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ウィンディの運命分岐点その6 そして私は村の男達に

「よし、行くか」

 ちょっと散歩にでも行くような気軽さでエスペルが言い放つ。まぁそんな感じでモンスター狩りに行くから油断出来ないんだけどね。

「何処に行くの?」

 それでも訊いてみる。たまに三人でフェルンの町でご飯食べたりする事もある。昨夜も行ったな。アーニスが凄い食べるのよね。私の何倍食べてるんだろう。あの栄養は何処に行くのかな?やっぱりおっぱい?

「また魔の領域か?」

 アーニスは望むところだとでも言いたげだ。


 今は三人いつも通りフェルンの町の高級宿だ。

 昨夜はエスペルが凄く激しくって、死んじゃうかと思った。今もちょっとふわふわしてる。


(………?)

 …なんだろう?エスペルが目を細めて私達を見てる。何…?不安になるよ?


「ああ、この町を…いや、この国を出る。ちゅっ」


 エスペルが私の胸に口付けし、アーニスの胸を愛しげに愛撫する。何?何なの?


「急にどうしたエスペル?」

 アーニスが真顔になる。

「また怖い夢でも見たの?」

 怖いならまた私の胸で抱き締めてあげる。安心させてあげるから、そんな事言わないで。

「何か嫌な予感がする」

 エスペルが目を逸らす。何処見てるの?私はここだよ?


「…どうしたの?本当に変だよ?」

 私がエスペルに寄り添う。彼の体温を感じる。初めて犯された時は怖かったし嫌だったはずなのに。今はもう、彼に恐怖は感じない。至近距離から彼を見上げる。睫毛長いな?やっぱり可愛い顔してるなエスペル。嫌だな。私もだけどエスペルもあまり成長して欲しくない。エスペルにお髭生えたりしたらチクチクして嫌かも。ずっと変わらず、ずっと今のままが良いのに。


(―――あの日から私、なにか変…)

 あの夜から…エスペルが魘されていた時から、私は変わってしまった。エスペルが私の胸で眠っていると頭をいつまでも撫でてしまう。ほっぺにキスまでしてしまう。彼がぐずりだすと咄嗟に止めてしまうけど。


 犯されてる時は、気持ち良い時もある。だけどそれとは違う、別種の安らぎを覚えてしまった。彼に抱かれるのでなく、彼を抱き締めてあげる幸福。

 性的快楽を与えられるのでなはく、安らぎを与えているという幸福感と満足感。いつの間にか私はそれに病み付きになってしまっていた。


「敵か?エスペル」

 アーニスが怖い空気を纏う。やっぱり彼女と私は違う人種だと思う。戦うなんて怖くて嫌だよ。ずっと一緒にこうしていようよ。他の女の子も混ぜてもいいから。このまま、この生活のまま、ずっと…


「悪いが俺はここを去る」

 エスペルがもう一度ハッキリとそう言い切る。私の頭の中が真っ白になる。なんで?なんでなの?何が悪かったの?私がエッチなの慣れてないから?下手だから?ねぇ、お願いだよ…


「ついて行っては駄目か?」

 アーニスがエスペルに訊いてる。私には無い発想だ。

「身重じゃ厳しいだろ?俺でも勝てない女だ」

(!?)

 エスペルの発言に二重に衝撃を受ける。

 身重…そう。妊娠出来たんだ。いいなぁ。私はまだ初潮すら来てないのに―――

 そして…


(女って誰?)


 私からエスペルを取り上げるのは、誰?

 何処の誰なの?何の権利があってそんな事をするの?私のエスペルを取らないで…


「そうか…残念だ」

 アーニスがそう言って俯く。なんで?そんなに簡単に諦めないでよ…エスペルを引き留めて…

「残念だがしかし、エスペルでも勝てない相手か?それは、無理だな…いや、それでも…」

 アーニスが下腹部を撫でる。

 そこに居るの?エスペルの赤ちゃんが居るの?ならそれを理由にすればいいじゃない。赤ちゃんにはお父さんが必要だよ?私は二番目で我慢するから。絶対にすぐに産める様になって私も産むけど。


(だからお願い…彼を…)

 私の目に涙が溜まり視界がぼやけていく。

 でも私の願いは届かない。

 顔を上げたアーニスはいつも以上にキリッとした顔をしている。ああ、そんな顔、だめだよぉ…


「…そうだな。里帰りをしよう。母の手助けを借りて元気な子を産む。ではまたな、エスペル。ん…」

 アーニスはエスペルと別れのキスをする。ビキニアーマーを着るとすぐに出て行ってしまった。


(ま、待って―――私一人じゃエスペルを止められない…)

 私の『目』がアーニスを追う。

(!?)

