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勇者の異母姉その6 私の初めては兄の前で奪われた

 私は呆気なくベアナックルに押し倒され、組み敷かれてしまう。突然の事と言うのもあるが、単純に私よりも力が強い。

(!……身体強化じゃとても敵わない―――)

 頭の片隅にあった、ベアナックルを逆に組み伏せてランスロットと人質交換をする―――等の案は立ち消えた。私が逆に制圧され、ランスロットの首が飛ぶだけだろう。そもそも私はベアナックルが何をしたのかも理解出来ぬままに倒され、先程まで気を失っていたのだ。


(―――痛っ!)

 背中に燃え残った瓦礫が当たり、熱くて痛い。

 身体強化していても熱と痛みが突き刺さってくる。先程のお腹の怪我も酷く痛む。


(これは…ランスロットが、私達が犯した…罪…)

 ふと目に入ってきた獣人の親子の焼死体が、私の抵抗する意思を挫く。


 聞いた話だと、冒険者ベアナックルの狩り場は確かバリュー市辺りのはず。この街の関係者ではなさそうだし、私達を断罪する立場にはないだろう。

 それでもベアナックルに乱暴される事が、罪に対する罰の様な気がしてしまう。

(う………)

 ベアナックルに服の上から体を弄られる嫌悪感を、大量虐殺を行った罪悪感が上回り、私は身を固くする。


「や、やめろっ!」

 ランスロットの声に耳を塞ぎたくなる。

(見ないで―――ランスロット…)

「うるさい」

「ぐうっ!」

 藻掻くランスロットの背中をエルフが強く踏み付けている。


(…時間を稼ぐから…誰か…助けて―――)

 私はこの場に居ないエクレーラ、グレイス、クリーガーに心の中で助けを求める。でも誰も来ない。もしかして皆、殺された?―――


「やっ」

 ベアナックルに胸を鷲掴みにされ、思わずその手首を掴んでしまった。

(しまった―――)

 私がハッとする。ベアナックルが驚いた顔をして声を出す。

「え?嫌?」

 ベアナックルの声を受けて、ランスロットの背中を踏み付けているエルフがその手を燃え上がらせる。まずい―――


(あのエルフ―――四肢は無かったんじゃない。必要無かったんだ。木も炎も操る二重属性の精霊魔法使い…)

 多属性を操れる人間魔法の方が一見便利だが、エルフの操る精霊魔法は人間の比ではない。

(それを二つも操るなんて…あれがまさか―――)


 そのエルフは美しかった。黄金の髪を靡かせ、首元には赤く輝く宝石、真っ白なドレス、木魔法で創られた足、炎で出来た両腕。

 これこそエルフの王族と言われる―――


(ハイエルフ―――)

 あのハイエルフ一人相手でも、私達ジャスティスが全滅する可能性もある。さらにそれを従えるベアナックルの方が弱いと思うのは、流石に希望的観測が過ぎる。

 どう足掻いても勝てそうにない。


「いえ…なん、でも、ありま、せん…」

 歯を食いしばるランスロットを見た後、思わず反対方向に顔を背ける。

(これ以上見ないで…)

 しかしそんな事をベアナックルは許してくれない。

 私の顔を真正面に戻し、唇を奪われる。

「――――――――――!?」

 私のファーストキスだった。

 視界がぼやけ、熱いものが瞳から溢れる。

 

 ベアナックルは私を見下ろし心底楽しそうにしながら、私の衣服を破いていく。下着も破かれ、胸もお腹も、外気に晒される。

「……………」

(終わって…早く、終わって―――)

 私はただ嵐が過ぎ去るのを耐える様に目をぎゅっと瞑る。

 そして………


「あぐっ!?」

 ――――――誰の為だったのか…ずっと大切にしていた初めては、あっさりと散らされた。


 想い人であり、腹違いの兄であるランスロットを生かす為、私は彼の目の前で、見知らぬ男に犯されている。

 

 そして隠し様も無い、太腿に流れる破瓜の血で気付かれる。

「なんだお前初めてか?」

「はい…うぐっ」

 痛みと屈辱に耐え切れず、呻き声や涙が零れる。気絶する前に受けたダメージも残っているし、お腹が痛い。背中も痛い。

(なんで、なんで私がこんな目に―――)

 ランスロットが起こした惨状の事など棚上げして、私は自分の今までの旅路を思い返す。


 未熟者なりに、頑張って来たつもりだった。困ってる人の為に、頑張って来た…はずだったのに…

(泣くものかっ!泣いてなんか、やらないっ!)

