第7話 トレスベン学院
馬車の中で表情が死んでいるレイニーさんを見て心躍る『シュウ』です。
留学《追放》が決定してからが大変だった。自称『クールビューティー』のレイニーは虚ろな目になり自暴自棄に…… 働かなくなった。
「ハアァ 面倒くさい…… 子守りなんてしたくない…… 行きたくない……」
独り言が多くなり、僕の居室のお酒を持ち込んで、仕事をまったくしないでヤケ酒を煽っている。
――コイツ 本人を目の前にして、なんて事していやがる! 子守りって僕は赤ちゃん扱いだったんかぁーい!
レイニーがとくに仕事をしなくても、前世で元庶民だった僕はある程度の事は自分
で出来るのでそれほど苦労はしていない。面白そうなので、このまま放置プレーを堪能している。
いつになったら自称『クールビューティー』に戻るのだろうか……
そんなこんなで、出発から一ヶ月掛けてアルラサンド王国王都ザイドチェスドへ着いた。
先ずは学院長に挨拶をする為、トレスベン学院へ行くことになった。
「レイニーさん、ついに来ましたね。トレスベン学院!」
今のレイニーは僕の留学《追放》の鬱憤晴らしとおもちゃ(放置プレー観賞用)としての敬意と感謝の意から丁寧語での対応となっている。
「――もう 着いちゃったんですね…… もうジタバタしてもしょうがないですね!」
レイニーの目に生気が戻った!
――――レイニーさん。ついに自称『クールビューティー』 復活!
「とりあえず、学院長に挨拶だ! 我に秘策あり!」
僕は自身満々で宣言をした!
「――ロッシュウ様、余計な事はなさらないように…… 行動を謹んで下さい」
あくまでも『クールビューティー』に徹するレイニーさん!
僕のボッチの学院生活を回避するため事前にトレスベン学院について調べていた。
トレスベン学院は、貴族、特待生、同じ学び舎である以上、皆平等である! を謳い文句にしている。要は貴族は平民の事を良く知り将来に向けて平民の安寧の為に、より良い領地経営に活かす為、平民は貴族の事を知り貴族の責任と領地経営に、自分がどのように貢献出来るかを学ぶ為らしい。だからこそお互いが、お互いの為に良く知って行くことに教育の根幹としているらしい。
初年度は一号生、2年目は二号生、3年目三号生となり卒業となる。優秀な者は貴族、平民関係なしに筆頭、副筆頭と呼ばれる役員となり、生徒会の運営に携わることになっている。
――ここは、どこかの某塾で一号生筆頭は剣〇太郎になるのかな? で、生徒会長は三号生筆頭の大〇院邪〇様かな?
トレスベン学院はフロンシニアス王国よりは衛生面等には気を使ったいるようだ。あと学生用に寮もあり、遠隔地の生徒が利用するとの事で僕とレイニーも、この学生寮にお世話になる予定。もちろん、男女は別々の寮となるので面倒くさがりなレイニーは僕の世話をするために、毎日男子寮へ通うことになる。 ――ザマァみろ!
学院の校内には春休みと言うことで生徒はほとんど居なかった。
まずは職員室行き職員に挨拶回りをしてから、職員に校内を案内してもらいながら、学院長室の前に着いた。職員はドアをノックし、学院長に声を掛けた。
「学院長、フロンシニアス王国第三王子ロッシュウ・ニオ・アルパトス様をお連れしました」
「どうぞ、お入りください」
中から張りのある男性の声が聞こえた。
「失礼します」
レイニーと共に緊張しながら学院長室に入った。
「――――――――ハァ~!?」
中に入ると、年配の長い白い髭を靡かせながら、ムキムキバキバキのパーフェクトボデェの男性がビキニパンツ一丁で『モストマスキュラー』ポーズで僕たちを迎えてくれた。
しかも両隣にはムキムキバキバキのパーフェクトボデェの秘書らしき2人の若いイケメン男性がビキニパンツ一丁で『サイドリラックスポーズ右側』『サイドリラックスポーズ左側』での歓迎である。
――三位一体とはこの事を意味するのだと理解した。僕は、あまりの盛大な歓迎ぶりに感動と感謝の意を示す為に声を掛けた。
「国立筋肉博物館!
上腕二頭筋ナイス!チョモランマ!
土台が違うよ!土台が!
美味しいメロン肩!
マッスルラーメン!筋肉もりもり!
筋肉の徳が高すぎる!前世で国でも救ったんか!
筋肉増税120%!」
僕はありったけの賞賛と賛美の言葉を投げかけた!
学院長と秘書のらしき2人は満足げな笑顔を浮かべていた。
僕が後ろを見ると青い顔をしたレイニーが泡を吐いて倒れていた。
――きっと三位一体のパーフェクトボデェの感動で倒れたのだろう……
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