 アーニスは子供の様に泣きじゃくりながら去って行く。道行く人々がぎょっとして振り返っているが、涙を拭いもせずに力強く歩み去る。

 ああ、行ってしまう…

(あんな、アーニス、初めて、見た…)

 思えばお互い深い話はしなかった。同じ男に抱かれていると言う以外に共通点など無かった。彼女とは友達になれてたのかな?なれて、なかったかな?解らない…

(もっと、仲良くしてれば、良かった…)

 今更後悔しても遅いのに。どうして私は、いつも―――


「ウィンディはどうしたい?」

 エスペルに問い掛けられ、私はハッと我に返る。

「わ、わたし、は…」

 そう言って俯いてしまう。

(連れて行って欲しい。ううん、本当は何処にも行って欲しくない。ずっとここに居て欲しい。でも―――)


 エスペルの顔はもう覚悟を決めた顔をしている。短い間だったけど、濃密な時間を過ごしてきた。言葉を交わして心を通わせた事は無かったが、体を重ねて心は通じ合っていた…と思う。

 顔や声から、エスペルの考えが解るもの。今のエスペルが、私がなんと言おうとも、泣いて喚こうとも私を置いて行く事が解っちゃうんだもの。


 まだ私、赤ちゃん出来てないよ?孕ませてくれるんじゃないの?アーニスですら赤ちゃん出来たんだよね?不公平だよ。ずるいよ。私にも、赤ちゃん欲しい。せめて…それまでは、ここに居て…


「ま、いーや。楽しかったぜ?またな」

 私が何も言えずに固まってる間にエスペルが着替えてしまっていた。

 私にもお別れのキスをしてくる。嫌だ。こんなの嫌だっ!

「ん…ま、待って、エスペ―――」

 私がやっとの思いでエスペルに声をかけるが、無情にも扉は閉ざされた。


 伸ばされた指は虚しく空を掴む。

 涙は出なかった。

 犯され始めた最初の頃は、彼から解放されて自由になりたかった。そして今、私は自由になれた。彼から解放された。


(嬉しい。嬉しいはず、なのに…)

 突然始まったエスペルの女としての生活は、ある日唐突に終焉を迎えたのだった。



☆☆☆☆☆


 

「……………………」

 私はボウッとした頭で考える。何を?何をすればいいの?

(そうだ。村に帰ろう)

 そうだ。元に戻るだけなんだ。

 また元の暮らしに戻れば良いだけだ。

 

「お部屋から出られる」

 エスペルから貰ったアクセサリーやドレス、エスペルから貰ったお金で買って貰えた御本とか、全部売られちゃうかも知れない。エスペルはもうお金を持って来ないから。


「でもあのサファイアのイヤリングだけは…」

 彼から初めて貰った宝物。アレだけは隠しておこう。

 また水仕事や畑仕事をする事になるけど、仕方無いよね。今までエスペルの気まぐれで潤ってただけだもん。

 

 そうして私は、ふらふらしながら村に帰る。以前なら一人で山道を歩くなどとんでもなく危ない事だったけど、今じゃ考えられない。

 エスペルがモンスターも野盗とかもみんなやっつけちゃったからね。女の子の一人歩きでも安全だよ。

(それもエスペルが居ればこそ、だよね)


 絶対的強者が不在となったらば、いずれは強力なモンスターや小狡い野盗達の縄張りとなるだろう。

 行商人さんも来なくなる。村の経済も停滞する。


「でもそれが普通だもんね」

 やっと自由になれたのに、なんだか胸にポッカリと穴が空いた様な気がする。

 哀しいのか、虚しいのか解らない。アーニスみたいに涙も出ない。


 嬉しく思ってもおかしくない。喜ばないといけない。喜んで良いはずなのに。

(何も、感じない)

