第70話 第三王子はマリーに相談する!3
聖女オブ聖女のマリーが小説を出していたとは驚いた! それ以上にエリスの隠された一面に深い闇を感じる『シュウ』です。
「じゃあ、証拠はあるの?」
マリーから証拠提示をされた。
「証拠見たいの?」
「あるのなら出して貰おうか?」
マリー捜査官の本格的な取り調べが始まった。
「エリスさん、お願いします」
エリスは、指先から小さな炎を出した。
「良く出来ている手品ね。種明かしはしないの?」
「種なんかないよ。エリスが魔女本人だから。僕も魔法使えるようになったんだ!」
僕は、収納魔法で右手を横に伸ばし黒くなった空間に手を入れてエリスから受け取っていた荷物をマリーに渡した。
「――!? どこから荷物を出した!」
「ん、どこからと言われましても、収納魔法だからわからないや。そういえば荷物を入れてる空間ってどうなってるんだろ?」
「そういう問題じゃない! わ、私は夢でも見ているの!」
――マリーは、まだ壊れてはいない…… 壊れたらどうしよう……
「夢じゃないよ。現実だよ」
僕は聖女オブ聖女様に現実を叩き付ける。
「あなた達は、私にこんな手品を見せて、私をからかっているの!?」
「マリーにそんなことしないよ」
僕はニッコリと微笑む。
「シュウ。その笑顔がすでに胡散臭い……」
――えっ!? 僕の笑顔が胡散臭い…… 最大で最高の笑顔だっ
たのに……
「まあ、マリー落ち着いて、シュウ君から受け取った荷物を開けてみてよ」
「わかった。エリスがそう言うのであれば信じるわ」
マリーは僕から受け取った荷物をほどき始めた。
――マリーはエリスの言葉なら信じられるんだね。僕の笑顔は胡散臭いかぁ……
「シュウ君、落ち込まないで! 本当の事だから」
――!? 胡散臭い笑顔と言われショックを受けている僕を慰めるように見せかけてからの『ツンアク』
さすがの僕も白目になった…… おそろしい子…… エリス……
マリーが荷物をほどくと中から出てきた物は数冊の本だった。
タイトルを読むと……
『漢が忘れられない漢の想い出 ~禁断の愛の果てに~』
『最強勇者の漢パーティーはヒャッハーどもをいつでもどこでも夢想する!』
など、タイトルがBL小説と思わせる本だった。
「エ、エリス。あ、あなた、どこからこの本を?」
「私の収蔵品よ」
「ま、幻の本ばかりじゃない?」
「私たちの話しを聞いてくれたら、この本をマリーに譲ってもいいわ。それと、新作のアイデアも提供するわ」
「――!? ホント! ウソじゃないわよね?マジで!」
――エリス。それ、買収じゃないのか? 大人の事情を感じる……
「そんなことしないわ。マリーには私を同じ匂いを感じるもの。もし、話しを聞いてくれなくても譲つもりよ。私たちは、もうかけがえのない同士よ」
「私もエリスには同じものを感じていたわ……」
二人は立ち上がり固い握手を交わしていた。
――エリスとマリーの知らない一面を見せられて、また大人への階段を一歩上がったように感じた……
「それで、話しというのは?」
「――私たちの秘密についてよ」
エリスは、これまでの真実の歴史からハルタンの人々、僕の魔法取得、これから自分たちがやろうとしていることなどを話した。もちろん、僕の転生の話しはしていない……
「――そうか、そういうことがあったのね。嘆かわしいわ…… 真実って残酷ね……」
「私たちは魔法を使えるってだけで、普通の人と変わりはないわ。敵対する気も復讐するつもりもないわ、只々、融和と共存共栄をして行きたいだけなの。マリーには、この事はわかって欲しい」
「それで、私に何をして欲しいの?」
「特別何かしてくれってことじゃなく、味方になってくれたらそれで良いの。私たちの事を理解してくれるだけで良い……」
「――わかったわ。私に出来ることは何でも協力するわ」
「マリーならそう言ってくれると信じてたわ」
「それで、新作のアイデアとは? 私にとってこちらも大重要事項なの!」
――聖女マリーの本と新作アイデアの食い付きがもの凄い! 本と新作アイデアという買収で聖女マリーが闇に落ちて行きそうだ……
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