第80話 大狂乱!サイドチェスト祭!3
アガシ先くれ輩が意味不明な事を言って僕を混乱させるとは、さすが三号生筆頭! 出来る漢は違うなぁと感心する『シュウ』です。
僕は、この茶番劇を止めてくれるのは、もうこの人しかいないと思いエリスを見た!?
なんと、エリスは手を口に当て涙を流していた……
僕は、突然の事で動揺しエリスに
「どうしたのエリス?」
「大丈夫よ、シュウ君。レイニーさんが不憫で……」
「レイニーが不憫?」
「ええ、私と同じで筋肉好きに見られているのね。観客から筋肉ダルマにしたいのは判るけど…… 今だから話せるけど、私もレイニーさんもゴリマッチョは嫌いなのよ!」
――!? うん、知ってた…… なぜ、このタイミングで暴露するんだろう…… それと、レイニーを気遣うなんて、エリスはなんて慈悲深いのだろう。エリスの優しさはエベレストより高く、海より広い……
こんなやりとりをしている最中も二人の一進一退の攻防は続いていた。まだ続いていたのかぁ……
ああ、だんだん飽きてきたなぁ…… いつまで続くのだろう……
こんな時は、必ずや救世主が現れるのがお約束なのにまだ出てこない。準備で忙しいのか? 着替えでもしてるんじゃないのか?
一号生から三号生そして、観客までアガシ先輩とレイニーさんの攻防を真剣な眼差しで見つめている。考えてみればレイニーのヤツ、身体強化の魔法を使っているよな。それに対抗するアガシ先輩は、実は凄い実力者なのかもしれない。やはり筋肉は偉大だなぁ…… 僕は、あくびをしながら考察してみた。
やはり、フレイルと斬捨て御免刀の殺陣を見ていると……
『愚か者め、余の顔を見忘れたか』
『……う、上様!』
『かくなる上は武士らしく腹を切れ!』
『上様の名をかたる偽物め! ええい!出合え出会えー!』
『デーンデーンデーーン デデデデデデ デーンデーンデーーン デッデッデデデデ ドゥードゥドゥードゥドゥードゥドゥードゥードゥードゥードゥドゥー チャンチャンチャチャチャチャン♪……』
『成敗!』
脳内再生で白馬の乗った。とっても暴れん坊さんな上様(将軍様)の決め台詞とテーマが流れてしまう……
◇
「アガシ! レイニー殿! そこまでだ!」
「私の邪魔するのは、誰だ!」
レイニーは声の主を探す。アガシ先輩は声の主がわかるのか攻撃の手を止め、声の主の方を見る。
「ジャキー先輩……」
「また、お前か、性懲りもなく私の前に現れるとはいい度胸だ。今日の私は気が立っている。早く立ち去るがよい。さもなくば今日がお前の命日にしてやるぞ!」
さすが、邪悪の根源! 言うことがド悪党すぎる! ハマリ役とは、こういうことを言うんだろうなぁ。ヤローの中に眠る才能が怖い……
ジャキー先輩はレイニーさんにガン無視を決め込み、アガシ先輩に近づき声をかける。
――ジャキー先輩、学院史上最強の漢と呼ばれるだけあって、なかなかの度胸があるなぁ……
「さすが、この俺が認めた漢。レイニー殿をここまで追い詰めるとは…… お前こそが、学院史上最強の漢と名乗るのにふさわしい!」
二人は向かい合いジャキー先輩は両手をアガシ先輩の肩に置いた…… なんて感動的な演出なんだ。この演出はパクらせていただきます!
「ジャキー先輩!」
アガシ先輩は歴代最強と言われたジャキー先輩に認められた事で感涙の涙をこぼしていた……
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