 私はふらふらと歩きながら時間をかけ、自分の村へと帰ったのだった。



☆☆☆☆☆



「おや、ウィンディ。エスペル様はどうしたんだい?」

 不思議そうに村長さんが話しかけて来た。

 私はありのままを告げる。

 エスペルがここを去った事。

 もうここには来ないかも知れない事。

「………そうか、いつかはこんな日が来るかと思っておったが…」

 村長さんは肩を落として溜め息を吐いた。

 申し訳無いけどその反応にホッとする。


(良かった。なんで引き留めなかったのかとか、お前が女として魅力無いからだとか言われなかった…)

 この期に及んでも私は、誰かに責められないかどうかを気にしてるちっちゃい存在だった。


 そして別の意味でもホッとした。エスペルが来なくなり、お金や高級で希少な素材が手に入らなくなる事を村長さんは予期していたのだ。

 ならばきっと、彼から貰ったお金を散財せずに取っておいてあるはずだ。だって村長さんだもん。村の事を一番に考えてくれるもんね。


 実際に村長さんはすぐに村の大人達を集めて会議を始めた様だった。私の両親も呼ばれて家を空ける日が多くなった。

 私は家で一人留守番し、エスペルがくれたドレスに身を包んで御本を読んでいた。

 水仕事も畑仕事も命じられなかった。


 しばらくそんな日々を過ごしたある日の夜。

 部屋で寝転がっていた私の所に、村長さんや村の大人達がやって来た。狭い室内に大人の男の人達がたくさん入って来る。少し怖かったけど、私の両親も一緒なのでホッとする。


 村長さんが優しい笑顔で話しかけてくる。

「…村の皆で話し合った。ウィンディにエスペル様との子供が出来れば良いのだと言う事になった」

 ああ、やっぱり責められるのか。だって私、妊娠出来なかったから。


「まだ娘には初潮が来てません」

「お、お母さん?」

 それはそうなんだけど、こんなに大勢の前で言って欲しくなかったかも。

「問題無い。初潮の前に排卵が始まれば妊娠する」

 村長さんがうんうんと頷いている。


「…………え?」

 私が首を傾げる。確かエスペルも似た様な事言ってたかも。でも意味無いでしょ。肝心のエスペルが此処に居ないんだから。 


「ですので皆さん、どうぞよろしくお願いします」

 へらへらと嫌な笑い方をしながらお父さんが皆にペコペコしてる。

「お父…さん?」

 なに?なんなの?さっきから、鳥肌が止まらない。悍ましい何かが始まろうとしているのだけは解る。


「犯せば犯すだけ孕み易くなるぞ」

 え?今、なんて言ったの?誰が誰を―――

「あまり時期がズレるのも良くない」

 なにをはなしあってるのかな?

「今夜から毎日村の男達総出で犯して輪姦す」

 だからだれが?だれを?まさか、まさかだよね?

「誰の子種でも構わん。孕んだらそれをエスペル様のお子として届け出る」

 待って待って待って待って!


「ま、待って…わ、わたし確か『後援者』に登録してるはずだからっ!わたしがエスペルからもらえるお金、ぜ、全部渡すからっ!」

 だからだめ。絶対嫌。そんなの嫌っ!


「何を当たり前な事を」

「馬鹿な娘だ」

「よく考えなさい」

 何人かの男の人達がズボンを脱ぎ始める。嫌だ。エスペルのと違うっ!怖いっ!可愛くないっ!臭いっ!汚いっ!

(そう言えばエスペルって綺麗好きだったな…)

 私は場違いな事を考え始める。そう、エスペルは綺麗好きなの。ぐったりした私の体を拭いてくれたりもしたんだから。一緒にお風呂にも入ったりしたし………

(だめっ!現実逃避してる場合じゃ―――)


「エスペル様の財産をより多く貰うなら、子供も居た方がたくさん貰えるはずだからな」

 村長さんが名案だと言う様に頷いてる。馬鹿じゃないの?

