第94話 三王子は忘れられた存在!
筋肉愛バンザイ!! 筋肉愛バンザイ!! 筋肉愛に心満たされる『シュウ』です。
お風呂から上がり部屋へ戻って来た。明るい時間から入るお風呂は最高! ということで、エリスたちがお風呂から上がってくるのを待っていた。別にお風呂上がりの女性陣を見たいとかじゃないからね!
しばらく待っているとソフィアちゃんを先頭にエリスたちが戻って来た。
「やあ、エリス。大浴場なんだけど男性陣の方は大好評だったよ。ずっと入っていたいとか言ってたよ」
「そう。それは良かったわ。女性陣の方も大好評だったわ! 湯船もそうだけど、シャンプーとかトリートメント、ボディーシャンプーとか欲しいって頼まれちゃったわ」
こちらの異世界でも石鹸はあるが、大釜に天然植物性油を入れ、さらに草木の灰を混ぜ合わせながら煮詰める。時間と手間が非常にかかるため高価な物となっている。買えるのは、王族、貴族、あとはごく一部の金持ちくらいで庶民は基本的には水洗いだけで済ます。以外にも草木の灰には汚れを落とす効果があるから驚きだ!
女性陣から聞いたが、一般に売っている石鹸よりエリスたちが作った石鹸の方が圧倒的に良いらしい。特にシャンプーとトリートメントは髪にハリとコシ。何よりツヤが全然違うらしい…… そういえばエリスもそうだが、ソフィアちゃんのツヤツヤ髪の天使の輪があったよな。ソフィアちゃんは、はじめから可愛いのに髪に天使の輪がさらにプラスされればみんなのアイドルになるのは当然のことだと思うが、強烈な可愛がりは見ていて可哀想になる……
「みんな喜んでいるみたいで良かったよ」
「そうね。喜んでくれることが大事だよね」
エリスは笑顔で僕に答えたが、どこか憂いがあるように感じた……
「何か、不安なことでもあるの?」
「ちょっとね。ハルタンに有る物ってみんなからしたら何世紀後の物じゃない。みんながその物を受け入れてくれるか心配だったの」
「そうだよなぁ。自分達の常識だったものが突然変わる感じになっちゃうからね……」
「まあ、みんなには慣れてもらうしかないけど…… 」
「………………」
――僕たちにはやりたいことが沢山あるが、急な変化は人々を混乱させ、結局は上手くいかないことの方が多く感じる。その古きものと新しきもののバランスをよく考えて進めなきゃいけないと感じた……
「姫様、夕食の準備が整いましたので食堂まで皆様とお越しください」
『ビクッ!?』
レーニャさんがエリスに声をかけて来た。
この人も突然現れるからビックリするんだよな……
「レーニャ。ありがとう。じゃあ、みんなに伝えて来るわ。シュウ君は男性陣の方をお願い」
「わかった。じゃ、また食堂で!」
そして、僕たちは分かれ、僕は、男性陣に夕食が出来たことを伝え、男性陣一同は食堂へ向かった。
前にも説明したと思うけどおさらいで、一般的に朝食と夕食はものすごく質素だ。蝋燭の明かりなんてたいした役にならない。暗い場所で料理なんて出来ないから当たり前と言えばあたり前だけど……
その分、昼食は豪華になる。僕の国では、父上が質素倹約に努めているのでちょっとだけ豪華になるが、舞踏会、会食など客人を迎え入れる時はここぞとばかりに豪華な食事となる。王族の威厳というヤツです。
「ハルタンの食事ってどんなのかな?」
「俺たちが知らない料理が出てくるんじゃないのか?」
などやはり、みんなは食事が気になるようだ。
食堂に入るとエリスたち、女性陣がすでに来ていた。
「ごめん、エリス。遅くなっちゃって」
「私たちも今来たところだから大丈夫よ。さあ、みんな遠慮しないで座って」
男性陣も席に着きマリーから一言あるようだ。
「二号生のみんな、今日はお疲れ様でした。初めて見るものばかりで大変だったと思う。私もバットも初めてハルタンに訪れた時はパニックなるくらい驚いたわ! 私たちが常識と思っていたことが常識では無くなる…… そして、新しい常識が次々と押し寄せて来ると思うの。みんなには新しい常識をしっかりと受け止めて欲しい…… それが、若い私たちに与えられた特権だと私は信じているわ。早速だけど、新しい常識を覚えて欲しいの。ハルタン式食事のマナーよ!」
マリーは、フォークとスプーンを持ち、
「寮生活をしている人は私とエリス、シュウが使っているところを見た時があると思うけど、こちらがスプーン。スープを飲む時や細かい食べ物を掬って食べる時に使うわ。それで、こちらがフォークよ。ナイフで切ったお肉とかを刺して使うわ。基本的には手掴みで食べたりしない。最初は慣れないと思うけど、徐々で良いから使ってみて、お手本は、私か、エリス、バットを見てもらえたら良いわよ。わからない事があったら何でも聞いて頂戴」
――そのお手本の中に僕の名前が無いのですが…… わざとだよね! わざとだよね! 本気で僕の存在を忘れて無いよね! お願いだから僕の存在を忘れないでぇぇぇぇ!!
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