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マフ

それから、マオは何匹も飛竜を倒した。

原生林を焼き払い、地上の村も拡張した。

けど、マオはあれ以来、天空神殿に帰っていない。

村の中、人に屋敷を建てさせてそこに住んでいた。

建築知識が乏しく、イギギが現場監督をしても天井は少し傾き、ところどころ隙間があった。

マオ『もうちょっと、みんなの知識レベルが上がればなぁ。』

しかし、知識はイギギ達が独占している。知識は力なのだとか?知れば不幸になるんだ、とか言って。

マオは兵隊の数を書いた報告書を確認する休憩に、天井を向いて見えない天空神殿に思いを馳せていた。

マオ「……俺の誕生日いつだっけ?」

その時、外でゴブリン達が騒ぎ始めた。轟音。地響き。

悲鳴。

マオ「なんだ?」

咆哮。飛竜の襲撃だった。マオはそれにハッとして屋敷の外に出た。

数匹の飛竜が上空を舞っている。ゴブリンやオークの家々も、ヒトの牧場も一面焼け野原になっていた。

ボトボトっ!

噛み砕かれたヒトだったものが、空からマオのすぐ目の前に降ってくる。

ゴブリン達が弓で応戦するが、空高くに舞う飛竜には届かない。

マオ「イギギ達は?」

見渡してもその影はない。

飛竜はマオにもファイアブレスを放ってきた。マオはそれをバリアで防ぐと右手を薙いだ。

ヒラリッ!

マオ「!避けた?!」

飛竜達も学習していた。複数体でファイアブレスの空爆。マオ達は成す術がなかった。

???「やれやれ、見てらんないわ。」

頭の中で声がする。誰だ?聞き覚えのない声にマオは困惑した。

何かに飛竜が撃ち落とされて地面に叩きつけられた。その死骸には背中側に穴が空いていた。

マオ「?ゴブリンの矢じゃない?」

マオは空高くから落ちてくる小さな粒を見つけた。

マオ「女?」

光。

落ちてくるその粒から光が放たれ、飛竜の体に当たる。

当たった飛竜は悲鳴を上げて墜落した。

マオ「まただ?!」

それを見た、残った飛竜達は鳴き声で互いに合図して四方に飛んで逃げて行った。追跡を恐れて別々の方向へ。

落ちてきた、女は地面にフワリと着地した。

マフ「貴方がマオね?私はマフ。」

そんなことよりとマフはマオに背を向けるとその場にいたゴブリン達に消火と避難を指示した。

マフ「負傷者を食べるんじゃないわよ!オーク共!早く救護室へ!誰かヘタレのイギギを呼んできてちょうだい!」

マオ「今のは何をしたんだ?」

自分の知らない技にマオは興味が湧いた。マフはそれにうんざりした様子だった。

マフ「貴方ね。少しは天空神殿に顔を出したらどうなの?力の使い方はだいぶ私たちで研究したわよ、貴方無しでね!」

マオ「あ、ごめんなさい。」

マフ「何よ、聞いてたのと反応が違うわね。素直じゃない。」

マオは言葉責めに目覚めた。怒られるのは久しぶりだ。

自分と対等、それ以上の存在が天空神殿にいる。

マオは好奇心を抑えられず、避難も救助もそっちのけで天空神殿へ向かった。


マオ「チャクラシステム?」

マオは研究室でマフによく似た女性たちに話を聞いた。

マフ(?)「我々はそう呼んでます。」

キーリス「ソイツらは魔女って呼んどけ。」

マオがまごまごしているのに気がついたキーリスはマオが求めているであろう答えを言った。

マオ『サンキュー、イッチ。』

長髪の魔女「便宜上、私達の中にあるのはオド、大気中に含まれてるのをマナと読んでます。体内のチャクラを回してオドを練って放出する、マフ様が使ったのはそれです。貴方も使えるようになりますよ。」

ボブカットの魔女「お父様も使えるんですか?」

キーリスは魔女達にお父様と呼ばしているのか、なら、俺は?マオは疑問に感じた。

キーリス「お?まぁ、使えるんじゃないか?知らんけど。」

なにそれー。魔女達はキャッキャとはしゃいでいる。

少し見ない間にだいぶ神殿内は人(?)が多くなっていた。


村に戻ったマオは想像以上の被害に絶句した。

マオの無事だった屋敷に残った者たちが顔を合わせて、今後の方針を話し合った。

ゴブリン「人間はほぼ全滅です。」

ヒトの牧場が被害が大きかった。ゴブリンもオークも多くの幼体や老体を火災で失った。

イギギA「老体は盾にできたんだがなぁ。」

イギギB「それよりも食糧だ、空から来た分はほとんど焼失したぞ。」

話を遠巻きに見ていたマフが口を開いた。

マフ「なければ作るしか無いわねー。」

イギギ達はヒトに農業をやらせるのはいいが、農具を持たせるのは危険だと言っている。

イギギA「農業をやらせるにはある程度、知識がいる。知恵をつけさせるのも危険だ。」

イギギB「狩猟もだめだ、武器を使う。」

とりあえず、当面はゴブリン達が農業、狩猟を行うこととなった。

マオ「負傷者は解体してオークの餌にしよう。」

マフ「え?!ちょっと待ちなさいよ!貴方、本気でそれ言ってるの?!考え直しなさい!」

マオは言葉責めの快感を覚えた。

マフ「狩猟でなんとかできるわよ。あの子達にこれ以上、ひどい目に遭ってほしくない。」

確かにそうかも知れない。しかし、マオは疑問に思った。マフはキーリスのコピーではないのだろうか?

合理的というか少々、感情的じゃないか?マオは男と女の思考の違いが理解できなかった。

マオ達はイギギ達の避難していたエリアに食糧が残ってないか調べに来た。空から運ばれてきたコンテナの中にまだ粉にしてないトウモロコシや小麦が残っていた。

マオ「コレだけあれば、1、2ヶ月は大丈夫そうだな。」

人が増えなければ。人口統制もやらないといけない。

ゴブリンは特に、すぐ増える。

そこよねぇ?マフもどうするのか悩んだ。


マオ達はキーリスに人口統制にいい術はないか相談に天空神殿に戻った。

キーリス「穴があればいいんだろ?ヒトの後ろの穴を使えばいいじゃないか。」

所長イギギ「そんな無茶苦茶な……」

マオ「感染が心配だなぁ。」

その言葉に魔女達も顔を赤くした。

キーリス「洗浄すれば使えるんじゃないのか?母星では当たり前だったぞ?」

一同、釈然としない顔をしたが、一応、その方向で行くことにした。

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