さっき結婚したばかりの可愛い鬼嫁の前で他の女犯してみる
ランスロットが炎の大剣を振り降ろして来る。
(まずい。死ぬ―――)
そう冷静に判断した俺はシルクを守る為に魔力を体の外側に込める。熱を通さない様に。シルクが焼かれない様に―――
ズギャッ!
……………?
「あれ?」
気づくと俺は抱かれていた。
優しい風に…包まれていた。
「………エスペル、を」
俺の頬を金色の光の筋が撫でる。
見上げればシルクの美しく可愛い面が―――
「うちの旦那様を、いじめるなぁぁぁぁぁっ!」
(鬼―――)
シルクが吠える。美しいが怖いい面で吠える吠える。風魔法による空気の振動を増幅しているのだろう。大地が震える程の大音声だ。フォボス街中に響き渡ったはずである。
現嫁は、鬼嫁だったのだ。
見た事も無い程の憤怒の形相だ。悪鬼羅刹とは正にこの事よ。
手足が無いので実際の肉体ではないが、体勢的に俺はシルクにお姫様抱っこされている。風に抱かれて守られている。
(よし、集中集中―――)
俺は回復に集中する。肉体や精神だけじゃない。魂の、肉体や精神の奥底にある魂のひび割れの修復に手を付ける。こればっかりは初めての試みなので手探りだが、今なら安全に試行錯誤出来そうだからな。やるなら今でしょ!
「ランスロットは?まぁ大丈夫か」
ランスロットは微動だにしていない。いや、良く見るとプルプル震えている。体勢的には万歳した間抜けな格好だ。炎の剣をシルクに弾き返された状態で動けなくなった…ぽい。
「風?精霊魔法か」
空気を操作して物体を固定してるな?
魔力の低い者ならば口腔内の空気を固定して窒息死もさせられるはずだ。ランスロットは魔力が高いし、今は覇王鎧で覆われているから防げたんだろう。
しかしそれが仇にもなっている。
このシルクの空間固定、恐らくは素肌や薄着ならば魔力による身体強化内・外を使えば突破出来る。
しかし、外殻で体を分厚く覆うランスロットの覇王鎧にその機能は無い、もしくはそこまでの練度にランスロットが達していないかだ。
(これを脱出するには土魔法による石甲冑を自爆させるとか…だが)
俺が自分に置き換えて対応策をシミュレートする。しかし、怒りに任せたシルクのが一手早い。精霊魔法は人間魔法よりピーキーだが、発動スピードは段違いだ。
「うおわああっ!?」
ランスロットが叫び声を上げる。
枯れた大地から木の根が伸び、ランスロットを縛り上げたからだ。
「樹木よ―――」
そしてそれだけに終わらず、鎧の隙間から中に木の根が侵入する。格下相手なら鎧を着たまま木の根で突き刺して内側をぐちゃぐちゃにして殺せるだろう。
「くっ…」
シルクの眉間のシワが深まる。どうやらランスロットは殺せなかったらしい。魔力高いもんなコイツ。
「ぐあっ!?か、体が、動か―――」
だが鎧内に侵入させた植物から種を出させ、発芽させ、鎧の魔力を養分にして急成長させている。
ランスロットの纏う鎧の隙間から芽が出て枝が伸びて根が張られる。
見る見るうちにランスロットは木の牢獄に閉じ込められた。
これは逃げられない。
「そこもっ!妖しい動きをしないっ!めっ!」
まだ不慣れな人間語の拙い語彙のせいで可愛くなってしまうが、ニアハイエルフの放つ精霊魔法は超強力だ。
近くでまだ様子を窺っていたクリーガーを、ランスロットと同じく木の牢獄で閉じ込める。
「たんまたんま!降参!今度こそ降参っ!」
大騒ぎするクリーガーはシカトする。
殺しておいた方が良い気もするが、ああ言う奴はまだ隠し玉がありそうだ。殺さずに封じた方が良い―――
「いや、やっぱり殺すか」
俺は考え直した考えをまた考え直す。
「いや、殺す程じゃない。放っておいて良い」
俺はシルクの風の揺り籠を抜けて地面に降り立つ。
拳を握って調子を確かめる。
クリーガーは弱い。脅威度は低い。閉じ込めたままで良い。いやむしろ、逃がしてしまっても問題無い―――いや、あるだろ。
「認識阻害か。どんな手品だ?」
俺の無意識に介入して警戒心をゼロにする。これが不意打ちを成功させたトリックか。仕掛けはまだ解らんけど。
「いやいやいや、俺は見ての通りの冴えないオッサンですよ〜」
「なんなんだお前本当に」
俺の直感がコイツは放っておいて問題無いと告げている。
それが、おかしい。
この男はシルクを傷つけた張本人だ。
俺の心は婚姻魔法の影響でシルク第一主義に染まっている。コレは洗脳ではなく制約の一種だと思ってる。なのにコイツを見逃す?何故だ?