「よーし、たくさん出してやれ。すぐに孕ませてやるからな」

 下半身を剥き出しにした男達が、私の腕や体を抑えつけてくる。

「きゃああっ!?」

 足を掴んで大きく広げさせられる。

 下着が丸見えになる。嫌だっ!


「嫌だっ!やめて、やめてよっ!?」

 私が震えながら訴えても、村長さんはうんうん頷いているだけだ。

「村の為に一番良い方法はこれなんだ。我慢しなさい。一番良い目に遭っていたのはお前だろう、ウィンディ。さぁその幸せを皆に分けてあげようね?」

 村長さんが優しい笑顔を浮かべて、手を上げる。

 それが合図だったのだろう…


「ひっ―――」

 村の男達の手が手が手が手が私に迫って来る。

 体は痛いぐらいにベッドに抑えつけられ、衣服を無理矢理ずらしてくる。下着も脱がされそうになる。やめて、やめてよ。

 たくさんの男達が、その悍ましい物をそそり勃たせて迫って来る。

(嫌だっ!エスペル以外の物なんて嫌っ!)

 口も塞がれ悲鳴すらあげられなくなる。


 男の一人が私の大事な部分に自分の物を突き付けて来る。

 私を犯す為に。

 私を孕ませる為に。

 エスペルの赤ちゃんを産む為の私の体の中に入って来ようとし―――


「やだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」


 私は生まれて初めて、腹の底から大声で叫んだ。エスペルに連れてかれた魔の領域で虫に襲われた時よりも、さらに大きな声が出たと思う。


「うおおっ!?」

 その瞬間だけ、体からいつもよりも力が出た。私を抑えつけていた男達を全員引き剥がし、ベッドの上に立ち上がる。

 そして手当たり次第に物を投げて暴れる。お気に入りだった本も、エスペルから貰ったアクセサリー類とかもみんなみんな投げ付けてやる。

 早くこの部屋から、この座敷牢から逃げなきゃ。


「うわぁっ!?」

「やめろっ!?」

 村でも大人しい方だった私が突然暴れ出したため、男達がびっくりして私から離れる。

(今だっ!)

 私は決死の覚悟で部屋の外へと向かって駆け出した。



☆☆☆☆☆



「逃がすかっ!」

 逃げ出そうとした私に、村の男達が再び掴みかかって来た。そしてあっという間に抑えつけられる。だめ、やっぱり男の人の力には敵わない。

(なんでっ!なんでさっきみたいな力が出ないのっ!?)

 ああ、アーニスみたいに、エスペルに特訓して貰うんだった。


 再び抑えつけられた私の服が、エスペルに買って貰ったドレスが引っ張られて胸元が破ける。

 村の男達はさらに私の下着まで破り、私の大切な所が露わになる。だめっ、そこは、エスペルの物なの。エスペルの、赤ちゃんをお迎えするところなのに―――


「もう逃げられない様にしてやる。腕や足の腱を切ろう」

 隣の家の優しいおじさんが言う。

「お前が居ればあのガキが金くれるんだ。逃がす訳ねぇだろが」

 いつも挨拶して偉いねって言ってくれたおじさんが言う。

「ウィンディ、お母さん達を困らせないで?」

 お母さん助けて助けて助けて。

「誰でもいいっ!この娘を孕ませてくれっ!あのガキの子供にしてしまえばまだまだ金を貰えるんだっ!」

 お父さん?お父さんなの?本当は悪魔に体を乗っ取られてるんでしょ?優しかったお父さんに戻ってよ。お酒もたくさん飲んでいいから。お願いだから。

「嫌だっ!嫌ぁっ!?」

 口元を塞ぐ手に噛み付き、少し自由になった口で叫ぶ。


ゴッ!


