし、鼻もいいからな。」

洞窟探査にはこの亜人のチョイスは頼もしい限りだ。マオはキーリスに少し感謝した。

マオ「中を調査しよう。」


中はひんやりとした、曲がりくねったところだった。

開けた場所につく。光が上から差しているから渓谷に着いたのだろう。

覗き込むと下は長年の雨が溜まったのか透き通った池のようになっていた。

猫型亜人「落ちたら登ってこれるかな?」

狼型亜人「やめとけ、今は人手がいるんだ。」

マオが壁を調べていると狼型亜人が鼻を鳴らしながら近寄ってきた。

狼型亜人「マオ調査隊長、血の匂いです。」

猫型亜人「うわ、やっぱり?これ血の匂いなんだ?」

マオ「肉食動物がいるってことか?」

マオと猫型亜人の目つきが変わった。狼型亜人はその雰囲気に不安でしか無かった。

猫型亜人「どんなやつかな?」

マオ「見に行くか?」

それを聞いた狼型亜人が二人を止める。

狼型亜人「待って下さい!この数では危険では?増援が来たらにしましょうよ!」

マオ「見るだけだって。」

狼型亜人「大丈夫かなぁ……」


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