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第63話 第三王子は一人語りをする!

急なシリアス展開にギャグの1つでもブッコミたいと思うが、そこはレイニーさんとは違い空気を読める(おとこ)『シュウ』です。



焦る気持ちをおさえ病院へと着いた。看護士さんの案内で霊安室へ通された。



そこには、線香の煙と匂いの中、もう何も答えないご両親のご遺体が安置されていた……



彼女は今ある現実を受け入れることが出来ないのか、ほんの数秒立ちつくし静かにご両親の元へ足を進め、ご両親の死に顔を見た瞬間、突然のご両親が事故死というショックと不安が一気に爆発したかのご遺体にしがみつき号泣した……  僕は、ただ彼女を見ているほかなかった……





看護士から今回の担当医から説明があるとのことで担当医の元へ移動し、死因について説明を聞いた。



自動車を運転していたお父さんが、急に片側一車線の道路の反対車線に飛び出し。反対車線を走っていたトラックと正面衝突したとのことだった。お父さんは、心臓が弱かったらしく薬をもらうた為にお母さんを乗せ、病院へ向かってる最中での事故だったらしい。事故に関して詳しいことは警察に聞いてくれと言われた。


死因は、二人とも頭に外傷を負い、大量失血と内臓破損とのことだった。


僕もご両親の死に顔を見せてもらったが、頭には包帯が巻かれていたが、顔には傷らしい傷も無く、今にも起き上がって話しかけて来そうな安らかな死に顔だった。





彼女はそれから泣くのをやめて気丈にも葬儀の手配を始めた……



彼女は、葬儀屋への問い合せと打ち合せなど喪主としての務めをはたしていった。僕は、彼女が少しでも楽になるようサポートした。僕の両親も手伝いに来てくれ、僕たちを支えてくれた……



慌ただしく葬儀も終わり、その晩、彼女は僕に『もう、私、ひとりぼっちになってしまった。頼る親戚もなく身内がいなくなってしまった』と静かに泣いていた……



ここは(おとこ)らしくと覚悟を決め、自分が彼女に対しての想いを伝えた。


「僕は、君を一人にしない。約束する君を絶対に一人にしない。何がなんでも君より一秒でも長く生きて、君をもうこんな悲しい思いは絶対にさせない、僕がずっと君のそばにいるよ」



彼女は泣き顔のまま、驚いた顔をしてから『ニコリ』と微笑んでくれた……




こうして、僕たちは恋人として付き合うことになった。



ご両親が亡くなって、心が弱っている彼女にこのタイミングで告白とかするとかゲスにしか見えないと苦悶することもあったが、彼女と結婚して子供たちも生まれ、本当にいろんな事があった。苦しさも、悲しさも、喜びも、楽しさも全部、彼女がそばにいてくれたから出来たことだと改めて思う。



子供たちもそれなりに独立し、夫婦水入らずで、第二の人生を二人で計画を立て、これから先の生活を楽しみにしていた。


そのころ、僕は、どうも体調が悪くなり、彼女の勧めで病院へ行った。いろいろな検査を受けたが、『癌』の疑いがあるというので、改めて詳しい検査することになった。


初期の癌で大したことはないだろうと楽観的に考えていた。彼女にもたいしたことは無いからと笑って言っていた。だが、その楽観的な考え方は悪夢に変わった……



担当医から『癌、余命半年』の告知を受けた…… 



そして、彼女との『一人にしない』という約束を守れないまま、僕は病魔のまえに倒れた……

お読みいただき誠にありがとうございます。

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