今、シルクがニアハイエルフとしての能力を開花させたのも婚姻魔法の影響だと踏んでいる。
なのに何故かシルクも、俺に直接ダメージを与えたクリーガーでなくランスロットを攻撃している。
勿論ランスロットが主力で、クリーガーがサポート役だからってのもあるだろう。
だがそれだけじゃない違和感を感じる。
無意識に他者からの脅威度を下げる。俺が魔力を極限まで抑えて行う隠形。そのさらに向こう側の力。
「直感も理性も、お前は別に放置して構わないと告げている。だから、殺す」
「いやいやいやいや!それ矛盾だらけじゃん!」
この期に及んでもヘラヘラとし、のらりくらりと場をやり過ごそうとしている。
その笑顔を見てるとなんだか憎めなくなる。
戦いなんか止めて、そこらの店で一杯やりたくなってくる。一緒に娼館巡りにでも行きたくなってきた。
なんだコイツは、おかしい。本当におかしい。
「死ね。お前が死んだらこのモヤモヤもスッキリしそうだ」
俺が拳を握り込む。殺意を高めれば高める程に、目の前の冴えない男が十年来の大親友に思えて来る。
危険だ。なんつー能力だこれ。
「折角だ。魂の感覚を試したい。成功すれば、どんな回復魔法ですら治療不可能な傷を残せる」
握り込んだ拳を開き、指を一本一本折り畳む。
殺意を鎮め、ただ拳を振り抜く事に集中する。グレイスのオッサンの技をトレースする。うむ。
「おいおい洒落になんねーって…」
クリーガーが戯けつつもやや緊張感を孕んだ声を出す。やはり何か隠してるな?
(コイツは今ここで確実に殺す。魂打―――)
俺が未だかつて無い、謎の感覚を掴みかけた―――その瞬間だった。
「うおおおおおおおっ!」
バゴッ!
ランスロットが石と木の牢獄から脱出する。俺がシミュレートした通りに、石甲冑を爆砕させ、その威力で木の牢獄を破壊した様だ。
その手には炎の魔法剣が握られている。覇王鎧のブーストの無い魔剣では出力が低いが。構わずに俺に立ち向かって来る。
魂の根幹を手探りで掴もうとしてる今の俺は上の空でさぞかし隙だらけだろう。実際無防備だし、あのランスロットの一撃を喰らえば致命傷になるだろう。
しかし―――
「私のエスペルを、傷つけさせないっ!」
ドゴッ!
「ぐわあっ!?」
ランスロットの魔法剣の火力を上回る爆炎が、奴を横合いから吹き飛ばす。魔力が高いので焼死体にはなってねーが、火傷を負い、鎧や服を燃やしながら地面を転がって行く。
「火も操るか。流石は世界樹に見出された次代のハイエルフ」
俺を守る様に炎が立ち塞がる。
(おお?ありゃぁロックドラゴンの魔宝石のチョーカーか)
シルクの首元の、ロックドラゴンの心臓の筋肉の紐が脈動している。中心にある赤い魔宝石がギラギラと煌めく。
「エルフが―――複数属性の魔法だと?馬鹿な………」
地面に片膝を付いて剣を支えにしているランスロットが呆然と呟いている。魔法を少し齧った事のある者ならば常識だ。
出力は低いがあらゆる属性も習得可能な人間魔法。魔力由来は己の魔力変換。
属性は一つしか使えないが桁違いの出力を誇る精霊魔法。魔力由来は大気に満ちる精霊達。
ならば複数属性を操れるエルフは何者か?
