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フォボス街の武力介入

「双方動くなぁっ!」

 空気を震わせる様な怒号が響き渡る。

「…来たか」

 そろそろだとは思ったよ。

 瓦礫の陰とかからなんか妙な気配してたもんに。


「おっせーな。もっと早く来いよ?無害な少年が暴漢に襲われてんだぜー?」

 俺は周囲を取り囲む気配に対し、フォボス街の治安状態のクレームをつける。

「エスペ…あんっ、あんっ…あっ」

 俺は然りげ無くプリムの体をくるりと反転させ、正面から抱き合う体位にする。膝下に腕を入れて背中に回し、ガッチリホールドしてプリムの体を隠す。


 プリムとの愛のある子作りセックスでランスロットの心を粉砕したので、俺の女の体を不特定多数の目に晒す必要はもう無くなったからだ。

「よくもぬけぬけと…」

 忌々しげに吐き捨てるのはリーダーらしき獣人の男だった。獅子王ライオン丸と無付けよう。


 首から下は人間ぽい。ムッキムキのガッチガチだ。頭はライオンの顔をそのみゃんみゃ乗せたと言うか、ライオンの被り物をしてる様に見えなくもない。

 瞳に殺意を漲らせ、俺とランスロットを交互に睨んでおる。


「全員捕らえる。抵抗するな」

 獅子王ライオン丸が手を振ると、獣人や半獣人、半魔族やハーフエルフやドワーフ、人間少々の混合部隊が姿を現す。正に多様性の坩堝だなぁ。混沌、混沌。


「なんだよ?俺達は被害者だぜ?」

「黙れ…」

 じりじりと近寄って来たフォボス街の精鋭部隊が俺達を取り囲む。特にさっきまで大暴れしてたランスロットくんの方には、屈強な獣人達がいっぱい向かってる。

 シルクの方にもエルフ…いやハーフエルフとかが向かい…


「ぎゃぁぁぁぁぁぁっ!」

 シルクに近寄ったハーフエルフが、突然頭を抑えてのたうち回り始める。目や鼻や耳から血を出してバタバタ暴れておる。

「貴様ぁっ!」

 獅子王が叫ぶ。

「私何もしてない。勝手に彼が転びました」

 シルクが半殺しハーフエルフを指差して、ぷるぷると首を振っている。


「精霊干渉か。シルクはニアハイエルフだからな。精霊魔法で拘束しようとしてカウンター喰らったんだろ。アホだなぁ」

 見ただけで力量差が解らんか。アホめ。

 精霊魔法は格上相手だと手も足も出ないんだよな。

 

 人間魔法を格闘で例えるなら…相手がフル武装の甲冑騎士で、こっちが下穿き一丁の裸でも、一応殴りかかる事は出来る。

 しかし精霊魔法の場合、相手がフル武装の甲冑騎士で、こっちが下穿き一丁の裸だったら、こちらは自分の下穿きを脱いで自分の口に突っ込んで飲み込む様な感じだ。殴りかかる事すら許されない。自殺を強要される。


 つまり今あそこで悶絶してるハーフエルフは、自分のパンツを飲み込まされてる状態だ。…想像したら嫌だなぁ。ハーフエルフだからそこそこ若く見えるけど、オッサンが自分のパンツを咥えて裸で転げ回るなんて、本人も周りも嫌だろう。


 エルフ達の上下関係がギッチギチなのはこう言うのも理由だろうな。偉い奴は強いし、強い奴が偉い。

 そして年齢を重ねればどんどん強くなるから年寄り程強い。そして寿命は長いし少子化も加速してる。うん千年も保守的で排他的なのも解るわ。種としての新陳代謝が悪過ぎる。


「ニアハイエルフだとっ!?それが何故人間の味方をするっ!」

 獅子王さんは怒鳴ってるんじゃなくてアレが地声の声量なのかな?いちいちうるせー。

「私エスペルの奥さんよ。エスペル虐めたら…めっ」

 シルクが俺とプリムに近寄って来てた連中を睨むと、皆地べたに這いつくばってごろごろと転がり回り始める。

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 あーあ。大変だー。

「おのれぇっ!抵抗するかぁっ!」

 獅子王さんは元気だな。身体強化全振りっぽいので、魔法攻撃はほとんど効かんだろう。強いんだろうな。それはともかく…

「あーもうしっちゃかめっちゃかだよー」

 別に俺は誰かと敵対したい訳じゃないが、誰かと仲良くしたい訳でもない。


 襲って来たエルフは殺すし、女は捕らえて犯す。

 襲って来た勇者はぶちのめすし、妹は捕らえて犯す。

(襲って来たら殺す。女は犯す)

