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第56話 第三王子は本気のバトルを見る!1

父上とお父上様が怒られる場面を目の辺りにし、将来の自分を見ているようで切なくなる『シュウ』です。



僕は、澱んだ空気を換えるべくエリスに話しかけた。 僕は空気を読める男なのだ。


「エリス。ところでソフィアちゃんは、どうしているの? 自室?」


「レーニャと一緒に部屋で遊んでいるわ」


「そうなの? じゃ、僕はソフィアちゃんと遊んでくるよ」


この澱んだ部屋から早く逃げたかった。僕が立ち上がろうとした時、母上とお母上様の目が僕を睨んだ! 『弱き獲物は狩るぞ!』と言わんばかりの目に僕はすごすごと椅子に腰を下ろした。



「……………………」



――マズい、この場から逃げることが出来ない。父上、余計な事をするからカオスな状況になるんだ!



『バタン』とノックもなく突然、応接室のドアが開いた。そこに立っていた救世主は……サムソンさん! 


「おう、ブルース、セリーナ! 久しぶりだな」


「よぉ、サムソン。ちょうど良いとこに来た! あとの連中はどうした?」


「ブルースたちが来てると聞いて宴会の誘いに来たぞ。あとのヤツは宴会の準備中だ」


「おお、そうか。サムソンの誘いなら断ることも出来んな! セリーナ。すまんがみんなの手伝いに行ってくる! チャオ!」


「待て、俺も行くぞ! 他の者に宴会の準備をさせる訳にはいかん! 俺も手伝わねば」



そう言って、父上とお父上様はサムソンさんを強引に引っ張って速攻で部屋を出て行った。



「あれは完全に逃げましたね。セリーナ様」


突然、僕の背後に現れたレイニーが母上に父上たちの真実を告げた。母上は呆れた表情で、


「まったくしょうがないわね。あのお調子者は……」



――なんだか急に父上がチャラ男に見えて来た……



「まあ、良いじゃない。ブルースも国王として頑張っているみたいだし。たまには私人、ブルースに戻って好きなようにさせたら? セリーナ。あなたも王妃の肩書を置いて今日だけは楽しんだら?」


「それも、そうね。折角の機会だから楽しみましょうか」


「それじゃ、エリス。宴会場へ出かけるからソフィアちゃんたちを呼んで来てもらえるかしら?」


「はい、お母様」


「ちょっと待って、僕も行くよ」


僕とエリスは、ソフィアちゃんたちを呼びに部屋を出た。




「レイニー。いつもありがとうね。あなたにはいつも感謝しているわ」


「セリーナ様。私は、特別なにもしておりませんが」


「あなたが、シュウの傍にいてくれるだけで私たちはシュウを安心してアルラサンド王国へ送り出せるの」


「勿体無きお言葉、感謝致します」


「シュウ君の周りはそんなに危ないの?」


「ええ、暗殺計画があったのよ。まぁ、未然に防ぐことが出来たけど…… ジェニシスとパリックが絡んでいるようなの。レイニー。シュウの事頼むわよ。」


「ハッ! 仰せのままに」


「セリーナ。大丈夫よ。魔法を習得していけば自分の身は自分で守れるようになるわ。今のところは防御系の魔法を中心に習得させるわね」


「ありがとう。アリエス」





僕、エリス、ソフィアちゃん、母上、お母上様、レーニャさん、レイニーの7人は宴会会場に着いた。ここで、会ってはいけない2人が会ってしまった!



父上がレイニーを見かけた瞬間、碧眼の目が金色の変わった。


「レイニー、テメー! シュウに何を教えやがった」


「ワナワナですか?」



――レイニー、父上を煽るのはヤメテー! 何かに変身してしまう!



「ゆ…ゆ……ゆるさんぞ……よ…よくも……よくも…… 『プチン』ゾワッ !?」



父上の金髪の髪が逆立ち、金色の闘気(オーラ)が『ボォォォォ~ン ボォォォォ~ン』と音を立て、全身を包む。父上はレイニーに向かって言い放つ!


「お前に制裁を加える…… きさまには地獄すらなまぬるい!!」



――!? 父上が(スーパー)父上に変身しちゃったよ! しかも、世紀末の救世主みたいなことを言い始めちゃったよ!



「先ほどのセリフは2回目ですよね? さすが親子。引き出しが少なくて哀れさを感じます」



――えっ!? 僕もディスられた? 以前、確かに同じセリフを言ってレイニーにディスられたことがあったが、同じことでさらに僕もディスられた! これが、死者に鞭を打つというものなのか?



「引き出しが少ないだと。取り消せ! 今の言葉取り消せよ! このポンコツが!」


――レイニーさん。もうこれ以上、父上を煽らないで……


「それは、私のセリフです。ポンコツとはひどい言いようですね。絶対に許しませんよ。 虫ケラが!!!!」


「来い。レイニー! ここがきさまの死に場所だ!」


「陛下。まさか、魔法をおぼえた私に勝てると思ってるんですか? なんて嘆かわしい……」



次の瞬間、レイニーの拳が父上の右頬を捉えた。拳の衝撃で顔の向きが左に向いたようになったが、身体自体は動いていない。しかし、父上の口元から一筋の血が流れていた。



「お前の拳は、そんなものか? 期待外れもいいところだ。次は俺の番だな。いくぞ、レイニー」



父上は素早い動きでレイニーに近付き、腹に拳を打ち込んだ! が、レイニーは何事もない顔で父上を見ていた。



「――今のは何ですか? まさか!? 攻撃でしたか、今の私には効きませんよ」


「なに!? まさか、身体強化の魔法か?」


「そうですよ。 では、下剋上とさせてもらいますね」


レイニーは、父上をボコボコにした。父上はフラフラになり立っているのもやっとのようだ……


「そろそろ、私に跪いたらどうですか?」




「――何を言う。私は国王だ! ひ...退かぬ!! 媚びぬ省みぬ!! 国王に逃走はないのだーー!!  ディスリゆえに人は苦しまねばならぬ! ディスリゆえに人は悲しまねばならぬ!」



――なぜだろう? 父上の後ろにピラミッドのようなものが見えるぞ! しかも聞けば聞く程、よくわからん事を言い始めやがった……



「レイニー。お前に本当の身体強化を見せてやろう。身体強化4倍!」


父上の金色の闘気(オーラ)は『ゴォォォォ~ン ゴォォォォ~ン』と音を立て、さらに全身を包みこんだ。



お読みいただき誠にありがとうございます。

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