第90話 第三王子は表裏比興をみる!
涙目になったダンベルを傍らで見守り女性陣の鬼の結束に恐怖する『シュウ』です。あの結束力は尋常じゃないです!
大外道神マリーが口を開く。
「ダンベルの事はおいといて、これからの方針も決まったし、そろそろお開きで良いんじゃない? ねぇ、エリス?」
「ええ、そうね。あとは、冬休みに入ってからの話しになるから、みんながハルタンに来ることをお母様に伝えておくわ」
――大外道神マリー様。ダンベルの扱いが雑すぎます!
「わかったよ。俺も行くよ! エリスの為だもんな。俺だってやってやるよ!」
――あまりの雑な扱いにダンベルが堕ちた……
「ダンベル君ならそう言ってくれると思ってたわ」
――エリス優しいすぎて感動で涙が出てくる。大衆は大天使はリスを称賛することだろう……
「こられからの方針も決まったし、緊急会議はお開きということでみんな今日はありがとう。あと、シュウとバットは残ってね」
――大外道神マリー様の笑顔が、これから僕の拷問の刑が楽しみみたいだ。大外道神の笑顔が恐ろしすぎる…… そんなに拷問の刑が心ウキウキ、ワクワク、ドキドキ、ときめいているのか? この大外道神が…… 大天使エリスとは大違いだ!
◇
みんなが帰った後、エリス、マリー、バット、僕の四人が残った……
ついに始まる反省会という名の拷問の刑。チワワのようにプルプル震え拷問刑執行時間を待った。覚悟は大事なのだ!
――やっぱり怖いよー! 痛いのやだよー!
マリーが執行の時間を告げる……
「二号生のみんなは帰ったようね。エリス、バット、シュウ、今日はお疲れ様。」
――ついにこの時間がキタァァァァ!
チワワようなプルプルから僕の居るところだけ地震が来たようにブルブルに変わる。
「お疲れ様。マリーが一番お疲れ様だよ! こんなに上手く行くとは思わなかったわ」
「計画通りだったでしよ。エリス」
「さすが、マリー! 最初にあなたに相談して良かったわ。ありがとう。感謝しても感謝しきれないわ」
「おっ母さん。それは言わない約束でしよ」
――なんなんだ! このくだりは?
「シュウもバットも迫真の演技だったわ!主演男優賞、助演男優賞ものよ!」
「ハァ、どういうこと? 僕の拷問の刑は?」
「拷問の刑? そんな野蛮な事、聖女の私がするわけないじゃない」
「そうなの? 拷問しないの?」
「そんなことしないわよ」
「ホントにホント?」
「ホントにしないって! いい加減しつこいわよ! そんなに拷問されたいの? まさかのドM!? エリス、こんなヤツで良いの? やめておいた方が良いんじゃない?」
「まあ、世の中にはいろんな人がいるからしょうがないよ……」
「………………」
――マリーは相変わらずヒドイが、さりげなくエリスもやんわりとヒドイ……
「話しを戻すわね。シュウとバット。二人共、良い演技をしてくれたわ。お陰でみんなの説得が上手く行ったわ、ありがとう!」
――!? 演技? 大外道神マリーが僕たちにお礼を言っている!?
僕は、マリーに聞いてみた。
「マリー。演技ってどういうこと? 僕たちガチだったんだけど……」
「初めから説明したら迫真の演技が出来なかったでしょ? だから私とエリスの考えた斬新で卑怯な計画を教えなかったの。わかる? 表裏比興の者と呼んでも構わないわよ」
マリーはドヤ顔で言い放った……
「「はぁ~」」
僕とバットは、呆気とられマヌケな顔になっていた。
――な、なんで、マリーが真田昌幸を知ってるんだ!? また、あの『たぬき』か? 『たぬき』なのか? 三国志やお笑いだけじゃなく、戦国時代までも網羅しているとは…… なんて『たぬき』だ!
「なんなのその、チョーマヌケ面は? しょうがないから最初からチョー説明をしてあげるわ。まず、女性陣が私たちにチョー協力的だったとチョー思わない?」
――ドヤ顔で、なんにでも『チョー』を付ければ良いってもんじゃないですよ!
「思います! どうやって女性陣を懐柔させたんですか? 教えてください。マリー様!」
「ポイントは言うのが恥ずかしいけど『使い捨て生理用品』よ。みんな生理で苦労してしるからね。そこを突かせてもらったわ。使い捨て生理用品はエリスにしか作れない。そして、私を通さなければ購入できない事を伝えたの。私たちに協力してくれたらお友達価格で優先して定期購入出来るわよってね」
――それって、賄賂じゃん…… 生理用品を餌にするとは何とえげつないことを……
「それだけじゃないは、止めにみんなに山積みの新作『異世界転生モブ第三王子は漢の、漢による、漢のための冒険ギルドを作って魔王を無双する! ~漢の愛は異世界を越えて~』を見せたわ。購入したいけど販売部数が少なくて、しかもプレミアがついて購入出来ない。目の前に新作の本の山。その時、どうなると思う?」
――この大外道神マリー様がぁぁぁぁ!
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