第5話 無能王子は追放へ
「ロッシュウ! お前には、隣国の同盟国アルラサンド王国のトレスベン学院へ留学してもらう…… これは決定事項だ! ざまぁ」
「――えっ! えぇぇぇぇぇぇっ!」
父上から衝撃な言葉を聞き動揺するシュウです。
なんじゃこりゃー! 何が起きたんだ! 脳が追い付かない!
ワナワナと体が震え、どうする! どうする!
思考が停止寸前にもかかわらず、身体だけは自然に、うつ伏せとなり、ピッシと手足を伸ばしていた。
俗に言う『ザ・土下寝』である。
「父上! どうか、どうか! シニアス学園でお願いします!」
何度もお願いをしたが、父上からは、
「トレスベン学院の留学に決まったのだ!」
「何卒、そこをどうか! シニアス学園に!」
「その姿を見たら、馬鹿にされているとしか思えん! あきらメロン!」
お願いをした結果が、直球ド真ん中の正論だった。
父上を馬鹿にしたつもりはない! 僕の誠意中の誠意の行動なのだ! 前世の世界だったらこれで許された。あと筋肉が加わればパーフェクトだったのに!
――ぼ、僕に…… 筋肉が足りなかったせいなのか……
僕は、泣きながら父の足に縋りついた。
「父上も、兄上達もシニアス学園に入学したじゃないですか?どうして、僕だけが
トレスベン学院なのですか? どうして?」
足に縋りつく僕を払おうしながら
「お前には、フロンシニアスだけではなく広い世界を見てもらいたいと言う親心だ! ざまぁ」
頭の中で、出来の悪い僕を追放しようとしているんじゃないかと考えが過ぎる。
「出来の悪い僕を留学と言う追放をしようとしてるのではないのですか? 体のいい追放じゃないですか!」
つい口に出してしまった。
父上は強い口調で
「追放とはなんじゃ! だーかーら! 広い世界を見てもらいたいと言う親心だと言ってるだろ! このハゲ!」
僕は全力で泣き叫んだ!
「うわわわわわわん! いやだァァァァァ! 行きたくないィィィィ! 僕はハゲじゃないィィィィ!」
「レイニー! レイニー! レイニーは居るか?」
父上は、困り果ててレイニーを呼んだ。
「はい。ここに」
レイニーが部屋に入ってきた。
「レイニー! 此奴を部屋にぶち込んでおけ! OK?」
「御意に!」
レイニーは、僕に近付き
『ドスッ』
「ぐふぃ!」
僕の情けない声と共に、レイニーの拳が僕の腹にめり込んだ!
世間で言う『伝説の腹パン一発!』である。強烈で重い一発だった。
体がくの字になり、僕は悶絶しながらレイニーを見た。
「――レイニー…… テメェー 許さ……」
「はい はい」
微かにレイニーの声が聞こえたと同時に暗い闇へ意識を手放した。
お読みいただき、ありがとうございます。
少しでも面白い! 続きが読みたい! と思って頂けましたら
『ブックマーク』『評価』をお願いします。
『評価』ボタン押して頂けましたらモチベーションに繋がりますので、
何卒応援よろしくお願いします。