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第48話 第三王子は学院へもどる!

エリスの鬼のような計画を知り恐怖する『シュウ』です。



忠誠心の無い、レイニーに父上の謁見をどう伝えるかを考えた結果……


「レイニー、少し良いかい?」


「何でしょうか? ロッシュウ様」


「お願いがあるんだが」


「嫌です」


「――そんなこと言わないで、聞くだけでも聞いてくれよ」


「ん~、聞くのも嫌なのですが聞くだけですからね」


「トレスベン学院へ戻ったら、悪いけどフロンシニアスへ行って、僕の手紙を持って父上に謁見して欲しい」


「陛下に謁見ですか? 面倒くさいから嫌です」


「…………!?」



――父上に謁見したくてしょうがない貴族がどれほどいるか…… コイツは僕と父上には、どこまでも忠誠心がないんだな…… しかーし、僕には秘策がある!


僕は、ここ一番で何でも使える諸作法! ピッシッと手足を伸ばし、うつ伏せになった。


俗に言う『ザ・土下寝』である! ザ・土下寝をナメてはいけない。謝罪も要望もこれですべて解決!


「レイニー! お願いだー! エリスが幸せになるチャンスをレイニー! 君が握っているんだ! しかも特別特典付きでエリスも同行することになっているんだけど! それでも無理ならしょうがない! 誰かに頼むことにするよ!」


「えっ! エリス様の幸せを私が…… しかもご同行して下さる…… わかりました! 不肖ながらこのレイニーがお役を全うして見せます!」


「ありがとう。レイニー、君にすべてを託すよ。よろしく頼む!」


「ハイ! エリス様の為に身命を賭して任務を遂行してみせます! エリス様が馬を見て、鹿と言ったならばその馬は鹿になるのです。異を唱える者がいればその者に粛清を! それが、この世の真理!」



――これが、異世界で『馬鹿』という言葉の語源になるとは…… 



エリスに絶大な忠誠心のあるレイニーを動かすのは、やはり、エリスの名前を出すのが一番効果的だ! 僕との忠誠心の違いをまざまざと見せつけられるのは、心に来るものがあるが、これもエリスとの為に…… 我慢!



こうして、レイニーをフロンシニアスへ送り出すことが決まり、後は父上に手紙を書くだけだが、内容どうしよう……







手紙の内容を一晩かけて考えてみたが良いアイデアが浮かばなかった。マジで何て書こうかな……



「シュウ君。そろそろトレスベン学院へ出発するわよ。忘れものとかない?」


「ああ、昨日のうちに準備は終わってるよ」


「シュウお兄ちゃん! このキャンプセットもらってもいいの?」


「ソフィアちゃんも見送りに来てくれたんだね。ありがとう! このキャンプセットはまだ使ったことが無いから新品同様だから安心して。でも、キャンプセットを使う時は、お母上様かお父上様に聞いてからメイドさんたちと一緒に使うんだよ。わかったかな?」


「わかった! 今日はテントで寝る! お母さま、今日はテントで寝てもいいよね!」


「ん~、誰かと一緒なら良いけど一人じゃダメよ」


ソフィアちゃんは、僕たちのお別れよりテントの方に興味津々みたいでお母上様を困らせていた。


「お父さまと寝る!」


「ソフィアちゃん! お父さまと寝たいのかい? じゃあ、今日はお父さまとテントで寝よう!」


「お父さま、ありがとう! お父さま、大好き!」


「――!? おおおおおおおっ! ソフィアちゃん! 超、超ーカワイイ!」


お父上様は、ソフィアちゃんを抱っこして頬づりをしたが、ソフィアちゃんの顔が一瞬、死んだ顔になったのは黙っておこう…… しかし、あのお父上様を籠絡させるとは、恐るべしソフィアちゃん! 魔性の幼女と呼ばせていただこう!




「貴様は、『お父様、お父上様』と呼ぶことは許さん!」


「はい、以後気を付けます」


突然お父上様は、僕に向かって狂戦士(バーサーカー)にクラスチェンジした。


――!? 急にそんなこと言われても……




「それでは、お母様、お父様、ソフィアちゃん、行ってまいります」


「夏休みの期間、お世話になりました。ありがとうございます。近いうちに父上との謁見のご報告に参ります。ソフィアちゃんも元気でね」


「エリスおねえちゃん、シュウお兄ちゃんも元気でね! バイバイ!」


「いってらっしゃい。 エリス。」


「何かあったらすぐに戻って来るんだぞ!」




僕とエリス、レイニーの三人は、瞬間移動(テレポート)で秘境の森の魔女の村ハルタンをあとにした。





瞬間移動(テレポート)でトレスベン学院まで行けるのだが、人に見られる可能性があるので、アルラサンド王国王都の離れた所まで移動した。それから、近くの町で相乗り馬車に揺られトレスベン学院へ着いた。 




早速、寮へ移動しエリス達と別れた。自室で休んでいると、ノックをする音が聞こえた。


「シュウ、俺だ。ダンベルだ。」


「おう、ダンベルかぁ、鍵は開いてるから入ってくれ」


「シュウ、久し振りだな」


「ダンベル、おまえもなぁ」


「俺は、昨日戻って来たんだ。さっきお前の姿が見えたもんで土産を持って来たんだ」


「そうか。悪いな、気を使わせてしまって」


「いや、大したことはないさ。お前はエリスとサスペインに行ってたんだろ。どうだった?」


「アルラサンド王国とサスペイン王国との国境に近い村だったよ。とってものどかで良い村だったよ」


「お前も夏休み楽しんだみたいだな」


「ああ、おかげさまで。ダンベル、お前の身体が少し大きくなっていないか?」


「おお、わかるか? 夏休みは、特別メニューの筋トレばかりでな、今まで来ていた服が入らなくなっちまって困ったぜ」


ダンベルは、ポージングをして、鍛え上げらえれた自慢の身体を僕に見せつけてきた。


「夏休み前と今じゃあ、身体付きが全然違うな! よぉ! ムキムキマン!」


「おう、シュウもうれしい事言ってくれるじゃないか。 特別に土産を2つやるぜ!」


「楽しみだな。僕も買ってきたからこれを食べてくれ」


僕は、ダンベルにサスペイン王国名産『元祖プロセスチーズ』を渡した。


「プロセスチーズは筋肉に良いって聞いて買って来たんだ」


「こりゃいい。ありがとうよ、シュウ。大事に食べさせて貰うぜ」


「俺の土産は……  筋肉シャツだ! スゲーリアルな絵だろう。ここまで精巧に書かれた筋肉はないぜ! これを着て歩けば、いつでもどこでもお前はマッチョだぜ!」


表裏に本物のゴリゴリゴリマッチョの写真じゃないのかと思うほど、精密で精巧に書かれたTシャツを2枚も受け取った……



「――あ、ありがとう…… ダンベル。 大事に着させてもらうよ……」


僕は、死んだ笑顔でダンベルにお礼を言った…… エリスとレイニーには死んでもあのTシャツはみせられないなぁ……


お読みいただき誠にありがとうございます。

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