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第36話 第三王子は何故か相撲を!?

オークとゴブリンに会ったら何故か相撲大会が開かれることになり、瞬殺されること間違いない『シュウ』です。 なんてたってオーク&ゴブリンですよ。そりゃあ、イチコロですよ! 僕が……



――エリスさん! たすけてぇ~!



「ロッシュウ様、姫様とビアンカさんが戻って参りましたよ」


「お待たせ! シュウ君、ゴメンね。」


「姫様借りちゃって悪かったわね」


「僕は大丈夫ですから。畑の方はどうでした?」


「ちょっと肥料が足りなかったみたい。追肥をすれば元気になると思うよ」


「いや~、姫様のお陰で助かったわよ」


「私も肥料の改良と土壌改良も進めるわね」


「そうして貰えると助かるわ」



エリスって肥料の開発とかハルタンの発展の為にいろいろがんばっているんだなぁ。



「姫様、先ほどサムソンさんとリンリンさんにお会いしたのですが、ロッシュウ様とお会いしたら親善の為に相撲大会を開くと言って仲間を呼んでくるそうです」


「えっ!? サムソンさん達が!」


「あの相撲バカどもが…… 機会があればすぐに相撲大会を開きたがる。困ったもんだよ」


ビアンカさんもサムソンさんとリンリンさんに呆れ返っていた。


「もう、あの二人は! シュウ君には、私が身体強化の魔法を掛けてあげるからね」


「ああ、ありがとう。でも、サムソンさんとリンリンさんって魔物だよね? テイムされているようには感じられなくて」


「あの二人は、テイムされてないわよ」


「えぇ!? テイムされてないって!」


「そうよ。基本的に知性のある魔物って基本的に相撲が大好きなのよ。相撲を伝えたハルタン様を崇拝しているみたいで、魔物たちにとってこの村は聖地になってるの。それで、この村に巡礼に訪れて、そのまま住んじゃうのよ」


「それじゃ、魔物にも知性はあるってこと?」


「動物並みの知性を持った魔物もいれば、サムソンさん達みたいに普通に会話や人間と変わらなく生活出来る魔物もいるのよ。姿形が違うだけで人間とあまり変わらないと思うわ」


「話してみたら魔物と話してるというよりは人間と話してる感じだったよ」


「この村に居る人間も魔物もみんな良い人たちよ」


「姫様。サムソンさんとリンリンさんが戻ってきたみたいですよ」



「姫様がお戻りになっておられるぞー!」

「姫様―!」



大勢のオーク、ゴブリンと見たことの無い魔物まで走ってこちらに向かってきた。



「姫様、お帰りなさい! よくご無事でお戻りになりました!」

「お久しぶりです。姫様!」

「お元気でしたか? 姫様!」



エリスはあっという間に魔物たちに囲まれた。


「ただいま! 私はいつでも元気よ! みんな元気そうね?」


「我々は相撲さえあればいつでも元気です!」


「えっと! みんなに紹介するわね。トレスベンの友達のシュウ君とレイニーさんよ」


「こんにちは。ロッシュウです。シュウと呼んでください。」


「はじめまして、レイニーです。ロッシュウ様のメイドをしております」


「姫様の友達って事はボーイフレンドか?」


「ロッシュウ様は、ボーイフレンドを遥かに超えて、姫様の婚約者になります」


レーニャさんがみんなの前で爆弾を落としやがった!


「ちょ、ちょっと! レーニャ! みんなの前で何言ってるの!」


「やるじゃねーが! 兄ちゃん! オラはミノタウロス族族長ミノノモンタだべ。よろしぐな!」


頭が牛で身体が人間で大男だった。


「ご婚約おめでとうございます。拙者は、コボルト族族長のボルトです。お見知りおきを」


全体的に犬で長い毛で覆われているのだが、二本足で歩く魔物みたいだ。


「祝言。我はザードマン族族長のトーカゲ。よろしくお願いする」


二本足で歩く巨大トカゲだった。



「おー、みんな挨拶も済んだな! じゃ、そろそろシュウ殿の歓迎会を兼ねて相撲大会をやるぞ!」



サムソンさんは早く相撲が取りたくてウズウズしているようだ。


「で、大会名は何にするのよ!」


「我が考えた。シュウタンハル場所で。シュウ殿とハルタンを合わせた」


「ハル場所って、もう夏よ! トーカゲ、さすがにハル場所は無いわぁ」


リンリンさんはハル場所には賛成できないようだ。さらに、リンリンさんが提案してきた。


「ここは、記念すべき第一回目の『異世界大草原夏場所』もじって『異世界ハルタン夏場所で良いんじゃない?』


「まぁ、俺は相撲が取れたら何でも良いや!」


「じゃあ、異世界ハルタン夏場所で決定!」


サムソンさんにとって相撲を取ること以外は無関心のようだ。


「姫サマも出るだか? もちろん出るだべ! 」


ミノノモンタさんエリスにも参加を促したが。


「私は良いわよ! みんなを見てるから」


「姫様、それはなりません。姫様は無敗の横綱ですから出場しないわけには参りません」


レーニャがエリスが無敗の横綱であることを暴露してきた。


「レーニャ! シュウ君の前で言わないで! はずかしい……」


「姫様は本当にお強い。拙者など姫様の足元にも全然及びませぬ。身体強化を使ってるとは言え、拙者達以上のスピード、技のキレ、闘気(オーラ)、どれも超一流でございます!」


ボルトさんはエリスを称賛し始めた。 



――エリスってどんだけ強いんだよ! 闘気(オーラ)のところは気になるがとりあえず怒らせないように気を付けよ……



「私は絶対に出ないわよ!」


「姫様に出てもらえなきゃ困る! 俺は打倒姫様の為に猛稽古してるんだからよ。頼むよ。姫様!」


「そうよ。姫様がいなきゃ、誰が横綱をやるのよ!」


「オラも姫サマと勝負したいべ」


「拙者も姫様と真剣勝負を所望致します」


「我、姫様、倒す」




次から次へとエルスの説得に躍起になり、ついには……


「わかったわよ! 出ます! 出れば良いんでしょ!」



エリスも出場することが決まった!



オーク族、ゴブリン族、ミノタウロス族、コボルト族、ザードマン族、人間族から僕とエリス、あと相撲好きの数名が参加することになった。総勢82名である。

男性陣は会場の設営、女性陣は飲食など観戦の準備を始めた。急遽ではあるが、農村部あげての『異世界ハルタン夏場所』が開幕することになった……

お読みいただき誠にありがとうございます。

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