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第91話 第三王子は腐れ外道に感心する!

「それだけじゃないは、止めにみんなに山積みの新作『異世界転生モブ第三王子は(ホソマッチョ)の、(マッチョチョ)による、(ゴリマッチョ)のための冒険ギルドを作って魔王を無双する! ~(シュウ)の愛は異世界を越えて~』を見せたわ。購入したいけど販売部数が少なくて、しかもプレミアがついて購入出来ない。目の前に新作の本の山。その時、どうなると思う?」



――この大外道神マリー様がぁぁぁぁ!



人の手に入れたくても手に入らない状況で、そんなお宝である新作本を見せたらどうなるかすぐにわかるだろうがぁぁぁぁ! キサマに人の心が無いのかぁぁぁぁ! と一応、憤ってみる『シュウ』です。 マリーには逆らうとあとが酷いので穏便に済まそう……



「誰だって、目の前に大量の新作があったら欲しくなるだろう」


僕は、マリーに答える。


「そうね。当然そうなるわね。だからみんなにこう言ってみたの」


「なんて言ったんだ?」


「みんなに新作を譲る代わりにエリスを擁護してくれって。あと男性陣が反発するかも知れないからその時はよろしくね!って言ったのよ」


「ああ、それであの鬼の結束力かぁ」


「そうよ。みんな良く頑張ってくれたわ。あと、保険も掛けさせてもらったわ」


「保険ってなんだよ?」


女性不信のバットが不機嫌な顔でマリーに聞いた。


「レイニーさんにシュウとあなたを男性陣の前で徹底的に罵倒してくれって頼んだの」


「なんで、そんなことを?」


「わからない? 女性陣に逆らったらどんな目に合うか知ってもらう必要があったのよ」


「じゃあ、あのレイニーさんの罵倒は演技だったってことか?」



――バット。レイニーを信用してはいけない! お前は見なかったのか? 僕たちを罵倒するレイニーの法悦に浸ったあの顔を! 狂喜に満ちた口元を! 嬉々とした動作を!



「そうよ。レイニーさんも快く承諾してくれたわ。逆にこちらにお願いしたいってくらいの勢いだったわ。お願いしたこちらがドン引きするくらいもの凄かったわ」



――やっぱりな! 邪悪の根源(レイニー)はそういうヤツなんだよ…… バット…… 第三王子を第三王子と思わない。あまつさえ国王を国王と思わない剛の者だと覚えておいた方がいいぞ。そして、ヤツの本性を!



「二人共、ゴメンね。こうする事でしか話しがスムーズに進まないと思って……」


大天使エリスは、僕たちの心が傷付いたことに謝罪してくれた。


「良いんだよ、エリス。多少の犠牲は大事の前の小事だよ。僕たちの心は筋肉はがねの精神を持っているから大丈夫だよ」


僕はエリスに強がって見せた。



――本当は、メンタルボロボロだけど…… (おとこ)は、惚れた女性の前では強がって見せたいものなんだよ……



「じゅあ、そんなことなら最初に教えてくれたら良かったんじゃないのか?」


バットがド正論をマリーにぶち込んだ! なんて怖いもの知らず……


「そんなことしたらリアリティのある演技、あなた達に出来る? 出来ないでしょ?だから言わなかったの。私が求めるのはリアリティのある演技! その辺、メアリーはすごいわ! エリスの収納魔法を一度見ていたのに、私とバットが見せた魔法を如何にも初めて見ましたよ。って演技、タイミングといい、アドリブのセリフといい。どれも完璧すぎて素晴らしかったわ! 是非、私の『劇団ツキカゲ』にスカウトしたいくらいよ!」


「ハァ!? マリー。劇団持ってるの?」


「当たり前じゃない。持ってるわよ。時々、私も脚本を書いたりしてるわよ」



僕は、みんなを信用していないわけじゃないけど、一応、マリーに聞いてみた。


「マリー。話しは変わるけど、みんなが裏切ったりとか考えなかったの?」


「私は聖女よ。みんなは私たちを裏切らないって信じているし、何よりどんな困難ことがあっても仲間を見捨てない二号生の絆を信じているの。あなた達もそうでしょ?」


「「確かにそうだよな」」



――僕とバットはマリーの言葉を聞いて、今までマリーの事を誤解していたことを恥じた…… 仲間思いで正真正銘の聖女オブ聖女だったんだな。



「それに、その辺は抜かりはないわ。裏切った時は、全力を持って公爵家が未来永劫その一族を潰す! それにエリスが敵に回るわよ。って言ってあるわ」



――ゴメン。前言撤回させて頂きます……



「冬休み入って、みんなが魔法を覚えたら新作を増刷して一気に売り上げ部数倍増よ!」


「そんなことしたらプレミア感が無くなるんじゃないのか? そんなことしたら女性陣はガッカリするんじゃないのか?」


僕は、至極まっとうな質問をマリーにしてみた。


「そんなことないから安心して、あの女性陣(ひとたち)はその手の小説が大好きなの。早く読みたくてしょうがなかったのよ。女性陣の話し合いだってほとんど読書の時間になってしまったわ。まあ、この時の為にプレミアが付いて、みんなには新作が手に入らないように市場操作させてもらったんだけど…… でも、自分でも思うけど『異世界転生モブ第三王子は(ホソマッチョ)の、(マッチョチョ)による、(ゴリマッチョ)のための冒険ギルドを作って魔王を無双する! ~(シュウ)の愛は異世界を越えて~』って、すごい小説だわ! これも、エリスが監修、挿絵をしてくれたからなんだけど…… エリス、本当にありがとう」


「おっ母さん、それは言わない約束でしょ」



――なんなんだ、そのくだりは……



――!? あの女性陣がもう新作を読んだ!? 目を輝かせ光るヨダレを流した女性陣が僕を見てたのは…… ま、まさか!?  ~(シュウ)の愛は異世界を越えて~の(シュウ)の部分を()()()()()からなのか?


「ギャァァァァァァ!」


僕は全身を硬直させ、その場に倒れた……


「シュウ君どうしたの? 何があったの?」

「シュウ、一体何があったんだ?」

「シュウ、大丈夫か?」


エリス、マリー、バットが僕に近付き声を掛けた。


「あわわわわ、~(シュウ)の愛は異世界を越えて~…… 僕を見る女性の目が怖い……」


マリーが一言。


「あなたがモデルだもん。みんな、あなたを見るわよ」


「……………………」


――さすが、聖女オブ聖女であり、完璧超人でもあるマリー! あまりにもすべてが完璧すぎて感心してしまう…… 大外道神だけど……

お読みいただき誠にありがとうございます。

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