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第83話 第三王子は心にダメージを負う!

エリスと久々の本屋さんにデートだと浮かれていたらはぐれてしまった『シュウ』です。あまりのマヌケっぷりに笑って下さい!(泣)




そこに現れたのは、トラのマスクを被り、豪華でそれでいて上品なトラ柄のドレスを身に纏った女性だった! 

本物の皮を使っているんじゃないかと思わせるマスクとドレス。某プロ野球団が泣いて喜びそうな素敵なマスクとドレスだった!



マリーならそんな変装をしないはず、正体不明の作者であることをいいことに偽者を用意して、本屋さんは荒儲けでもしようとしているんじゃないのか?と疑いトラマスクの女性に近づこうとした時、


「お客さん、それ以上は近付かないように」


SPらしきチャラ男風イケメン筋肉(メンズフィジーク)の黒服男に止められた。



――おお! これが僕が目指す、海の似合うチャラ男風イケメン筋肉(メンズフィジーク)なのかぁ。イケメンとはほど遠いが格好だけなら僕もイケるんじゃねぇ……





トラマスクの女性が一礼してから、


「『異世界転生モブ第三王子は(ホソマッチョ)の、(マッチョチョ)による、(ゴリマッチョ)のための冒険ギルドを作って魔王を無双する! ~(シュウ)の愛は異世界を越えて~』をお買い上げいただき誠にありがとうございます。作者の『マッチョムラ マチョコ』です。諸事情があり、皆様にはこのような姿でのご挨拶となり申し訳ございません。本日は、皆様に一目お会いしたいと思い参ったしだいです」



――!? あの声は!? マ、マリーの声だ!? まさかのご本人登場!? 僕は、マリーの偽者が出てきて愛想を振りまいて退散。明日の朝はマチョコが本屋さんにキターーーー!と話題作りをするものだと思っていたが、マジで来るとは! あの格好だったら誰も聖女オブ聖女のマリーとは気がつかないと思う……



店員さんが興奮気味にお客さんに、


「お客様にさらに嬉しいサプライズがございます! ただいま、『異世界転生モブ第三王子は(ホソマッチョ)の、(マッチョチョ)による、(ゴリマッチョ)のための冒険ギルドを作って魔王を無双する! ~(シュウ)の愛は異世界を越えて~』の挿絵を担当されました。『異世界を旅する乙女』先生がご到着されました!」


「あの、異世界を旅する乙女先生も!?」

「私、夢でも見てるんじゃないの?」

「夢じゃないわよ! 現実よ!でも、本当に信じられないわ!」

「二人とも姿を見せるの始めてじゃない!?」

「マジで! 私もう死んでもいいわ!」



――死んでもらっちゃあ、こっちが困りますよ…… それと何回も~(シュウ)の愛は異世界を越えて~を聞かされると心にダメージが……



――しかし、エリスとはぐれたと思っていたらこういう事だったのか…… 教えてくれてもいいと思うけど…… きっと、僕へのサプライズだったのかな? しかし、エリスのペンネームが『異世界を旅する乙女』って初めて聞いたよ……



店員さんも突然のサプライズについていけないのか慌てた様子で


「い、異世界を旅する乙女先生! どうぞこちらへ!」


マリーの横へと案内していた。



――エリスも正体がばれないように変装してくると予想はしていたが……



全体的にはオレンジ色で大きな目に顔全体がGに見えるウサギのマスクだった! そして、白を基調としたシンプルでいて清楚な感じのドレスだった!



――二人をこの場から離さないと抗争になりかねない。トラとオレンGウサギは永遠のライバルであり、伝統の一戦が始まるんじゃないかと僕は、ヒヤヒヤしながら二人を見守っていた!


エリスことオレンGウサギはお客さんに一礼し、


「マチョコ先生の新作の挿絵を担当させていただきました。『異世界を旅する乙女』です。マチョコ先生同様、このような姿でのご挨拶となり申し訳ありません。本日は、お店の方に無理を言ってこの場を設けさせていただきました。これもひとえにマチョコ先生の新作をお買い上げになられましたみなさまに感謝をお伝えしたいとの思いからです。本日は新作をご購入いただきましてありがとうございました」


二人は席に座り、お客さんが購入した本にサインをしている。一人一人に丁寧にそれでいて気さくに話しかけ握手もしていた。これでお客さんの心をゲットだぜ! みたいな感じの光景だった……


そして、マリーの新作はあっという間に完売となったが、以前に新作を購入した人たちもマリーとエリスが来店していることを人伝えで聞いたのか本屋さんに集まってきた!



――おいおい、マジかよ。どれだけ並んでるんだよ。終わるのに何時間かかるんだ?



「私の予想では、あと6時間はかかると思われます」



「ギャーッ!? びっくりするじゃないかレイニー! 急に僕の後ろに現れるのは止めてくれって何回もお願いしているじゃないですか!」


「私は自由が似合う女、ロッシュウ様の都合など私にとっては、たぬきの罠にたぬきが引っ掛かるぐらい関係ないのです。」


「レイニーさん、存じ上げている意味が全然わからないのですが?」


「相変わらずダメダメ人間ですね。その場の空気を読むという当たり前の事が出来ないとはなんて嘆かわしい……これでも王族の方とは思えませんね」



――空気を読むとかお前が言うな!!!!



「それで、レイニーさんは何故ここへ?」


「エリス様の居るところレイニー有りです!」


「――そうですか……」


「それにしましても、あのお二人のご衣装お似合いになっておりますね」


「トラマスクとオレンGウサギマスクだけどな」


「それが良いのです! ロッシュウ様にはあの気品と清楚で可愛らしいお姿がわからないとは…… センスの無……ウルウル(泣)」



「何故? センスの無……で止める。ハッキリ言ったらどうだ?」



「――ハッキリ言いましてセンスの無さに、このレイニーも脱帽です。」



――コイツ本当にマジでハッキリ言いやがった! 殺意が芽生える……



「デフォルメされていたら可愛いと思うけど、リアル過ぎるトラとオレンGウサギですよ!気品はあると思うけど、かわい」


「そこまでです」


「――!?」


僕が全部言い終わる前に、レイニーに遮られた。


「それ以上、お二人を侮辱することは私が許しません!」


「えっ!? 別にそんなことないと思うけど……」


「マリー様は聖女オブ聖女であり、慈悲のみ心に満ち溢れております。マリー様の魅力はそれだけではありません。邪神、いや、破壊神の如く小悪魔で悪魔な魅力を持ち合わせております。エリス様もそうです。気高き魂と優しさを…… そして、その中に腐ったミカンの心を持ち合わせているという完璧な女性です。将来はお二人とも立派な貴腐人(きふじん)となられるでしょう。お二人の成長が楽しみです」




「――レイニー!お前が一番、二人をディスってるじゃねーか!」



「――!? 何を言ってるんですか! 私はリスペクトしているのです」



「……………………」



――僕とレイニー。一体何が違う?……

お読みいただき誠にありがとうございます。

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