第74話 第三王子は邪神を目覚めさせたから……!
マリーが後付けで正真正銘の聖女と判明し、この異世界はご都合主義に愛されていることを知る『シュウ』です。
「シュウ君。話しが進まないから話した方が良いわよ」
エリスからダメ出しを頂いたが、僕にだって譲れないものがある……
「だって、歳がバレるじゃん!」
「まだ、そんなこと言ってるし、私は歳の事は気にしてないって!」
「――ありがとう、エリス。じゃ、マリーみんなには内緒で頼む」
――こうして、マリーにも僕の前世、前々世の話しをした…… マリーは黙って頷きながら僕の話しを聞いてくれた……
「シュウ。君は一体、合計何歳なのだ?」
「歳の話しはやめてぇぇぇぇぇぇー!」
――やはり、開口一番でその話しはキツイです。なんかもっと違うでしょ!と言いたい。まずは、なぜ転生できたのか? 日本とは? とかじゃないの? だから教えたくなかったんだよ!
「シュウの事は置いといて、バットに教えるかだけど、どうする?」
「………………」
――マリーさん。僕の事は完全スルーですか? まあ、新作小説で転生もの書いてりゃ理解できるかぁ…… でも、転生したご本人が目の前にいるんだから少しは興味持ったって良いじゃないか! 秘密を白状するか真剣に悩んでいた自分がバカバカしくなった……
「そうね、私もバット君には話しておいた方が良いと思うわ」
「みんなが良ければ僕は反対はしないよ」
「じゃ、私からバットに話して、味方になってくれるよう頼んでみるわ」
「ええ、お願いするわ。マリー、あなたが味方になって心強いわ」
「アイツは仲間思いの良いヤツだから良い返事がもらえると思う。」
マリーは片手を上げて叫ぶ。
「じゃ、休み明けには行動に移すわよ!」
「「オー!」」
僕とエリスはマリーに続いて叫んだ!
冬休みが明け、行動に移すことにした。交渉事ならマリーに任せておけば大丈夫ということでバットへ説得をお願いし、僕たちはその動向を見守った。もし、交渉決裂となった場合はエリスが闇魔法で記憶を消すと恐ろしいことを言い始めたので、なんとかマリーには説得を頑張って欲しい……
マリーは、バットを緊急会議と称して人気のない所へ呼び出し、説得を始めた。僕たちの事は言わず、ただ、魔女に会って友達になった。と伝えるらしい。
僕たちは、かつてレイニーが僕たちを尾行していた時のように影からこっそりと覗き見をした。
あのバットが狼狽する姿はかつての自分を再現VTRを見ているようで、つい楽しくなってしまう。不幸は蜜の味とはよく言ったものだ。最初に『他人』と付くが今の僕には関係ない! 頼んだよ。ご都合主義設定!
あれ!? もうバットが帰って行った。説得が始まったばかりなのに? 早くない? どうしたのかな?
マリーが僕らの元へ戻ってきた。バット曰く、
「急に爆弾投下されても困る。少し考える時間をくれ」
とのことで帰ったらしい……
――やはり、急に爆弾投下されたら普通はそうなるよな? 良くわかるぞ、バット!
エリスが急に、
「まずいは、考える時間を与えちゃダメ。誰かに相談でもされたら私たちの計画が頓挫してしまうわ」
「じゃ、エリスどうするんだ?」
僕はエリスに問いかけてみた。
「私が洗脳魔法を使うわ。それで、バット君は私たちの傀儡人形にするのよ」
――エリスさん。発想がこわっ! 僕の友達を傀儡人形にしないで!
「それではダメ! バットには、よく考えて自分で判断してもらいましょう。それが彼が選んだ道だから! それに、彼ならきっと私たちの味方になってくれると信じてる。まあ、最後の手段として洗脳魔法は使って傀儡人形にするのは有りだと思うわ」
――マリー。心にグッとくる良い話しだと思って聞いていたら洗脳魔法の使用を肯定しやがった。 聖女オブ聖女が邪悪な存在に感じるのは、やはり僕が邪神を目覚めさせたからか……
◇
数日がマリーに対して過ぎ、ぎこちない態度だったバットがマリーと二人きりで話しをしていた。その光景を超有名な家政婦並みの洞察力で覗き見をする僕とエリス。
マリーが僕たちを呼んだ。
「話しがついたわよー! エリス! こっちに来て!」
「ホントー! バット君のこと信じていたわ」
――僕の友達を傀儡人形と画策していたことはスルーなんですね。素敵です!
「バット、あなたも知っているエリスが、前に話していた魔女さんよ。一応シュウも魔法を使えるわよ。ついでに私もエリスから教えてもらって魔法を使えるわ」
「――!? シュウとエリス? マリー、お前まで魔法を使うとか聞いてないぞ!」
「だって言ってないもん」
「だって言ってないもんじゃねーよぉ! マリー、俺を騙したな!」
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