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エルフの嫁入りその4 初夜

「―――………う?」

 身体に違和感を感じ、私の意識が段々と覚醒していく。

「痛っ!?…な、に…?」

 お腹の下の方に痛みを感じる。

(あれ?私、自分で喉を裂いて死んだはずじゃ…?)

 朦朧としつつも首周りが無事なのは解った。


(………そうか。全て夢だったのね。森が火事になった事も、ハイエルフ様が殺された事も、御神木が枯れた事も、カレイジャスや皆が殺され、私だけが連れ去られた事も――――――)


「―――ゆ、夢じゃ…ないっ!―――」

 そこで私の意識は浮上した。

 お腹だけじゃなくて頭も痛い。いえ体中が痛い。皮肉にもその痛みが私に生の実感を与えてくれる。

(ここは…?私は何を…?)

 周囲を見回す。なんだか暗い…夜?いえ、何かの影が私の上に落ちて―――


「■■■?■■■ー」

 そこで今度こそ私の意識は完全に覚醒する。

 真正面を見ると、あの少年が目の前に居た。

 私の上に覆い被さっており、それが私に陰を落としていたのだ。私は少年に………


「なっ!?なんでっ!?」

 私は少年に犯されていた。今更だが裸にされている。下着まで無い。

「痛っ!?痛い痛いっ!?」

 そして少年の物が出入りする事で私の下腹部に激痛が走る。

 頭は混乱するが、身体は反射的に動く、少年を押し退けようと力を込める。だが…

(う、動かないっ!?なんて力なのっ!?)

 精霊魔法に通じて魔力操作に長けているエルフ族は素の身体能力も高い。種族全体が細身で筋肉量は少なめだが、あの筋肉の塊の様なドワーフと力比べしても一方的に負けないぐらいの膂力は出せる。


(こ、これが人間魔法の身体強化っ!)

 エルフやドワーフよりも遥かに短命でか弱いはずの人間だが、何より恐ろしいのはその数だ。繁殖力が信じられない程高く、生まれて十年程も経てば妊娠出産も可能らしい。

 そして分母の大きさは才能、可能性の量を大幅に上げる。確率的に何万人に一人の存在だろうとしても、あの襲撃者や今目の前に居る少年など、規格外の存在が何人も生まれて来るのだ。


「や、めてっ!痛い、動かないで、抜いてぇっ」

 私自身も里では強い方だった。まだ150歳と若かったが、カレイジャスや他数人ぐらいしか私に力で勝てる者は居なかったはずだ。

 なのに勝てない。力尽くで無理矢理犯されている。

「わ、わたしの、はじめて、なのに………」

 別に大切に取っておいた訳ではないけれど。エルフは性欲が低く、男女の発情するタイミングが合わないと恋愛感情すら抱かない。


 世界が魔王軍に蹂躙されていた頃は、他里の者との結婚を推奨し、エルフ間の繋がりを強める事もあったらしい。今は割と平和なのでそんなしきたりも風化していた。

 だから私は処女で、男を知らなかった。

 そんな私の初めてが、こんな風に散らされるなんて―――


「あっ!あぐっ!やめっ!痛いっ!やめてっ!やめてよぉっ!」

 少年の動きが早まり、痛みも強まっていく。

 私はあまりの痛みに思わず叫び、涙も溢れ出す。

 そして―――


「あううっ!?あっ!ああっ!な、なに――――これ…?」

 身体の奥に何か熱い物が溢れ、少年の身体が小刻みに震える。私の手が自然に少年の身体をぎゅっと掴んでしまう。熱いっ!熱い、なにこれぇ………


「はぁっ、はぁっ、はぁっ…」

 私の中で少年の物が滾っているのが解る。先程よりもより一層硬く太くなっている。お腹が苦しい。痛い。熱い。


「………どう、して……」

 少年に唇を吸われる。目から涙が零れる。

 何故?何故私は死んでないの?こんな目に遭いたくないから自決したのに―――


(いえ、本当は解ってる…)

 でも認めたくない。認められないっ!

