第71話 第三王子はマリーに相談する!4
一号生筆頭、聖女マリー様の魔女に対しての理解と新作小説に対する情熱に超ご都合主義展開じゃないかと自問自答する『シュウ』です。
「新作のアイデアは……」
エリスは、ためるだけためて…………
「異世界からモブ第三王子に転生して神様から魔法の力をもらって漢パーティーで冒険してラスボスを倒す話しよ」
――!? どこからどう見ても僕じゃないか! エリスはどうしても僕をモデルにしたいんだね…… 僕も漢だ! 婚約者、エリスの為に一肌脱ごうじゃないか! だが、身体には自信が無いからダンベルからもらった筋肉Tシャツで我慢してほしい……
「エリス。転生ってなに? 詳しく内容を教えて?」
「転生者というのは、例えば、この世界とは違う別の世界で生きてきた人が、トラックに轢かれて死ぬの。死んだあと、神様に会って特別な力をもらって、この世界に生まれ変わることよ」
――!? やっぱり、トラックじゃないと神様に会えないんだ…… だから僕は川で溺れたから神様に会えなかったんだね。どうりでチートが無いわけだ! やっと、謎が解けたよ。ありがとう。エリス……
「トラックとは何?」
「鉄で出来た馬車だと思ってくれたら良いわ」
「――!? そんな物があるの?」
「別の世界にはあるかも知れないわ」
「なるほど、なかなか興味深い話だわ…… 面白い! 是非、そのアイデアで書かせて! それで、漢たちが無限に出てくるのね! たのしみだわ!」
「「………………」」
――マリー。無限に出てくるのはゴキブ〇だと思う……
「あと、特別な力とはどんなもの?」
「マ、マッチョと魔法よ」
――ゴリマッチョ嫌いのエリスが頑張ってる…… 頑張れ!エリス……
「――魔法!? 良いの? そんなことをしたら発禁になる可能性があるわ?」
「そうね、その可能はあるわ。筋肉を全面に出して、ラスボスを倒す時だけ派手に攻撃魔法を使うのはどうかしら?」
「攻撃に魔法を使うのね……」
マリーは、難しい顔で考えていた。聖女オブ聖女は難しい顔をしても絵になるなぁ。
そして、マリーは優秀な頭脳からある答えを導いた。
「それは、やめた方が良いわね……」
「どうして?」
「いきなり派手な攻撃魔法だと読者が怖がってしまうわ。そもそも、みんな魔法自体を怖がっているからね」
「そうか…… どうしたらみんなに魔法を受け入れて貰えるのかしら……」
二人は悩み込んでしまった。マリーが何か思い付いたみたいでエリスに問いかける。
「エリスは出来るだけ多くの人に魔法を知ってもらえることを望んでいるんだよね」
「ええ、そうよ。」
「それなら、ラスボスを倒したあと、荒廃した世界の人々の為に魔法で派手な演出をするのはどうだろう?、希望の光を指し示すという意味で」
「――!? マリー、やっぱりあなた凄いわ!」
「この案なら平和的に魔法が使われてるから、受け入れてくれる読者もいるかもしれないよ」
「そうね。その線で考えてみましょう」
「ところで申し訳ないけど、エリス。今日は私の家に泊まっていけない? もう少し新作の内容を詰めたいんだ、もう新作を書きたくてしょうがないんだよね」
「いいわよ。ちょうど明日は休みだし、あっ!それなら私の実家に来ない? 実際にハルタンに来て、新作のイメージが掴めたら良いんじゃないかな?」
「それでも構わないわ、エリスの実家って魔境の森じゃないの? 何日もかかるんじゃない?」
「心配には及ばないわ。私には、瞬間移動っていう魔法があって、あっという間にハルタンに着くわ」
「そんなことまで出来るの?」
「ええ、出来るわよ。シュウ君も出来るわよ」
「本当に? シュウ」
――やっと、僕のターンが来ました。これまで、ほとんど空気と化してました……
「出来るよ」
「それは凄いわね。見直したわ! エリス」
「そんなことないわよ。シュウ君、ごめんね。マリーを連れてハルタンに帰るからあとはよろしくね」
「わかった。女子寮には、マリーのお屋敷に泊まると伝えておくよ」
「シュウ、ゴメン。もはや私の創作意欲を誰にも止めることは出来ないわよ!」
――ハァ!? 僕は? 即座にターン終了になりました…… かなしい……
エリスは小声で、
「本当にごめんね。必ず良い知らせが出来るように頑張るわ」
「頼んだよ、エリス」
そうして、僕はマリーのお屋敷をあとにした……
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