表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/211

第60話 第三王子は懐かしむ!

あまりにも難解すぎると有名な『津軽弁』と双璧をなす『南部弁』に挑み、翻弄される『シュウ』です。ホント、何言ってるかチンプンカンプンです。エリスが淡々とした通訳が無ければ敗北を覚悟しなければならないほどの圧倒的な破壊力! 


でも、マジでリンゴはおいしかったです。たかがリンゴと思っていたけど悪魔的うまさです! みなさんにも食べさせてあげたい! みなさんって、だれ? 


リンゴを生産されたミノノモンタさんへ心からの感謝を! そして、食い意地の悪いハルタンたぬき様に感謝を!





「なんじゃこりゃぁぁぁぁー!? 日本酒じゃないかぁぁぁぁ! 何!? このおいしさ! おいしい果汁水を飲んでいるようなスッキリさ! 口に広がるフルーティーな甘さ! 材料はコメと水だよな? 果物は入っていないよな? 何なんだよ! この酒は!」



――一口飲んだあとは、残りの日本酒を一気飲みしてしまった! 大興奮状態で一気に喋りまくる僕! 前々世でも日本酒は飲んでいたが、物が違うよ物が! まぁ、貧乏舌の僕は安酒しか飲んでこなかったから、このおいしさは衝撃的だった! 



「いがも のめるじゃねえが」


『あなたも 飲めるじゃないか』


「いやー、このお酒が美味しくていくらでも飲んでしまうよ。母上が気に入るのがよくわかる」


「んだべ このさげっこ のべば ほがのさげっこぁ のべなぐなるべ」 


『そうだろ この酒を飲んだら ほかの酒は 飲めなくなる』


「ミノノモンタさん。おかわり!」


僕は空になったコップを差し出した。


「まんずぅ のんでけへ」


『まあ、飲んでくれ』



ミノノモンタさんは、コップにお酒を注いでくれた。僕は、水を飲むように口に流し込む。


「ん~まずい! もう一杯!」


「おまぐねぇって なんだ!」


『おいしくなってどういうことだ!』


「えっ! これって、おかわりするときの定番じゃないの? おかわりの最高名セリフなのに違うの? 健康にもなるのに?」




「「………………」」



「ちがうど おもうど」


『違うと 思うよ』


「私も違うと思うよ」



――!? 異世界に『ん~まずい! もう一杯!』ってないの? 超有名な名セリフなのに! たぬき! なんで名セリフをエリス・フォンティーヌ様に教えていないんだぁ! 知らない人が聞いたら顰蹙ひんしゅくを買ってしまうじゃないか!



「ゴメン。悪気があった訳じゃないんだ。謝罪をさせてほしい……」



「ワハハハハハハ。 はらゆるぐねぇじゃ ん~おまぐねぇ! もう一杯! こっちゃさもあるすけ」


『ワハハハハハハ。 お腹が苦しいよ 『ん~まずい! もう一杯!』はこっちにもあるぜ』


「だましたな!」


「わりぃ わりぃ ゆるしてけろじゃ」


『わるい わるい 許してくれ』



――エリス。淡々と翻訳してくれるのはありがたいが、なぜ、そんなに南部弁がわかる?



「わかったよ。そういう冗談はもうやめてくれよ。心臓に悪すぎる」


「おう わがった ほんでシュウ いが はらへんねぇが」


『おう、わかった。それでシュウ。お前、お腹空いてないか?』


「そうだな。何か食べ物、持ってくるよ」


「ビアンカのどごさ いげば なんが あるごった」


『ビアンカの所へ行けば何かあるかも』


「了解。じゃ、行ってくる」


「私も付き合うわ」


「じゃあ、エリス。一緒に行こうか」


「うん」


僕とエリスはビアンカさんの所へ食べ物を貰いに行こうと立ち上がった時、足がフラフラと立ち上がれなかった……



――頭はハッキリしている。酔っぱらっている意識は無い! でも、足にキテいる。この日本酒は危ない類の酒だ! 美味しすぎてグイグイ飲んで酔ってないと思っていたら、いつの間にか酔っ払っている…… 魔性の日本酒だ! だが、おいしいから許す! おいしいは正義!



「シュウ君、大丈夫? 歩ける? やっぱり酔ちゃった?」


「ありがとう、エリス。頭はハッキリしてるけど足にキテたから戸惑っただけだから大丈夫だよ」


「飲みやすいけどやっぱりお酒だからね。飲み過ぎがダメよ」


「そうだね。気を付けるよ」


「いがんど ほんど おにあいのふうふだすけ はあーけっこんしたらいがべ」


『あなたち本当にお似合いのふう……』


「ミノノモンタさん。これ通訳して良いの?」


「いがべな」


「恥ずかしいんだけど、シュウ君。ちゃんと聞いててね」


『あなたち、本当にお似合いの夫婦だからもう結婚したらどうだ』


『いいぞ』


エリスは真っ赤になった顔を両手で顔を隠したが、真っ赤になった耳までは隠しきれなかった…… 僕は、焦ってしまい、


「――! ミノノモンタさん! 僕たちはまだ婚約中だから…… 急に夫婦なんて……」


「ワハハハハハハ シュウ なにてれでらっきゃ」


『――ワハハハハハハ シュウなに照れてるんだ』


「もう、ビアンカさんの所へ行ってくるよ。エリスも一緒に行くよ」


「うん……」


僕は、エリスの手を握り、その場から離れ、ビアンカさんの所へ来た。


「ビアンカさん。お腹すいちゃって、何か食べる物あるかな?」


「シュウ君にピッタリの物があるわ。これ持って行って。姫様が直接、私に教えてくれたのよ」



――!? 僕が生前、大好物だった肉じゃがじゃないか!



「頂きます。僕の大好物なんです! じゃ、貰っていきますね」


ビアンカさんから肉じゃがを受取り、ミノノモンタさんの所へ戻って来た。


「エリス、肉じゃがを作るんだね?」


「ええ、得意料理の1つよ。みんなに教えているのよ」


「じゃあ、エリス直伝の肉じゃがいただきます」


「どうぞ、口に合えばいいけど…… もし、口に合わなかったらゴメンね」


「そんなことないさ。エリスが作ってくれた料理は全部おいしかったからビアンカさんの肉じゃがもおいしいはずさ」


僕はホクホクに煮込まれたジャガイモを一口食べてみた…… おっ! 懐かしいこの味、前々世で妻が作ってくれた肉じゃがと同じ味だ! 最後に食べたのは20年以上前だからきっと思い出補正でそう感じただけかも……

お読みいただき誠にありがとうございます。

少しでも面白い! 続きが読みたい! と思って頂けましたら『ブックマーク』『評価』『感想』をお願いします。



『評価』『いいね』ボタン押して頂けましたらモチベーションに繋がりますので、応援よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