第38話 第三王子は相撲大会に出る!2
自分の相撲道に掛ける熱意に今更ながらに気付かされている『シュウ』です。
異世界ハルタン夏場所の勝敗は……
一回戦
〇サムソン 対 ●コゴブ
〇トーカゲ 対 ●タロウ
〇ミノノモンタ 対 ●オーグル
〇リンリン 対 ●ボルト
二回戦
〇シュウ 対 ●トーカゲ
〇エリス 対 ●リンリン
これから、準決勝が始まる――
七戦目の取組みはサムソン対シュウ! 優勝候補のサムソン! 取組み前にも関わらずオーラが全身から出ていた。身体強化の魔法を掛けているとはいえ、あまりにも体格とパワーの差があるが、こちらにはスピードと技がある! 気合十分で僕とサムソンさんは土俵に上がった。
行司が掛声を上げる。
「はっきょい、残った 残った!」
僕は立会いでサムソンの正面に飛び込んだ! さすが、サムソンしっかりと僕を受け止め、がっぷり四つの体勢になった。サムソンは腰を少し下ろし、身体の重心位置を下げた。こうなれば押しても引いてもビクともしない。攻め手が無くなり、一気にピンチになった。
『ぷぅ~す~』
――お腹に力を入れた瞬間、オナラが出てしまった……
サムソンの力が一瞬だけ緩んだ! この機会を無駄にしてはいけない! 右足で内掛けを仕掛けた! 相手の重心を崩して仰向けにして倒そうとしたがビクともしなかった。
逆にサムソンは僕の右足が浮いている隙を付き、左足を蹴り払い重心を失った僕は土俵に倒れてしまった!
決まり手は…… 裾払い! サムソンは決勝進出を決めた!
――勝ちを急いだ一瞬の隙だった! もう少しサムソンを前後左右に揺さぶり、重心を崩した方が良かったのか? 反省して今後の相撲道に活かして行こう!
「シュウ君。残念だったね」
「うん、相手が強すぎたよ」
「シュウ君も十分強かった思うよ」
「ありがとう。次はエリスの番だね。頑張ってね!」
「うん! 頑張るよ!」
八戦目の取組みはミノノモンタ対エリス! こちらもパワー対スピードと技の戦いになるだろう!
エリスとミノノモンタさんは土俵に上がり行司が掛声を上げるのを待った。
行司が掛声を上げる。
「はっきょい、残った 残った!」
立会いは、ほんの少しエリスが早く、自分に有利な態勢でがっぷり四つとなった。エリスは押し相撲で前進しようとするがミノノモンタが右へと動き後退を避けようとするが暴走列車と化したエリスには通用しなかった! どんどん前進しミノノモンタを土俵際まで追い詰めたが、さすがミノタウロス族族長ミノノモンタ、土俵際でわずかに足を残し粘った。
「エリスー! がんばれー! あともう少しだー! 負けるなー!」
僕は、エリスに聞こえないかも知れないが、大声で声援を送った!
エリスはミノノモンタに体を密着させ、大男のミノノモンタを持ち上げ前に進み土俵の外に出した!
決まり手は……寄り切り! エリスは決勝進出を決め、決勝戦はサムソン対エリスとなった!
1時間の休憩を挟み決勝戦となった。観客をはじめ僕達は農村部を上げての祝賀会という名の宴会の準備に取り掛かった。農村部のみんなは相撲大会も好きだが、この祝賀会も大好きらしい。
「シュウ殿、お前、強かった、次は負けない」
トーカゲさんが話しかけていた。
「トーカゲさんこそ、強かったです。あのまま突っ張りをされてたら突き出しで僕の方が負けてましたよ」
「大振り、隙、出来た、まだ、稽古する」
「僕もトーカゲさんに負けないように稽古、頑張ります。」
「そこの二人! 私も混ぜて!」
リンリンさんもやって来た。
「あっ! リンリンさん」
「リンリン、惜しかった」
「姫様のあれは、さすがに無いわぁ~」
「その通りでござる! あそこからの逆転勝利を信じられないでござる」
「さすが姫様だべ! 横綱なだけあるべなぁ」
「ボルトもミノノモンタも来たのね。あそこから負けるって、私だって信じられないわよ! 勝ったと思ったのにホント悔しい!」
「それが、横綱、姫様」
「拙者も姫様に負けないよう稽古に励むでござる」
「サムソンさんも強かったですよ。僕は手も足も出なかったよ」
「サムソンはオーク族を集めて稽古してるからね」
「サムソンもながなが強いべなぁ」
「そろそろ、エリスの所に行ってくるよ」
「シュウさん、姫様に応援してるからって伝えてくれる?」
「わかった! ちゃんと伝えておくよ! じゃ、また会場で!」
僕は、エリスが居る控室に走った。決勝に勝ち上がった者は、休憩を兼ねた控室が準備されていることになっていると言う。エリスに会いに行くのは、エリスの集中力を乱す恐れがあるから行くのは遠慮しようかと思ったが、顔だけでもと思い行くことにした。
エリスの控室前に着き、声を掛けた。
「エリス。僕だよ、休憩の邪魔になるから顔だけでも思って来てみたよ。」
「あっ! シュウ君ね。別に良いわよ。入って、入って!」
「お邪魔します。レーニャさん達も居たんだね?」
控室には、エリス、レーニャさん、レイニーが居た。
――レイニーさん、居ない居ないと思っていたが、こんな所にいたとは……
まぁ、最初から探していなかったけど……
「ええ、みんなでお茶を飲みながらゆっくり休んでたわ」
「休んでいる所、申し訳ないね」
「別に構わないわよ」
「決勝進出おめでとう。ミノノモンタさんとの取組み凄かったよ!」
「ありがとう。シュウ君が応援してくれたからだよ」
「あっ! 聞こえてた?」
「ちゃんとシュウ君の大きな声、聞こえてたよ」
「はずかしいなぁ……」
僕は、そう言って頭をボリボリ掻いた……
「うれしかったわ。ありがとう」
「あと、リンリンさん達からみんなで応援してるからって言付けを頼まれてたよ」
「じゃあ、みんなにありがとう。負けないように頑張るね!って伝えてもらえるかな?」
「うん! みんなには伝えておくよ。エリス! 決勝戦がんばってね! 応援してるよ! 邪魔にならないようにもう行くね」
「シュウ君…… わざわざ来てくれてありがとう」
「じゃ、祝賀会でね!」
こうして、僕はエリス達と別れ、リンリンさん達が待っている場所まで戻った……
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