 ただそれだけだ。

「エスペル、エスペ…あ、ああ〜…んっ」

 プリムに駄目押しで中に出しておく。妊娠すっかなー?これ。


「ほら、きれいきれいしような〜」

 俺はプリムを地面に下ろして座らすと、唇に捩じ込む。

「ん、んんぶっ!?」

 涙目で頬張るプリムちゃん。

「よーし、上手上手〜」

 俺はプリムのツインテールを掴んで頭を前後させ、俺自身の腰も前後させる。なんか取り囲むだけで襲ってこねーからヤる事ヤっとこうっと。


「この異常者がっ!」

 見物人のライオン丸がうるさいです。

「ま、無謀な攻めをしない頭はあるか」

 血気盛んな感じだけど、俺へ直接危害を加えようって感じじゃねーな。見た目より冷静だ。リーダーだもんな。

「よし、飲め」

「んん〜んくっ」

「よし、いい子だ」

 俺はプリムの調教を続ける。

「んっちゅぅっ」

 プリムは恍惚な表情で吸い出してくれる。

 ふむ。新たな戦闘が始まる前にスッキリしときたいじゃん?


「この期に及んでまだ続けるか。その胆力を褒めるべきか、その精力に呆れるべきか、判断に困るな」

 突然のハスキーボイスが場の温度をヒヤリと下げる。

(誰だ?コイツも強いな…)


 俺がプリムにお掃除させてると新たな闖入者が現れた。パッと見は黒い肌のエルフの女。

(ダークエルフ?いや少し違うかな?)

 エルフ特有のスレンダーさは無く、肉感的…ちゅーか、ボンッキュッボン!のダイナマイトバディだ。胸はフリーシアンクラスで、尻もデカイし背も高い。

 鍛えてはいそうだが、アーニス程筋肉バッキバキじゃねぇ。

 神殿とかで飾られてる女神像みてーなスタイルだな。今まで出会って来た女の中で完璧と言って良い。見た目だけは最高の女だ。


「オプスキュリテっ!そのニアハイエルフとやらをなんとかしろっ!」

 獅子王ライオン丸がガオガオ吠える。マジうるせー。

 俺はプリムの頭を抑えると、そのまんま解き放つ。

「おーし、いい子だプリム」

 全部飲み干せたのでご褒美に頭を撫で撫でしてやると、プリムが嬉しそうにする。うむ、しばらくはこの肉便器で楽しめそうだな。


 俺はズボンを履き直しながら、オプスキュリテと呼ばれたダークエルフっぽい女を見やる。

 彼女は溜め息混じりに仲間に応えている。

「無茶を言うなザハブ。私は精霊魔法は専門じゃない。勝てぬ喧嘩等売れぬよ。そこのニアハイエルフ一人でフォボス街をこの世から消せるんだぞ?さっきした話を忘れたか?我等の仕事は捕縛でなく交渉だろう。仕事が出来ないなら引っ込んどれ―――仔猫ちゃん」

「ぐぬぬ」


 実力も年齢も上なのだろう。オプスキュリテに諭され、ライオン丸…ザハブがぐぬぬしてる。

(フォボス街の顔役達か。獣人担当、エルフ担当ってとこか)


 一応立場は同格なんだろうが、獣人は成長が早い。見た目は三十くらい…いや、あの顔じゃ年齢は解らんけど…ザハブくんもしかすっと二十代くらいなのかもね。

(エルフとは真逆に獣人は老いるとあっつー間に弱体化すっかんな)

 こっちは種族としての新陳代謝が早過ぎるんだよね。仲悪い獣人族同士が、なんとか盟約を交わして平和になったのに、次世代が喧嘩し始めて結局まとまりが無くなってしまうらしい。