 唇を血が出る程噛み締めて痛みに耐える。それでも唇からは微かな呻き声と、目からは涙が零れてしまう。

 そんな私を見て、ベアナックルはさらに楽しそうにする。

 私を蹂躙するのが余程楽しいのだろう。


「なんだ?勇者様の恋人じゃねーのか?」

 ベアナックルの言葉が私の心を抉る。

「私達は、腹違いの、んっ、兄妹、だから…」

 容赦無く、私の初めてを味わうかの様に動かれるたびに、痛みに耐え切れずに呻き声が漏れてしまう。声なんか聞かれたくないのに。


「ああ、そう言う…」

 私の態度に何かを察したのだろう、ベアナックルがつまらなそうに呟き、鼻で笑う。


「くだらねーな」

 侮蔑を込めて嘲笑される。

「そんな煮え切らない関係続けてっから、兄ちゃんはお姫様に、お前自身は俺なんかに寝取られんだよ」

 そう言ってさらに私を犯してくるベアナックルに、私はただただ黙って耐える続ける事しか出来ない。


「ランスロットお兄ちゃんはリファーナ姫の婚約者だっけ?」

(なんで、なんでそれを今言うの?)

 聞きたくない事を聞かされながらベアナックルに犯される。いや、解るよ?そこが私が苦しむ所だって解るから、攻めて来てる。本当に性格が悪い。

「うっ…くっ…ふっ!…うっ…」

 黙って唇を噛んで耐えている私の心の方も、ベアナックルは容赦無く攻め立てて来るのだ。

「なら俺達は俺達でよろしく犯ろーぜ?」

 声を出したくない。聞かれたくない。心だって知られたくない。


「ふぐっ!うううっーーーーっ!あっ…」

 必死に声を上げない様にしてるのに、息継ぎの瞬間を狙われ、ベアナックルに唇を奪われる。舌を捩じ込まれ、口の中も犯されていく。

「うううっ…うぅーーー…」

(嫌なのに、どうして―――?)

 頭の冷静な部分は解ってる。痛みを和らげる為の体の反応により、私の体が動いてしまう。まるで、ベアナックルを受け入れてしまった様に。まるで愛し合っているかの様に―――

 

 ベアナックルは私を舌と腰で攻めながらも、頭を優しく撫でてくれる。

(…くれる?なに、それ…もっと酷く扱って欲しい。優しく、しないで…)

 気持ち良くなんて決してないし、嫌な気持ちしかない。けれど、優しくもされたくない。痛くして欲しい。酷い扱いをされた方がもっと憎めるのに。


 けれど、ベアナックルはそれ以外は優しかった。

 もしもそんな優しさに縋ってしまえば、心の奥底まで汚されてしまう気がするので、拒絶するが。

(くそぉっ…コイツ…私より年下のはずなのに…女を抱き慣れてる―――)

 それに無理矢理犯されてるから解る。このベアナックルという男、処女を無理矢理犯すのに慣れてる。乱暴なのは最初だけだった。


 いつの間にか固い地面による背中の痛みや熱が和らいでる。ベアナックルから魔力が流れて来るのが解る。

(背中の痛みだけじゃない…お腹のダメージも回復してる?何故―――まさか…)


 ベアナックルは私の、処女喪失の痛みを味わわせる為に、その他の痛みを消している。

(なんて人なの―――)

 自分が与える性交の痛みだけを刻み付ける為だけに私に回復魔法を使っている。

 グレイスの拳法と似ているが、応用の仕方が酷過ぎる。


(ううう〜…)

 背中の痛みで感じていた罪悪感や、お腹のダメージで散らされていた意識を、無理矢理ベアナックルとの性行為の痛みに集中させられてしまう。


「ふーーーっ!ふーーーっ!」

 ランスロットの荒い息遣いが聴こえる。

 チラリと見ると、ランスロットの口を木の根が塞いでいた。エルフの魔法だろう。

 そのエルフは炎で宙に木を描いて花を咲かせて遊んでいる。


(なんて魔法力―――)

 ベアナックルに犯されながらもそれを見てゾッとする。あの花弁一つ一つにも相当な魔力が籠もってる。あの炎の花弁が一枚触れただけで、魔力の低い人間なら焼け焦げ人間松明になるだろう。


「ちゅっ。ほらほら、お兄ちゃんに見て貰おっか」

 ベアナックルに胸を吸われ、私は体勢を変えられてしまう。嫌だ、それだけはやめて―――

「いやっ!やめぇ、やめ、てぇっ!やだぁっ!」

 流石の私も声を上げてしまった。

 ベアナックルはなんと、私を背後から抱きかかえて持ち上げて来たのだ。これでは交わっている所が丸見えになる。


(恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしいっ!)

 顔が熱くなる。恥ずかしい。罪悪感ではなく羞恥心で死にたくなって来る。周辺には最早生きた住人は居ないが、フォボス街の実力者達が見張ってるのは明白だ。嫌なくらいに天気は晴れており、白昼堂々こんな事をしてる自分に対して発狂しそうになる。


「―――!っっ…!」

 ベアナックルはその姿勢のまま歩く。歩くたびに体の奥を突かれて頭が飛びそうになる。

(何処へ行くの?やめてやめてやめて―――)


 そしてあろう事か、俯せに拘束されているランスロットの目の前にまで移動するベアナックル。

 本当に丸見えだ。陽の光で良く見えるだろう。

(最低。最低だコイツ―――)


