第54話 第三王子は父上と母上から爆弾発言される!2
父上と母上が、ハルタンの人々へ向ける想いと希望に答えて行きたいと思う『シュウ』です。 大事な場面なので、オチャラケは無しです。たぶん……
「もう一つ聞いても良いですか?」
「なんだ、シュウ?」
「父上が魔法に精通している事はわかったのですが、エリスが現れた時に大変驚かれていたと聞いていたもので……」
父上は大慌てで僕に近付き、僕の襟元を掴み、
「なんでお前が知っている? 誰がお前に喋った? 言え! 言え!」
ここまで、動揺している父上を見たのは初めてだ! 母上も何があったのか、わからず『キョロ キョロ』している。
「レ、レイニーです。ち、父上、く、苦しいです……」
父上は、僕の襟元から手を放し、
「おっ、すまん。つい…… レイニーのヤロー、要らんこと言いやがって、ハルタンの事を誤魔化そうと演技をしてやったのに…… ヤツはあとで制裁だ!」
「父上が『ワナワナ』と言っていた。とも言ってました」
「――うおおおおおお! あのヤロー! ゆ…ゆ……ゆるさんぞ……よ…よくも……よくも…… 『プチン』ゾワッ !?」
ここまで闘気を纏って、激怒している父上を見るのも初めてだ…… 父上もレイニーの犠牲者なのだろう。同情を禁じえないが…… 何かに変身しないで欲しい……
「ブルース。落ち着いて!」
「落ち着いていられるかー! 国王としての威厳が…… 父親としての威厳がぁぁぁぁ!」
父上は、また僕の襟元を掴んで、
「なぁ! シュウならわかるだろ! 突然、目の前に人が現れたら誰だって、ああ、なるだろ! なぁ、シュウ! そうだろ? シュウ! そうだと言ってくれーーーー!」
「――は、はい。ぼ、僕もそう思います…… く、苦しいです。ち、父上……」
――父上の瞳が怒りに満ちて怖い……
「ブルース!」
『ドダーン』
母上が父上に声を掛けた瞬間、突然、父上が吹き飛んだ!
僕は、周りを見渡すと母上も倒れていた! とりあえず、父上を見ると肩のあたりに綺麗なハイヒールの跡が二つ付いていた。 まさか!? 母上は、高い位置からの『ドロップキック』をしたのか!?
「イテテテテ 私は今、何をしてたんだ?」
――父上は、あまりの怒りで頭の中で何かが切れたらしい…… 父上は元々金髪なので、何かに覚醒したみたいだ! 父上に超でも付けておくか。 超父上爆誕! ここまで父上を追い詰めるとは敵ながらアッパレ!
「大したことないわよ。また、プチンしただけ」
「セリーナ。いつもすまんな……」
――この異世界では、お父上様の狂戦士モード、父上は超父上…… キレたら何かに変身しないと気が済まないのだろうか?
「フゥー、話しを続けようか。レイニーのヤツには本当に困ったもんだ。仕事は出来るんだが……」
「あのレイニーが、仕事が出来るって? 今までまともにメイドの仕事してもらってないのに?」
「おぉ、そうか…… シュウは知らなかったもんな。レイニーは、影部隊の隊員だ。」
「ハイ!? あのレイニーが?」
「そうだぞ。あいつは、隠密行動と格闘が凄くてな。意外に優秀な部類隊員なんだぞ。影部隊の仕事は優秀だが、それ以外がポンコツでな、まぁ、そこが弱点と言えば弱点になるのか。シュウ、お前も苦労しているんじゃないか?」
「そうですね。レイニーにまともにメイドの仕事して貰ったことがないです」
「まぁ、元々メイドじゃないからな。今はお前の専属メイドということになっているが、本来の任務は…… シュウ。お前の護衛だ!」
――!? 考えてみれば、思い当たることがたくさんあるじゃないか……
その1、気配を消していつの間にか僕の後ろに立っている。
その2、死角からの的確な攻撃をしてくる。
その3、暗器としてフレイルを隠し持っている。
その4、人の心を読む。
その5、メイドの仕事をしないんじゃなくて、ポンコツだから出来なかったのか!
「レイニーは、影部隊の隊員でしたか。そう言われれば思い当たることが多々ありましたが、なぜ僕に護衛を?」
「良い意味で昔からお前は変わっておったからな。今ある常識を常識とぜず、民の為、国の為に新たな常識をお前は作ろうとしていた。まさか、前世、前々世の記憶があるとは思わなかった。しかもハルタン様と同じ文明の進んだ日本という国のな。もし、下手にその日本の知識が知れ渡れば、優秀な者として暗殺の危険性があったからな。万が一を考えて、レイニーをお前の護衛に付け、宰相と計画を立てお前を無能な者として周りからの目を逸らし、あらゆる危険性からシュウ、お前を護ることにしたんだ。お前には親として辛い思いをさせたな。すまなかったな。許せ。」
「シュウちゃん、ママからも謝らせて、シュウちゃん。今までゴメンね」
そう言って、父上と母上は僕に頭を下げた…… 国王である父上、王妃である母上が頭を下げるなんて事は絶対にしてはいけない行為…… その父上と母上が僕に頭を下げてくれた…… 父上と母上は僕を護ってくれていた…… 自然に涙が…… 涙が止まらない……
「父上、母上。どうか頭を上げて下さい。お願いですから頭を上げて下さい。僕も今まで父上、母上に何もお伝え出来ず、すみませんでした……」
泣いている僕を父上と母上はやさしく抱きしめてくれた……
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