 ―――殴られた。

 うまれてはじめてなぐられた、かも。

 ほっぺと口の中が熱い。熱い。

「うるさいっ!今更何かまととぶってやがるこの売女がっ!痛ぇっ!ちくしょうっ!」

「ぎゃはは、アレを噛みつかれなくて良かったな」

「危ねーなコイツ。歯も抜いちまうか」

「そうしよう」

「まぁいいさ。犯せば大人しくなる。女なんてな」

「ちゃんと中に出せよ。孕ませるのが目的なんだからな」

「解ってるって。うるせーな」


 ………皆何?何を言ってるの?意味が解らないよ?私まだ生理来てないし何されても妊娠しないよ?だからやめて、お願い―――

「孕むまで犯せ」

 村長さんがボソリと命じる。

 男達が今度こそ動き出す。

 だから無理だって、エスペルにあんなに毎日愛して貰ってたのに出来なかったんだもん。

「この村から逃がすな。確実に孕ませて産ませろ」

 嫌だ嫌だ嫌だ。こんなの、私の村じゃない。私の知ってる村じゃない。

「ひっ!嫌ぁっ!やめてぇっ!」

 グロテスクな物が私の目の前にたくさん突き付けられる。

 私の股が痛いくらいに開かれ、無防備に秘部が晒される。

 その時だ―――


「あははははっ!いい気味っ!あはははははっ!」

 私を組み敷く男達の向こうで、ライアが高笑いしている声がした。ああ、あの子は変わらないな。いつも通りだ。自分の思う通りにいかないと納得しない。エスペルに愛されていた私が気に入らなかったんだ。知ってる。


(ああ、そうか。愛されてたんだ、私…)

 無理矢理だったし、私の意思なんて無視だった。一方的で優しさも思い遣りも無かったけど、でも確かに私は―――


(エスペルに愛されていた…)


 そして今正に、村の男達に輪姦されそうになったこの瞬間に理解した。

 今更だけど私は理解した。

 もう私はエスペルを愛してしまっていた。

 突然現れ、私を犯し、処女を奪い、全てを壊した男。

 あの人のせいで、私の世界は壊された。

 フランツではなかったかも知れないが、あのまま私は村の同年代の男と結婚して子供を産んで、村で一生老いていく運命だと思ってた。


 でも違った。全ては自由なんだ。

 自由に選べるんだ。

 なんで、あの時一緒に行かなかったのだろう?


『ウインディはどうしたい?』


 まるで悪魔の囁やきだった。

 あの時に彼の手を取れば良かった。

 あそこで決断すれば、今の現状は無かったはずた。

 目の前に居るのは優しい村人達ではない。エスペルがもたらした富に目が眩んだ村長や、両親。

 私を犯して孕ませ、逃がさない様にしようとする村の大人達。

 優しかった人達は変わってしまった。

 いや、これが本当の姿なのかも。

 弱いから。

 弱いから優しく生きてる。

 弱いから、変わらないと生きていけない。

 エスペルは変わらない。

 だって強いから。

 自分の好きな様に生きている。

 私を気ままに犯して好き放題した憎い男。

 けれど、彼が私を本気で欲していた事は事実だった。

 ライアがしなを作っても、彼はなびかなかった。

 冒険者ギルドがある町では娼婦とか買ってたみたいだけど。

 彼は女なら誰でも良い訳じゃない。

 ここに居た時に常に側に置いていたのは、私とアーニスの二人だけだ。

 彼の基準で良い女じゃないと手が出ないのだろう。

 複雑だけど…彼の好みじゃなかったらあの時、出会った時スルーされてたろう。

 そしたらアクアスネークに食べられちゃったんだろうけど。


 解らない。

 どっちが正しい人生だったんだろう?

 解らない、解らない。

 解ってるのは一つだけ。

 今、他の男達に犯されるのだけは絶対に嫌だ。

 

 エスペルだって無理矢理だったし、怖かったし、痛かった。

 私の意思なんて無視だった。

 それ以後も好きな時に玩具にされ、お便所みたいに飲まされたりもした。

 嫌な事もあったけど、気持ち良かった時もある。

 それに彼…寝てる時、すっごい無防備なの。

 私の胸を吸って眠る彼を、愛おしいと思ってしまったの。

 私は、彼の女。

 私は、彼だけのもの。

 彼は、私だけのもの。


「エスペル、愛してる―――」

 その私の声を、誰も聞いていない。

「助けて、たすけてエスペルっ!」

 泣き叫ぶ私を、村の男達が無理矢理ベッドに抑えつけ、エスペルが買ってくれたドレスをビリビリに引き裂く。

 そして私は村の男達に………

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