 

(孕み易いし多産で妊娠期間も短くて成長も早ぇ。獣人犯す時は気をつけねーとな…)

 見た目は成人…いや獣人の感覚だと子供産めれば成人なのか?…に見えても一桁年齢だったりするらしい。極端過ぎる。


「そこのニアハイエルフは少年の妻らしいぞ。人間相手なら私より適任者が居るだろう?後は頼むぞ、ヴェルスタンディッヒ」

 オプスキュリテがそう呼びかけると、廃虚となった街並みにポツンと人影が現れる。


「私は荒事向きじゃないんですよ?同種族だからと押し付けるのは差別ではないですか?」

(気配感じなかったな?弱い?いや、気配を隠すのが上手いのか?)

 現れたのは柔和な顔をした小太りの中年男だった。戦闘能力は恐らくはあまり無い…はず。物腰も柔らかく、商人や役人の様だ。だが…


(強ぇ奴程強さ隠すの上手いからなぁ)

 微笑を浮かべたその男からは強者の気配は感じない。だが護衛も付けずにふらりと現れた時点で甘く見てはいけない相手だと判断出来る。


「強くなければ五賢人等務まるまい。たまには戦え」

 オプスキュリテの発言が俺の予測を補強する。

 やっぱこのオッサン油断出来ねーな?

「ははは。無茶振りは止めて下さい。私の武器は外交で振るう舌戦です。拳で語り合う肉体言語ならネザーランドさんの出番でしょう」

 ヴェルスタンディッヒが困った様に笑って、また誰かの名を新たに上げる。


「確かにこの小僧は強い。強いがいけ好かん。己の肉体のみで戦うのは立派だがな。武器を軽く見ておる。己に相応しき武具を持ってこそ真の強者よ」

(岩が喋った)

 いや、違った。

 岩か、瓦礫かと見紛うほどに赤銅色の肌をした背の低い男が現れる。

 背は低いが肉体が分厚い。筋肉の塊だ。

(ドワーフ…いや、ハーフ?獣人と?)


 その筋骨隆々とした小柄な男は、もじゃもじゃな髭と、頭からモサモサした長い耳を生やしていた。

「兎耳の髭親爺…か、可愛くねぇ―――」


 俺が今日一番の衝撃に声を出すと、長い耳をピクピク震わせネザーランドと呼ばれたドワーフが鼻を鳴らす。

「素の身体能力や魔力ならてめぇは俺等全員より強いだろうよ?だがな…」


 鍛冶用なのか戦闘用なのか、大鎚を振り上げてニヤリと笑うネザーランド。

「俺様が鍛え上げた武器を装備した五賢人相手に…勝てるかな?人間の小僧」

 兎系獣人の血を引いてるはずなのに好戦的なオッサンだな。


「五賢人…て、それまさか僕も数に入ってるの?」


 ――――ナニカが現れた。


(なんだコイツ?)

 一見ヤバイ気配はしない。だが…


(戦って勝てる気がしねぇ…いや、なんだ?)

 ぞわぞわして気持ち悪い。

 戦ってはならないと本能が告げて来る。

「やぁ、どうもどうも」

 そいつは何処にでもいそうな男だった。見た目は人間だ。普通だ。覇気とかオーラとかは感じない。魔力もだ。だのに―――


「なんだぁ?テメェ…」

 俺は魔力を練り上げ身体強化を強める。プリムを抱き締めていつでも動ける様に身構える。


「僕はマハ。戦る気は無いから落ち着いてよ…」

 怠そうにしてる男からは、確かに殺気もやる気も感じない。しかし違和感が凄い。なんだろうか?コイツは…

(この世に存在しちゃいけねぇもんだ…)

 俺の本能が、魂が拒絶している。


「珍しく早起きしたと思ったらなんだその態度は?やる気が無いなら引っ込んでろ堕天使が―――ぺっ!」

 オプスキュリテが物凄く嫌そうな顔をして唾まで吐いている。なんだこの五人。仲良くないのか?

 いや、そんな事よりも―――


「堕天使?」

 女神の使いである天使…いや、邪神の使徒である魔族が存在すんなら天使ぐらい居るのか?