それは即ち―――
「うおおおおおおっ!」
まだ諦めてないのは正直すげーな。炎の大剣を振りかぶる、焦げ焦げ勇者ランスロット。
しかしそこにシルクが走り込んで来る。
拳を握り込んで、振り抜く。
ボガァァァァァァン!
爆発音と共に爆発勇者ランスロットが吹き飛ばされる。奴のノーマル火魔法剣よりも、シルクの火炎のが出力は上だったな。
覇王鎧のブーストがあったらシルクが押し負けただろうけど。
「ハイ…エルフ―――」
今度こそ俯せに倒れたランスロットが力無く呟いている。
エルフの王族とも言われる高貴なる者。高次元存在、つまりは神へ最も近い肉持つ種族の一つ。
(半分当たりだ。シルクはハイエルフへの進化を拒んで俺を選んだニアハイエルフ)
まぁそれを教えてやる義理も無いがな。
「むぅ。私はエスペルの奥さんよ?お嫁さん」
今のシルクはいつもの四肢切断の達磨姿とは完全に別物だ。
スカートから覗く花が生えた木の足は、まるでブーツを履いた様にスラリとして美しい。
裾から見える炎の腕は灼熱の赤。凄まじい高温なはずなのにドレスが燃えていない。完全に火の精霊を支配下に置いているのだろう。
さらに轟風が逆巻き、ランスロットの剣を拾い上げる。愛剣に手を伸ばしていたランスロットが悔しげに歯噛みしている。
「風、魔法もか…」
シルクがランスロットの魔法剣を両手で掴み握り込む。
ジュウオッ…ボトッ…ボトトッ…
恐らくはそれなりの業物だったろうランスロットの愛剣だが、あっさりと溶け落ちて鉄の塊に戻されてしまった。
ランスロットの身体強化内・外を解かれた鋼の剣は、シルクの両腕の高温に耐え切れなかったらしい。そりゃそうだ。
「エスペル」
シルクが俺に目線を送り首を傾げてくる。
「うーん。そうだなぁ」
フォボス街の顔役達は、きっとランスロットの生け捕りを求めて来るだろう。
しかし、堕ちても勇者様だ。
「生かしておいて反撃を喰らったら洒落にならんしね」
今再びシルクの木魔法により、俯せ状態で拘束したランスロットだが、どんな隠し玉を持ってるか解らん。突然それをサプライズ披露されて逆転されたら堪ったもんじゃねぇ。だから…
「殺していいよ。首だけ残しといて〜」
俺は適当に返事する。首を渡しゃ許してくれるっしょ。
シルクが木の足をコツコツと踏み鳴らして近づいて行くと、ボロ雑巾勇者が俺に罵声を浴びせて来る。
「拐って、洗脳した女に、戦わせてっ、勝ち誇る、つもりかっ、卑怯者、がっ!」
何言ってんのか意味解んねーよ。
負け犬の遠吠えを、俺は涼しい顔で受け流す。
「悪いな。俺達は夫婦なんでな。冒険者パーティーベアナックル。よろしくな?そしてさよならだ、勇者ランスロット」
俺が自分の首をトントン叩いて指示を出すと、シルクが頷く。
「…………」
己の死を悟っても、ランスロットは俺を睨み続けていた。
いや、俺ではないな。誰だろう?何に対してだろう?勇者ランスロットは、何かに抗い続ける様に虚空を睨み続けていた。
「ま、どうでもいっか」
俺はもうすでにコイツに興味を失くしていたので、適当に手を振る。
それが合図となった。
シルクの炎の手が手刀の形を取り、勇者ランスロットの首に振り下ろされた、正にその時――――
「やめてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」
凄まじい絶叫を上げて、誰かが二人の間に飛び込んで来たのだった。
☆☆☆☆☆
「誰だ?」
「プリム…」
ランスロットが暗い目で仲間を睨みつけている。
おいおい、助けに入って来た女に向ける視線じゃねーぞ?
