第66話 第三王子はお見送りをする!
ドM扱いされツンデレの最上互換位『ツンアク』を体験した『シュウ』です。今にも泣きそうです。いや、泣いていました。
「シュウ君、早くしないとお義父様たちが帰っちゃうわよ」
「急いで支度するから待って」
「寝癖は直さなくてもいいから早く」
「わかった!」
僕たちは急いで父上たちのところへと向かった。父上たちは僕たちを待っていたようで、
「父上、母上、お母上様、お父上様、おはようございます。遅くなり申し訳ありません」
「おはよう シュウ。昨日は大変だったらしいな。ミノノモンタから聞いたぞ。羽目をはずすのは良いがホドホドにな」
「そうよ。シュウちゃん、エリスちゃんに心配かけちゃダメよ」
「ハイ。迷惑をかけないよう努力します!」
父上と母上の顔は昨日と違い、王族としての顔付きに変わっていた。公人と私人との使い分けが王族としては当たり前だが凄い!
父上と母上も昨日は、はっちゃっけたんだろうなぁ……
「アリエス、少しシュウと話したいのだか、良いだろうか。」
「ブルース。別に構わないわよ」
父上、母上、僕、エリスが集まった。
「シュウ、エリスちゃん。今から大事な事を言うから良く覚えてあるようにな」
「「ハイ」」
「学院にいる三年間、これからどうするかを考えろ! 要は改革の準備だ。そして、ひとりでも多く味方を増やすんだ。多ければ多いほど良い。いいな?」
「「ハイ」」
「私たちの時は闇部隊の二人しか味方はいなかったわ。もっとハルタンたちの人々の為にしてあげたかったけど、反対派ばかりだったから…… あなた達ならまだ、時間に猶予があるのだから、今のうちにやれることは何でもするのよ。わかった?」
「「ハイ!」」
「フロンシニアス、ハルタン、世界の為に…… 頼んだぞ!」
「全員が満足出来る生活は無理な話かもしれないけど、少なくても今より生活がしやすいように導いて行けるように二人ともお願いね」
父上と母上は僕とエリスを抱きしめてくれた。
「お前達はお前達の出来ることをやるんだぞ! 私達はお前達が出来ないことをやっておくからな。お前達の働き、期待しているぞ」
「シュウちゃん、エリスちゃん、体にはくれぐれも気を付けるのよ。わかったわね」
「父上、母上。皆が良き未来になれるよう努めていきます」
「お義父様、お義母様。シュウ君を支えていきます」
「アリエス、マルクス。あとは、よろしく頼む」
「私からもお願いね。アリエス、マルクス。あとは、任せたわよ」
「ええ、あとの事は私達に任せておいてセリーナ」
「ブルース、セリーナも達者でな」
「アリエス、マルクスも達者でな」
「ちょっと待って、ソフィアちゃんにギューしなきゃ」
「セリーナおねえさまー!」
ソフィアちゃんが母上の元へ走って来た。
「ソフィアちゃん! ギュー!」
母上とソフィアちゃんは抱き合い別れを惜しんでいた……
――あとで聞いた話だがソフィアちゃんは母上からたくさんのお土産(オモチャとお菓子)を貰ったと聞いた…… ソフィアちゃんがジゴロに見えてきたのはなんでだろう……
「父上、母上! お体だけはお気をつけ下さい!」
帰りはレイニーの瞬間移動で帰って行った。
◇
「ブルースとセリーナ、帰っちゃたわね。今回の茶番劇は酷かったわね。マルクス?」
「そうだな。今回はパロディーなのか、パクリなのか微妙だったが多分あれはアウトだ!」
「――あれ、やっぱり茶番劇だったんですか?」
「そうよ。あの二人、ここに来ると必ず、我を忘れて茶番劇を始めるのよ」
「父上、母上。ハルタンで、なにやってるんですか……」
「たまには良いんじゃない、あの二人にとっても良い気分転換になったんじゃない。ずっと私達、そして、あなたや国民の為に頑張ってきたんですもの」
「そうなんですか?」
「いろいろ反対の多い中、法律を変えたり、秘境の森を観光地にしようとしたり、ただ秘境の森の奥深くには近づくなって噂を流したりもしたのよ」
「国教を無くした話しは聞いていました」
「あのアポー正教会は俺たちハルタンの者にとって迫害の急先鋒だったからな。ブルースとセリーナは、よくやってくれてるよ。あの二人には友人として、またハルタンの者として感謝しているよ」
「父上たちも頑張っていたんですね」
「そう。あなた達もこれから大変よ。やらねばならぬことが沢山あるのだから……」
「お母様、お父様。これからのことを相談したいのですが……」
「そうね。じゃあ、これからの方針を決めましょう。応接間に行きましょう。シュウ君も良いわね?」
「ハイ」
こうして、僕たちは応接間へと向かった。
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