 マハと名乗った堕天使がへらへらと笑ってる。気持ち悪ぃ。

「どーも、よろしくね。アザゼルの子よ。アメノシズクヒメは元気かい?」


 ――――――――――――コイツっ!


「…………あのメンヘラ女の知り合いか?」

 堕天使…つまり、悪魔…つまり魔族…魔王の、姫の…俺の元嫁の―――


「あのクソ女の仲間か?」

 殺す。


「いやいやだからやる気無いってば」

 頭をぼりぼりかきながら堕天使マハがぼやいている。

「…ちっ…」

 予想外。

 さっき逃げときゃ良かった。

 

(やべぇな…思ってたより…厄介かも知れん)

 最初にライオン丸くん見たから、ちょっとなめてたわ。

 五賢人だっけ?

 コイツら対等なのか?力の差が有り過ぎだろ?

 弱い順から出て来たのか?

(逃げれるか?)

 シルクに先頭を走らせ、プリムを守りながら囲いを突破する。いや、俺が突破口を開くか?

 俺が警戒心マックスで五人の実力者達に睨みを利かしてると…


「触れるなっ!邪悪な異教徒どもがっ!」

 グレイスのオッサンの声が聴こえる。気絶してたが拘束された時に起きたのかな?

「教会の原理主義者か」

 うんざりした様に呟くオプスキュリテ。

「ならば本当は事故ではなく…故意による虐殺なのですかね?」

 ヴェルスタンディッヒが首を傾げている。


「ふん。ここ十数年はどの国もちょっかいかけて来なかったんだがな。まさか勇者が攻めて来るとは」

 ネザーランドが忌々しそうに吐き捨てている。

(ランスロットの素性は知られてるのか。まぁ有名人だし)


 五賢人達からは、怒りや憎しみよりも疲労の色が濃く漂っている。人間からは亜人種差別。生粋のエルフ達からは混血差別。魔族への根源的恐怖による半魔族差別。

 あらゆる差別から逃げて来た者達の最後の拠り所であるフォボス街の顔役達。

 

 彼等は裏世界のドン等ではなく、苦しみ惑う者達を導く庇護者でしかないのかも知れない。

「…街の一大事に出て来た最高戦力がこんなもんだしなぁ」

 そもそも戦闘が終わって安全が担保されてから出て来るとか軟弱過ぎる。

(マハとか言う堕天使だけ突出してやべぇ感じはするが、他四人はそこまで戦闘が得意じゃねーのかもな。なら付け入る隙は…)

 俺がどう状況を切り抜けるか思案してる時だった。


「なんだっ!?こいつ急にっ!」

「抵抗する気…ぐあああっ!」

 今度は違う所から悲鳴が上がる。なんだなんだ?

「おお?んおー?まだ心折れてなかったんか」

 どうやら囚われの勇者様が大暴れしてる様ですたい。暴れんの好きだね。暴れん坊勇者だね。


「プリムを、返せ―――」

 さっき転がってる間に巻き付かれたんだろう鎖を引き摺りながら、俺の方…いや、プリムの方に歩みを進めて来る縛られ勇者ランスロット。しかし…


「ひっ!いやぁっ!たすけて、エスペルっ!」

 プリムはなんと、ランスロットに恐怖の視線を向けて、俺に抱き着いて来た。

(んー?なんで?)

 さっきからややぼんやりしてて大人しかったから、恐らく魂・精神・肉体が統合されて人格が再生されてるんだと思ってたんだけど…


「俺専用肉便器兼性奴隷兼第二夫人になったからな。記憶も改竄されたのかな?」

 俺がよしよしとプリムの頭を撫でてやると、プリムはさらにギュッと俺に抱き着いてぷるぷると震え始める。完全にランスロットに怯えてる。無理矢理犯したはずの俺の胸に顔を埋めて泣いている可愛い。

「ちょっとこの泥棒猫」

 第一夫人のエルフからクレームが入ります。シルクがまた変な言葉覚えてるよ。


「き…きさま、きさまぁぁぁぁぁっ!僕の妹にっ!プリムにいったい何をしたぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 俺が守る様に抱き締めるプリムを見て、ランスロットはシルク以上に怒り取り乱し、絶叫したのだった。

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