「こ、今度こそっ!」

 私は少年への怒りや憎しみが生まれる前に、もう一度ちゃんと死ぬ事を選ぶ。


 死は恐ろしい。

 私を汚した少年も憎い。嫌い。

 エルフの誇りを汚された為という側面もある。

 だが私は、我々は知っている。

 怒り憎しみに囚われて死んだ者は死後、昇天出来ずに現世を彷徨い、最悪地獄へと向かう。

 これは迷信ではない。

 天国地獄を見て来た者や、輪廻転生を経て復活し前世の記憶がある者と出逢った事は無い。


 しかし、死した者から魂と呼べそうな高純度の魔力が天へと立ち昇って行くのを感じた事がある。

 逆に、負の感情に支配された者が死んだ時に、その肉体から澱んだ仄暗い魔力が染み出していく所も見た事がある。

 そして、さらにだ。隠れ里にやって来てしまった人間のアンデッドやゴースト。浄化や昇天をさせずにただ単に退治した事がある。その時、アンデッドの肉体から仄暗い魔力が染み出し…地面に沈み込んでいった。ゴーストも霞の様に消え去った。


 大地や大気に還る…とはまた違う。

 暗い暗い、真っ暗な底無しの闇に堕ち込んで逝く様な感覚があった。完全な無となった実感もあった。


(ああなるのは…嫌だ…)

 死にたくはない。まだやりたい事もいっぱいある。穏やかに生きて死にたいし、もしかしたらハイエルフへと進化出来たかも知れない。

 でもそんな未練も断ち切れる。あんな風に死後も醜くアンデッドとしてこの世を徘徊し、誰かに倒されるのは嫌だ。肉を持つ者に執着し漂うのは嫌だ。地獄なのか何処なのかは解らないが、奈落の底へと沈み込んで逝く最期なんて恐ろし過ぎる。さりとて無になるなんて末路も嫌。


(今の、うちに…死に、たい―――)

 綺麗な身体ではなくなってしまったが、まだ間に合う。心までは汚させない。私は私であるうちに死にたい。これ以上酷い目に遭わされて少年に悪感情を抱きたくない。その末路は死よりも恐ろしい。


 私は少年に犯されながらも、なんとか木魔法で作った鋭い枝で自らの心臓を突いた。エルフとして死ぬ為に。

(痛いっ!痛い痛いっ!けどこっちの痛みのお陰で下の痛みが…相殺され…る―――)


 ああ、死にたくない。

 痛いのなんて嫌。

 ただ穏やかな日々を送りたかった。

 優しい森に抱かれて。


(……………え?)


「■■■、■■■」

 少年が溜め息混じりに私の作った木の槍を掴む。


(あ…あたたか、い?)

 下腹部にはまだ引き裂かれる様な痛みがある。だがそれと同時に何故か、癒される様な暖かいものが溢れてくる。この感じは、まさか…


「こ、これはまさか回復魔―――ぎゃぁあああああああああああああっ!」

 私の頭が激しい痛みにスパークする。

 心臓を突き刺した木の槍がゆっくり引き抜かれていく。そして同時に私の心臓が少年の回復魔法で修復されていくのも解る。


(痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬっ!)

 少年は敢えて痛覚を残しているのだろう。効果覿面だ。私はたった今自決した事を激しく後悔した。

 死ぬ事も出来ずにただ痛いだけなんて、あんまりだ。私は失禁して股を濡らすが、それを恥ずかしいと思う余裕すら無い。

 

「■■■■■」

 少年が呆れた顔でこちらを見下ろしてくる。

 無駄な事を。と、その顔が物語っている。

「はぁ、はぁ、はぁ…」

 私の視界がぼやけてる。息も苦しい。きっと血と涙と鼻水と涎で酷い事になっているんだろう。


「■■■■」

 少年にキスをされ、舌を蹂躙される。

(また、死に損なった…けど―――)

 嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ認めたくない。


(私―――ホッと…して、る―――?)


