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敵対原生生物

天空神殿の遺伝子工学研究室の培養液から出てくるゴブリンに似た大男。それを満足そうに見つめる頭が長い(コーンヘッドの)男がキーリスの方に向き直った。

所長イギギ「結構成長スピード早いでしょ?キーリスさん。」

キーリスはその言葉にジト目になった。露出度の高い白い服に足を組んで。自分の席から奴隷たちを睨む。

キーリス「タメ口?」

所長イギギ「キーリス様!」

キーリス「よし。」

だいぶ、女性のアヴァターラに慣れてきた。

流石に無い器官の快感はなかったが。とりあえず、しばらく女の体を楽しもうと思ったキーリスだった。

キーリス「ソイツはオークとでも呼ぶかなぁ。」

所長イギギ「では、そのように。」

オーク「オデ、オデの名前、オーク?」

キーリス「種族名だぞ?」

オーク「しゅ?」

ダメだ。頭とか全体的に貧弱そうなゴブリンから作ったから頭がめっぽう弱い。戦闘の主体にと思って作ったが。

キーリス「そう言えば、武器にレーザーとかないのか?」

所長イギギ「いいえ、上には何度も要請してるんですけど、送ってくれないんですよね。」

キーリス「ほーん。」

俺が言ってみるか。そう思ってキーリスは握っていたマウスを離した。


母船の操作室の自分の体に意識をもどしたキーリスは個室を出てオペレーター達に軽く挨拶すると議長室に向かった。

キーリスは議長室のドアをノックする。

キーリス「キーリスです。議長。」

議長「?ちょっと待て。」

服の擦れる音がする。

議長「いいぞ。入れ。」

扉を開け中に入ると同時に顔が情気した一人の女性が中から早歩きで出ていった。議長もこころなしか顔が赤い。

キーリス「武器にレーザー兵器が欲しいです。送って下さい。」

議長「あー、そのことか、ダメだな。」

キーリスは耳を疑った。星のテラフォーミングが嬉々として進まないのは近代兵器を現地に送ってないせいだった。

キーリス「何故?!」

議長「……君はイギギ達をどう思った?」

正直、馴れ馴れしい。キーリスは顔に出るタイプだった。その様子に議長はため息をついた。

議長「奴らはあの星の支配者になったつもりでいる。そんな奴らが武器を持ったらどうなると思う?」

キーリス「反乱するでしょうね。」

議長「ヘタをしたら、あの星で独立宣言をするだろう。危険すぎる。」

キーリス「しかし、それではテラフォーミングが!」

議長「だからこその生体兵器だ。あれになら君の首輪をつけられるだろう?」

なるほど、それで。現地に送っている人手、イギギの数も少ないのか……。キーリスはなにか思い立って。

アヴァターラ操作室、自分の個室に戻った。


キーリス「あれを作ろう。」

足を組んで動かなかった女性型アヴァターラが口を開く。

所長イギギ「なんです?あれって?」

キーリス「ヒトだ。」

キーリスは早速、材料をイギギ達に取りに行かせた。

それが培養液で作られてる間にキーリスは敵対原生生物の調査に向かいたいと申し出た。

所長イギギ「我々の手のものに任せておけばいいではないですか?」

ここにも、テラフォーミングが進まない原因があった。

頭脳職奴隷が真剣に取り組んでいれば、ちょっとづつだとしても進展はあるだろう。あった、だろう。

キーリス『コイツラ、時間を稼いでるのか?』

キーリスは地上に降りると現地の原生森林に足を運んだ。


ゴブリン「オイラが道案内します。へへ。」

コイツラ、ゴブリンは見た目で判断つかないが、この前見た個体と比べて言動、言葉のチョイスが若い。

イギギは兵隊を増やす時間を稼いでいる。キーリスはそう思えた。

キーリス『ゴブリンにも首輪をつけなければ。』

ゴブリン「しっ!飛竜です。」

デカい。あんなのが亜音速で飛んで、火を吐くのか。

キーリスは思い立った。アヴァターラの手刀でどれだけ通用するのか?

キーリスは援護もなしに飛竜に飛びかかった。飛竜はすぐにキーリスを捕捉すると、

軽く、咆哮し、翼を広げて走ってくるアヴァターラを威嚇した。

キーリスは構わず、飛竜の懐に飛び込んで思いっきりアヴァターラの手刀を飛竜の硬い皮膚に突き立てた。

ズドォ!アヴァターラの手はバラバラに壊れた。

キーリス「む!」

ゴブリン「危ない!」

ゴブリンは持っていた短刀で飛竜に切りかかった。

スパッ!

今度のは、短刀は少し飛竜の皮膚を切り裂いた。

そのイタミに逆上した飛竜がゴブリンの首から上を丸呑みにして食いちぎった。

キーリス「ナイスカバー!」

飛竜の咀嚼音を後ろに聞きながらキーリスはその場から逃走した。


アヴァターラの壊れた手が直るくらいに人が培養液から出てきた。丸裸の成人女性。普通そんなのを見たら男はみな前かがみになるだろうが、アヴァターラにはついていなかった。

所長イギギ「……キーリス様、これをどうするんです?」

前かがみのコーンヘッド野郎が質問した。

キーリス「ゴブリンと交配させる。次世代がそれで生まれるんだったらゴブリンの異性は作らなくて済むだろ?節約だよ。」

まぁ、生殖に首輪をつけたのだが?

イギギ達はその言葉の真の意味を理解せず、交配現場を見ようと興奮していた。

キーリス『チョロい奴らだ。』

所長イギギ「すぐに交配の準備を!」


交配は成功した。人間の女性はすぐにゴブリンの子を生んだ。ゴブリンの幼体は人のそれより頭が小さいから産みやすいのかもしれない。イギギ達は出産現場を見れる窓に群がっていた。

所長イギギ「人の胎児期間の半分もなかったですね?!」

ポケットに手を突っ込んで愚息を揉むイギギは出産現場を見て言う。そこから目を離そうともしない。

キーリス「ゴブリンのメスは要らないかな?とりあえず、ヒトにゴブリンを産ませて数を増やそう。」

所長イギギはキーリスに向き直った。分かりやすいやつだ。キーリスはそのほうが助かると内心ほくそ笑んだ。

キーリス「そして、ある程度数を揃えて飛竜を討伐する。」


事件はオークとヒトとの交配実験中に起こった。サイズが違いすぎて女性は腹部の苦痛を訴えるかのように叫んだ、それがオークを興奮させたのか交配中のヒト女性を食べ始めた。

興奮してみていた、イギギ達もドン引きであった。

すぐに実験は中止されたが、すでに女性は息絶えていた。

キーリス「オークって生食できるんだな。」

所長イギギ「何言ってるんです?!大変なことになりました!!」

キーリス「は?ヒトなんて、また作ればいいだろ?それより、オークの異性体を作らないとだめっぽいな。」

キーリスは何かが欠落していた。


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