第86話 第三王子はハブられる!
――な、なんだ!? 貴様ら! 王国、第三王子で王太子の僕に向かっての不敬罪だぞ! 『そこになおれ、手打ちにくれる!』とは、絶対に言えない!悲しい『シュウ』です。逆に女性陣にコテンパンにやられる未来しかみえません……
マリーがみんなを納得させるべく言葉を口にした。
「みんな、わかってくれた? 現実とは、残酷ものなのよ…… 世の中は理不尽で出来ているのよ…… 歯がゆいわね……」
――!? 邪道神マリー様。あんたが、この中で一番残酷ですよ……
『うん、うん』
――女性陣のみんなは何を納得して、頷いてるんだろう……
エリスも何か反論してくれと思ったが、そこは度量の大きいエリス。ニコニコしながらみんなを眺めていた…… エリスの方が聖女オブ聖女の称号に似合うのではないかと惚気てします……
「シュウとバット。もう用はすんだから部屋から出て行ってもらえるかしら? あとは、私とエリスで話しをするわ」
「「はい、了解しました! サー!」」
僕とバットはいつ邪神トマトークミサイルがブチ込まれるかわからないので、鬼軍曹マリーに最敬礼をして部屋を追い出された……
防音魔法を施しているので大広間の行われている会話が聞こえない。
それから二時間ほど過ぎ――
男性陣がやって来た。友好神パトリック様が、
「やあ、バットとシュウ。大広間の前でなにやってるの?」
僕とバットは聞こえないはずのドアから何か聞こえないかと害虫のようにドアにへばりついていた…… バットは今のことが無かったように立ち振舞い、
「みんな今、来たところなんだね。よく来てくれた。今、中で女性陣だけでお茶会をしているよ」
「それで、お前たちは何をしているんだ?」
「「……………………」」
ダンベル。それ以上は僕とバットの名誉の為に突っ込まないでくれ……
「ロッシュウ様とバット様は、女性陣からパブられてしまったので、その辺は察して頂ければと思います」
「わっ!? びっくりするじゃないかレイニー! 急に現れるのはやめてー!」
「あっ、レイニーさん、こんにちは。どうして二人はハブられているんだい?」
サプリのヤツが余計なことを言いやがった!
「バット様、サプリ様が質問をされておりますが、私レイニーがお答えしてもよろしいでしょうか?」
――いけない、バット! 『ハイ』と返事をしてはいけない! 邪悪の根源のことだ、何か企んでいるにちがいない! 僕は、バットを止めるべく声をかけた。
「バット、僕から説……」
「レイニーさん、お願いします」
バットは、邪悪の根源に返事をしてしまった!? 地獄の時間が始まる予感が……
「『クルービューティー』の私がサプリ様の質問にお答え致します」
「お願いします」
――サプリ!お願いします。じゃねーよ!
お前たちは邪悪の根源の恐ろしさを知らんのか! 今年のサイドチェスト祭で見なかったのか? あの恐ろしさを!!!僕は、この場から一刻も早く離れたい……
「ロッシュウ様とバット様がハブられた理由………………」
「その理由は?………………」
――なんなんたよ! その溜めは!
「――馬鹿だからです」
「馬鹿ってなんだい?」
――サプリ。もう、これ以上はレイニーの領域に踏み込まないでくれ!
「エリス様が考案された素晴らしい言葉です! エリス様が鹿を見て、馬だと言えばすべての人間はたとえ鹿であっても馬だと答えねばならないのです。簡単に言えば、脳筋のことです。理解出来ましたか?サプリ様。エリス様はそれだけ偉大なのです!」
――!? 『馬鹿』はエリスじゃなく、お前が考えたんだろうが! なぜ、エリスを上げてから貶める? レイニー!お前、知らないでやっているのか? それともわざとやっているのか?
「よくわかったよ。じゃあ、バットとシュウは脳筋ってことだね」
「さすが、理解が早い! 誰かさんたちとは大違いですね」
「それなに褒められるとテレちゃうよ」
「テレる必要はありません。サプリ様、あなたも脳筋ですから」
「――!?」
――ひ、酷すぎる…… 上げてから落とす。邪悪の根源はどこまでもいっても邪悪の根源だ……
「話を戻しますが、グズ、アホ、ポンコツ、デリカシーがゼロ、モブザコ、コッチ見んなド変態、役立たず、生きてる価値無し、息をする資格無し、いっそ豆腐の角に頭をぶつけて死ね!そして、地獄の底の底でもう一回死ね! などまだまだありますが長くなるのでこの辺でやめておきましょう」
――!? バットがすでに涙目になってるよ…… 男性陣も全員の涙目…… 邪悪の根源が悪魔的すぎる……
サプリが小さな声で呟く、
「女性怖い…… 女性怖い…… 女性怖い…… 女性怖い…… 女性怖い…… 女性怖い…… 女性怖い…… 女性怖い……」
――!? レイニー! 涙目になったサプリが壊れたじゃないか! 周りを見渡すと男性陣はサプリと同じ様に涙目になりながら呪文を唱え始めている……
「女性怖い…… 女性怖い…… 女性怖い…… 女性怖い…… 女性怖い…… 女性怖い…… 女性怖い…… 女性怖い……」
――!? 男性陣のみんなは壊れたレコードのようになっていた……
この時点で、パワーネット公爵家交渉術の範疇に入っているとは、僕を含め誰も気付く者はいなかった……
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