 その事に気付き、私は愕然とした。

(………私は、死にたくない)

 少年に担ぎ上げられ首をかき切った時の事を思い出した。いや、忘れようとしたけど忘れられなかった。


 自決したはいいが死ぬのが怖くなり、誰でも良いから…なんでもするから助けて欲しいと、死にたくない…と…………私は願った。願ってしまった。


「…もしかして、私が、そう、望んだから…?」

 闇の精霊が私の願いを聞き入れ、最悪な契約を結んでしまったのかも知れない。これは私が招いた未来なの?


「■■■。■■■」

 …そして、エルフの誇りを忘れ死に切れなかった私に、さらなる罰が下される。

 少年が素手で私の右腕を切断した。


「ああああああ〜〜〜っ!」

 私の口から自分でも聴いた事が無い絶叫が響き渡る。ここまで来ると何処か冷静な部分が心から乖離して現実逃避を始める。

 出産時の痛みは四肢切断より痛いらしい。このまま少年に犯され孕まされるよりはマシなのだろうか?


「あっ、あっ、あっ、ああ…」

 少なくとも処女喪失の痛みも何処かへ行く程の激痛が続く。

「あは、はは」

 こんなに酷い目に遭わされる事を、私はしたの?

 少年は私を犯しながら四肢を切断し断面を焼いた。

 

「■■■■■」

 満足気な顔が恐ろしい。彼が私に回復魔法を使い続けているのが解る。少年が私のお腹の中に何かを出す度に魔力を、癒しの優しい力も出している。

 回復魔法は、相手への思い遣りが必要なはずだ。彼が私を死なせない様に回復魔法をかけ続けているのは解る。二度の自決も阻止された。何故?何故治す事と壊す事を同時に出来るの?


 まるで光と闇の精霊に同時に愛される様なものだ。

 人間風に例えるならば、神に祈りながら悪魔と契約している様な相反する御業だ。


「あ、私、料理され、てる」


 その考えにストンと納得する。人間の商人から海で獲れた魚を買い取った時、新鮮さを維持する為に仮死状態にされていた。人間は食材を維持する為に、美味しく味わう為に創意工夫をする。


「■■■■」

 少年は文字通り手も足も出なくなった私を楽しそうに何度も犯した。

 私は両手両足を失って、芋虫の様に蠢くだけになり、ただひたすらに少年の欲望を満たすだけの肉の塊と成り果てた。こんなの…こんなのエルフじゃない。私は、私は――――――


「がぶっ!」

 油断したな?私は口の中に無理矢理突き込まれた少年の物に思いっきり噛み付いた。噛み切ってやるつもりでやったが、人間の身体強化は突破出来なかった。悔しい。

「ふーっ、ふーっ…」

 けれど、私の意思は示せたはずだ。誇り高いエルフはこんな人間の凌辱になんて屈しな―――


ボキッ


「ああああ〜〜〜っ!」 

 少年は間髪入れずに私の前歯をへし折って来た。痛い痛い痛い痛いごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい。私は最後の抵抗をした事を早速後悔させられた。


 生まれてからずっと付き合いのあるカレイジャスすら恨んでしまう。

 あいつがこの少年に弓を引かなければ、私がこんな目に遭う事はなかったはずだもの。


「んぶぅっ!?」

 血が溢れる口内が再び凌辱され蹂躙される。髪の毛を乱暴に掴まれ頭を前後させられる。

「■■■■ー」

 少年の折檻は容赦無く続く。口の中が血で溢れ呼吸が出来なくなり、鼻で必死に息を吸い込んでいると、お尻に激痛が走る。そこは、そこは違う穴だよ?


「■■■■」

 少年の楽しそうな声が背後から聴こえる。

 お尻から痛みと共に、癒しの優しい力も伝わって来る。なんなの?どうしてこんな事が出来るの?

