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M-0 “マオ”

キーリスは飛竜討伐現場指揮官が必要だと考え、事もあろうに非力なヒトではなく、ゴブリンやオークでもない、自分を模したものを作った。

キーリス「オリジナルはM-0。ややこしいからマオと呼ぼう。」

M-0が培養液から出てくる。ヒトにはないオーラを纏っている。コレは、上に知られてはマズイ代物かもしれないキーリスはそう思った。

マオ「おはこんばんちわ、お父さん?」

キーリス「キーリスでいいよ。めんどくさい。」

?アヴァターラは女性型だが?まぁ、いいか。キーリスはその事は深く考えずに彼に命令した。

キーリス「君には敵対原生生物の討伐現場指揮官をやってもらいたい引き受けてくれるか?」

マオ「へー、どんな奴らだろう?」

?好奇心が強いのか?質問の返事ではない。まぁ、いいか。あ、俺に似せたからかな?

キーリス「亜音速で空を飛び回り、火を吐く、デカくて凶暴な奴らだよ。ヒトなんて消し炭or丸呑みさ。」

マオ「いいね、やってやるよ。」

キーリスはイギギ達にとりあえずマオに服を着せてやるように言った。


黒い上着に白のシャツ、赤と黒のマント。黒の革靴。セミロングの黒の髪の毛は後ろでまとめておさげにした。

マオ「コレでよし。キーリス。俺の兵隊共はどこだい?」

マオは遺伝子工学研究室に置かれてあった姿鏡で身だしなみを整えていた。

キーリス「オーク数体とゴブリンをつけよう。みんな鉄製の武具で武装させてる。」

マオはキーリスに向き直った。

マオ「戦力として使えるのか?それ?」

キーリス「居ないよりマシだ、程度の感覚でイイんじゃないか?死んだらまた、増やせばいい。」

マオは遺伝子工学研究室を見渡した。そして、顔をしかめる。

マオ「ここの設備じゃすごく時間がかかるんじゃ?」

キーリス「問題ないよ、牧場は地上に作ってある。」

ふーん、というとマオはイギギに案内されて天空の神殿から地上に降りた。


集まった兵隊達に軽く挨拶を済ませるとマオは早速、原生林に兵隊を引き連れて入っていった。

マオ『あー、後で焼き払おう、ここ。』

すると、マオの上空をデカい影が通り過ぎた。目の前の開けた場所にお目当ての飛竜が降り立つ。

マオは飛竜との戦力差を測るためにオークとゴブリンの小隊を2つ使い飛竜の前方と側面から攻撃させた。

飛竜は初めての集団戦闘に戸惑っている。

ピュン!ピュン!

ゴブリン達の弓に支援されたオークの有効打を数発。

オーク「うおぉ!」

オークの振り下ろす。鉄のこん棒が鈍い音を立ててめり込み、大湾刀が飛竜の肉を切り裂く。

マオ「なんだ、やれるっぽい。」

血を流して息が上がる飛竜に押せば行けると踏んだマオは残りの小隊を飛竜の後ろに展開させようとした。

しかし、飛竜は噛みつきやシッポで振り払うのをやめ、ファイアブレスをその場にお見舞いすると後ろに飛んだ。

もろにそれを受けた前面にいた小隊は全滅する。

着地した飛竜はすぐさま側面に展開させていた小隊に向けて口から火を放った。

マオ「また全滅じゃん。」

マオは残りの小隊を引き連れて飛竜の正面に躍り出た。

マオ「かこめ!逃すな!ここで仕留めろ!」

逃がしたら集団戦闘を学習される恐れがある。

顔の前に立つマオにファイアブレスが放たれる。

マオ「!」

両の手をとっさに前に突き出す。両隣にいたゴブリンだけが消し炭になる。

マオ『あれ?俺、結構、やれんじゃね?』

ファイアブレスをはねのけて無事なマオを見て飛竜も混乱している。

マオ「フッ!」

右手を薙ぎ払う。飛竜の左の翼が側面に展開させてたゴブリン達と共に吹き飛んだ。

突然の激痛に低く唸り、よろける飛竜。残ったオークの一撃が飛竜の右足をと捉えた。

ボキッ!

鉄のこん棒はひしゃげたが飛竜の足を骨折させた。

飛竜はその場に倒れた。そこに残ったオークやゴブリンが刃を振り下ろす。

ザクッ!ザクッ!

マオ「後は兵隊に任せるか。」


飛竜の死骸をイギギ達に回収させて地上の村に凱旋する。

生き残ったオークやゴブリン達は仲間の生還を喜びあっている。

その傍らではイギギ達が飛竜の解析を始めていた。

ゴブリン「はー、疲れた。ヒトでも犯すかぁ、」

ゴブリン「ストレス発散だな!」ギャハハハハ!

ゴブリン達は人の牧場の方へ歩いていった。オーク達も家族の待つ家に帰っていく。

マオ「キーリスに報告しなくちゃ。」


天空神殿、研究室までマオは早歩きで帰っていった。

マオ「キーリス!聞いてくれ!」

キーリス「報告は受けてる。オークはやっぱり使えなさそうだな。有効打は弱点に当ててこそだ。アイツラは闇雲すぎていけない。…………(ブツブツ)」

キーリスは端末の情報、今日の戦闘報告だろうか?

長い文章から目を離さないで答えている。

マオ「俺が活躍したんだぜ!」

キーリス「それも聞いた。お前と同じやつを増やさんとな。しかし、……(ブツブツ)」

マオの顔は曇った。それに気づいたのかキーリスが目だけでマオを見る。

キーリス「どうした?疲れてるだろ?早く休め。」

良かったな。

偉いぞ。

マオ(名前)。

マオはキーリスからそれらが欲しかったんだと思った。

マオ「……わかった。キーリス。」

マオは初陣で初勝利を収めても浮かない顔をした。

ソレをイギギ達は見落とさなかった。

所長イギギ「やったな!マオ!初金星じゃないか!」

イギギ研究員A「偉いぞ!よくやった!」

イギギ研究員B「お前のおかげで星のテラフォーミングが進むな!」

マオはその言葉で嬉しくなった。

マオ「そーだろ!そーだろ!」

キーリスはマオとイギギ達が騒がしくしているのを一瞥して、外でやってくれないか?とどなった。

培養液からはまた新しい亜人が出てくる。キーリスはそれに近づいて、出来を確認している。

マオ『キーリスは研究で忙しいんだ。』

マオは自分にあてがわれた月夜に照らされ少し明るい個室のベットの上天井の模様?シミ?を数えていた。


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