 犯されてる事以外に痛い事はされていない。殴られながらとか、刺されながら犯されたりもしていない。むしろ他の怪我は治療までされている。

 だがやっている事は徹底的な尊厳破壊。私の自尊心やランスロットとの関係性をとことん破壊しに来ている。


「み、見ないで、お願い、ランスロット…」

 懇願する私の願いは届かず、ランスロットは血走った目を瞬きもせずに真っ直ぐに向けて来る。

(終わりだ。終わった―――)


 このまま全員殺される可能性もあるが、まだ生き残れる道もある。ただなんとか生還出来たとして、元通りの関係に戻れる自信を、私は持てない。

 

 私が反射的に顔や胸や股を隠そうとするのを、ベアナックルは許してくれない。足の膝裏から通した手で私の腕を抑え付けてくる。そんなに体格が良い訳ではないベアナックルでも、私の方が小柄なのでこんな体勢も許してしまう。

(ま、まるでちっちゃい子のおしっこじゃない―――)


 ベアナックルは幼子を抱きかかえて用を足させる様な姿勢で、私を犯し始める。先程とは全く違う羞恥心が私の心を粉々にしようとしてくる。

「大事な妹はお前の所為で犯されてるぜ?どんな気持ち?ねえねえ今どんな気持ち〜?」

 勿論、言葉責めも忘れない。これは私を犯しながらランスロットをも辱める行為なのだ。もう、これで私とランスロットの関係は終わった。


 生まれた時から、少しずつ少しずつ積み重ねて来た淡い恋心や、家族としての情も、完膚無きまでに破壊するつもりなのだ、この男は―――


「ふーーーっ!ぐふーーーっ!」

 ランスロットの息がさらに荒くなり、憤怒の形相で私を睨んでくる。

(そんな目で…見ないで…)

 ランスロットを助ける為に身を捧げているのに、ランスロットから軽蔑されてる気がした。簡単に股を開く売女だと罵られている様な錯覚を覚える。

(貴方の、貴方の為にしているのに―――)

 ただの時間稼ぎかも知れない。どの道皆殺されるかも知れない。けれど、こんなに頑張ってるのに…そんな目で見ないでよ。妹をそんな目で見ないでよ………


「エスペル…楽しい?」

 エルフが何かベアナックルに問うている。

「むっちゃ楽しい」

「ならいいけど」

「解ってるよ、後でな」

「うん」

 私は呆然としながらも二人の会話を聞く。そして―――


「さて、んじゃ取り敢えず一発イっときますかぁ〜?」

 その言葉に一気に我に返る。

「―――え?…い、いやぁっ!」

 それだけは、それだけは絶対に嫌。

 身体強化によって抜け出そうと藻掻く。

(駄目―――強い―――)

 精神面のコンディションが最悪なのもあるが、繋がってる部分から流れて来るベアナックルの魔力で、体の抵抗を内側から奪われる。


 ベアナックルは私が嫌がる分興奮したのか、さらに動きを激しくさせる。だめ、だめなの―――

「や、やめてっ!な、中はやめ…」

 イヤイヤと首を振ると、耳朶を甘噛みして囁かれる。

「やめるかよ馬鹿が。俺の子種で孕んじまえ」

(―――――――――!)

 その台詞と生暖かい吐息に、私の背筋にゾクゾクとした悪寒が走り抜けた。

「いやあああ〜っ!」

 どんどん加速していくベアナックルに、私の体の奥が震えるのが解る。嫌なのに、本当に嫌なのに―――


(お腹が…女が、私の女の部分が男を受け入れる準備をしてる―――)

 妊娠する可能性とかの恐怖も勿論ある。しかしそれ以上に、胎内に精を出されると言う行為が、男に支配される決定打になるのだと本能的に理解してしまう。

 

 根源的な、本能的な欲求。支配される悦び、安心感、女としての満足感、そんな感覚を―――

(こんな奴に、無理矢理犯されながら味わうのは、嫌ぁぁぁぁぁぁっ!)

「あっ!あっ!あっ!ああっ!」

 ベアナックルの物が膨らんで震えるのが解った。

(来る――――――――――)

 嫌悪感と焦燥感と羞恥心と絶望感でぐちゃぐちゃになる中…女としての悦びを覚え始めたこの肉体を激しく恨む。

 そしてその時―――


バキッ!


「お?」

「プリムをっ!妹をっ!離せぇぇぇぇぇぇっ!」

 痛みと羞恥と快楽でおかしくなりかけた頭で、ランスロットの叫び声を認識する。

「勇者とかって人種は、こう言う時に物凄い不思議パワーを発揮するそうじゃん?」

 私を欲望のままに犯しながらも、ベアナックルの声は冷淡で冷静だ。男は女を犯す事で荒ぶる心を鎮めるとも言う。

 私を犯す事で客観性とか冷静さを得ているベアナックルは非常にズルい。


(…抱かせてたら、抱いてあげてたら、ランスロットも、もっと落ち着いてくれてたの、かな?)

 キャナビスタ王国の件で苦しんでる時に、私が女として彼を慰めてあげていたら、もっと違った未来を選べたのだろうか?こんな事にはなっていなかったのだろうか?もうそれは、一生絶対に解らないけれど―――

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