 私達エルフは人間よりも魔力に敏感だ。私は離れた相手からの感情を読み取れるほど感知に長けてはいないけど…触れ合った…こんなに深く触れ合った相手の感情なら読み取れる。


 好意。親愛。


 恐ろしい。恐ろしい恐ろしい恐ろしい。少年は私を憎くて嫌いで痛めつけていないのが解る。理解出来てしまう。彼は、私を気に入っている。好意を感じる。優しい気持ちを持って私を犯し汚し身体を切り取れるのだ。


『料理は愛だ。愛情を持って接すれば食材も応えてくれる』

 料理好きで有名なもの好きエルフは、そう言いながら獣を解体していた。私達はあまり肉を食べない。生臭くて苦手だから。でもそのエルフの作る肉料理は絶品だった。そうか、私は今、料理されてるのね?


「もう…やめて、おかしく、なっちゃう」

 私が泣きながら懇願しても通じていない。

 もうすでに私の尊厳は完膚なきまでに破壊されていた。

 彼の回復魔法には精神安定の効力もあるのだろう。狂う事も許されない。眠る事も休む事も許されないが、高度な回復魔法で気力体力も意識も途切れない。


 愛されている。そんな自覚持ちたくないのに。


 少年は私の身体に夢中だった。何度も犯されながら、少年が私に優しい事が解る。繊細な魔力操作で私を死なせない様に丁寧に扱っている。痛みを抑えて快楽を高められる。嫌だ。気持ちよく、なりたくない…。人間で、これほど魔力操作に長けた者が居るなんて。

 

「あ、う………」

 地面に座らされ、立ったままの少年の下半身に顔を埋める。

「ペロっペロっ………んんっ」

 震えながら少年のモノを優しく愛撫し咥える。噛みつこうなんて気概はもう残っていない。


「―――こくん。けほっ」

 続け様に二種類の物を飲まされる。


「■■■?」 

 少年が何を望んでいるかが解る。突き付けられた先端にキスをする。


「…チュッ…」

 それが絶対服従の誓いである事は私でも解った。

「いい子だ」

 そう少年が言った事が理解出来た。少年が満足気に私の頭を撫でてくる。


(わたしは、もう逃げられ、ない…)

 走って逃げる事も、死に逃げる事も出来ない。

 諦めが私の心を支配する。


(…これ、好きなのかな?)

 少年が喜んでいるので、丁寧に舐めてキスをししゃぶる。

 もう逆らう気力も無いが、拒否すれば舌を抜かれるだろう。

 目も抉られるかも知れない。

 耳も切られるかも知れない。

 耳は、耳は駄目。


(あは。まだエルフの尊厳、残ってたわ)

 耳を切られるのは、罪人の証。

 エルフに、少なくとも私の住んでいた隠れ里には死刑は無い。

 エルフ達の極刑は耳を切り、精霊魔法を使えない呪いをかけての追放だ。実質的な死刑だけど。


 もしも耳を切られたら、私は罪人になってしまう。

 何もしてないのに。

 何も悪い事をしてないのに、罪人になるのだけは嫌だ。

 このまま散々玩具にされて彼に捨てられたとしよう。そのまま死んだとしよう。

 その後にもしも人間界を旅するエルフに見つけられても、耳が切られていたら助けて貰えない。死体で見つかっても弔っても貰えない。

 穢らわしい罪人として扱われる。

 それだけは、死んでも嫌だ。


「可愛いよ」

 少年が私を大切にしているのが犯されていて解る。魔力で解る。なんで?理解出来ない。解らせられるが、理解出来ない。

「あなたは、なん、なの?…んっ」

 唇を奪われ優しく抱き締められる。

 私に優しくしないで、私を愛さないで。


 こんなの、こんなのが愛だなんて認めたくない。

 愛されたくない。

 愛したくない。


(愛し合うって、もっと暖かくて、穏やかな気持ちになるものじゃないの?)

 無理矢理乱暴に犯されながらも、死なない様に丁重に扱われる。

 反抗すれば手足を切られ歯も折られるが、従えば頭を撫でてくれる。嬉しい。


 …………嬉しい?違う嬉しくない。


(ああ、おかしくなる。おかしくなっちゃう―――)

 少年の暴力を伴った深い愛が、私を狂わせていく―――

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