「お願いっ!お願いしますっ!助けてっ!ランスロットを助けてくださいっ!」
「余計な、事を、するな…」
ランスロットの言葉を無視し、プリムは地べたに這いつくばり頭を下げている。
「いいよー」
俺は適当な口約束をしてやる。
「今この場で、殺すのは止めといてやる」
フォボス街の顔役に引き渡そう。お金貰えるかも。
「ありがとう、ございます…」
拍子抜けした様な顔のプリム。俺が即答したからだろう。だが、世の中そんなに甘い訳ないじゃーん。
「ただし」
俺がビシリと指先をプリムに突き付ける。
「お前を今、貰い受ける」
そう言って俺はその場でプリムを押し倒した。ランスロットは殺すつもりだったし、プリムもエクレーラも犯すつもりだった。順番が変わるだけだ。問題無っシング。
「や、やめろっ!」
ランスロットが騒ぎ出した。
「うるさい」
「ぐうっ!」
不機嫌なシルクがランスロットの背中に足を乗せて踏み付ける。木の足の踵から伸びたピンヒールが背中に突き刺さってる痛そー。
目の前で夫が他の女を犯すからな。鬼嫁めっちゃ不機嫌だよ。
だがまぁ許容はしてくれる様だ。出来た妻で良かった。シルクへの愛が増幅し優先される様だけど、限定され固定される訳でないのは助かるぜ。
そう、これは俺がプリムを愛してるから犯すんじゃない。ランスロットへの制裁、拷問の一種なんだから。うわーい、役得役得〜。
「やっ」
組み敷く俺の手を反射的に掴むプリム。お?流石前衛職。小柄だがなかなかの握力だね。
「え?嫌?」
俺が驚いて声を出すと、ランスロットを抑えてるシルクの右手が燃え上がる。うん、言う事聞かないプリムに怒ってるよ!他の女を嬉々として犯す旦那に嫉妬の炎を燃やしてるんじゃないのよ!?
「いえ…なん、でも、ありま、せん…」
ランスロットを見た後、涙を流して反対方向に顔を背けるプリム。その顔をキチンと正面に向けさせ…唇を奪う。
「――――――――――!?」
プリムの大きく見開いた瞳から大粒の涙が零れ落ちる。
俺はそれを見て楽しみながら、素手でプリムの衣服を適当に破く。控え目なお胸や寸胴なお子様体型が露わになる。
「……………」
スンッと、シルクの魔力が落ち着いたのが解った。良かったね?おっぱい大きかったらきっと焼かれてたよ?
「あぐっ!?」
俺は早速犯す。取り敢えず一発キメてから後の事は考えよう。
そして血の筋を見て気付く。
「なんだお前初めてか?」
「はい…うぐっ」
痛みに耐えるプリムを見て嗜虐心が唆られる。
てっきりランスロットに喰われてると思ってたぜ。処女やーん。もうけもうけ〜。
「なんだ?勇者様の恋人じゃねーのか?」
「私達は、腹違いの、んっ、兄妹、だから…」
遠慮無く動くたびに激痛が走るのだろう。プリムが呻き声を上げている。
「ああ、そう言う…」
確かランスロットはリファーナ姫の婚約者だったよな?なるほどなるほど。
決して許されない関係、報われない恋心ってヤツ?
「くだらねーな」
俺が嘲笑う。
「そんな煮え切らない関係続けてっから、兄ちゃんはお姫様に、お前自身は俺なんかに寝取られんだよ」
そう言って俺は、ランスロットお兄ちゃんの見てる前で、最愛の妹をぶち犯してやったのだった。




