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第61話 第三王子は毒に……?

思い出補正された肉じゃがを頬張りながら日本酒を飲む『シュウ』です。周りから見たら

ただの飲んだくれオヤジにしか見えないだろうなぁ、まだ13歳だけど…… おっと! 中身の年齢を言うのはご法度だぜ! 徐々に酔いが回り、口もよく回るぜ!



「いが のみすぎじゃねぇが はぁのむのやめんだ」


『あなた、飲み過ぎじゃないの? もう飲むのやめたら』


「そったらごと ねーすけ もういっぱいだげだすけ なっ ついでけろじゃ」


『そんなことないよ。もう一杯だけだから なぁ 注いでくれよ』



ついついミノノモンタさんの南部弁につられて僕も南部弁になってしまった! エリス。僕のはなんちゃって南部弁だから通訳しなくても…… 


ミノノモンタさん情報のよると『ネイティブ・アオモリン』は『し』と『す』の発音が苦手らしい。

イントネーションにもこだわりがあるらしく南部弁は奥が深いなぁ……


それと『す』と『し』の発音が独特な人を見つけたら、そいつは『ネイティブ・アオモリン』だと考えた方が良いとのことだった。今度、『ネイティブ・アオモリン』を探してみたい!



――しかし、うまい肉じゃがとうまい日本酒。最強の組み合わせだと思う。



ミノノモンタさんをよく見ると蜃気楼のようにフラフラと揺れていた。しかも、僕の飲んでいた一升瓶とは違うラベルの一升瓶を発見してしまった!



――ミノノモンタのヤロウまだ隠し球を隠しやがって、一丁飲んでやるか! んっ!? 普段が品行方正の僕が、なんか妙にガラが悪くなってないか? これがお酒の魔力ってヤツなのかな?



ミノノモンタさんがエリスと話しに夢中になってこちらに気が付かないうちに隠し球(違うラベルの日本酒)を自分のコップに注ぎ、飲んでみた……



「うわわわわわはわっ!?」


僕は、大声で叫んだ! の、喉が焼ける! 身体中が燃えるように熱い! 喉から食道そして、胃へかけて激痛が走る!



――毒、毒なのか!? こんなところに刺客がいるのか? 目的は僕の暗殺か?



僕はその場に垂れ込み、意識が薄れていった……




「どうやったきゃ なにしたっきゃ ん!? わのさげっこのんだのが いが こりゃ まものようのさげなんだじゃ いががぁ のめるさげっこじゃねんだじゃ」


『どうした? 何をした? ん!? 俺の酒飲んだのか? シュウ これは 魔物用の酒だ お前が飲める酒じゃないんだ』



遠くで微かにミノノモンタさんとエリスの声が聞こえる…… エリスは、こんな時でも通訳は忘れないんだなぁと思いながら僕の意識は暗闇の底に落ちていった……






僕が気が付いた時には暗闇の中で自分の手すら見えない闇だった。


どこからか女の子の声が微かに誰かを助けを呼ぶ声が聞こえてきた……



「■■■■■■! たすけてー!」


「くるしいよー! ■■■■■■!」


「しにたくないよー! 私、まだやることがあるのー!」


「■■■■■■たすけてー!」





僕は思い出す…… あの前世の最後を…… 




あの声は幼馴染みだ! 僕が助けようとして結局、助けることが出来なかったあの娘だ! 助かったのか、助からなかったのかわからないがあの時の幼馴染みの声!




――僕は、助けを呼ぶ声の方へ全力で走り出す。今度こそは助けてあげられる! 体力も魔法も今の自分にはある! 今度こそ、絶対に幼馴染みを助ける!




どこまで走っても幼馴染みの所までたどり着くことが出来ない…… そして、幼馴染みの声は聞こえなくなった…… 


僕は、その場に座り込み泣いた……



今度も幼馴染みを助ける事が出来なかった…… 自分のどうしようもない不甲斐なさに…… 助けたかった幼馴染みのために…… 









――暗闇の奥から聞きなれた懐かしい声が聞こえる……




「目を開けてー! あなたー!」


「約束したじゃない! 私を一人にしないって!」


「お願い起きてー! あなたー!」

 

「お願いだから! 私を一人にしないで! お願い! あなたー!」


「私をおいていかないで……  あなた……」




――ああ、妻の声だ……



ごめん。もう一人にしないって約束してたのに…… 約束やぶってごめんよ…… 一緒に生きられなくてごめんよ……


お読みいただき誠にありがとうございます。

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